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Ema、異国の空間へ誘ったラテンジャズ 世界的奏者・セサルのサックスに乗せ/レポート

MusicVoice 9/25(日) 13:40配信

 女性ジャズシンガーのEma(エマ)が15日、東京・青山のライブハウス「月見ル君想フ」で、ワンマンライブ『Respirar』をおこなった。7月27日にリリースしたメジャーデビューアルバム『Respirar』の収録曲をメインに構成。同アルバムでプロデュースを担当した、キューバの世界的サックス奏者、Cesar Lopez(セサル・ロペス)が来日、ゲスト出演した。ラテンジャズサウンドの陽気な香りが漂う場内で彼女は、セサルのサックスに絡みながら持ち前の甘く透き通った歌声で、アンコールを含め、全16曲を披露。訪れた観客の心を異国の地に誘った。

■日本だということを忘れさせてくれる

 サックスが主旋を奏でるBGMがライブハウスに心地よい風を吹かせていく。ステージには、キーボードやドラム、ウッドベースなどの楽器が所狭しと並ぶ。この楽器によってこれから上質なジャズサウンドが奏でられるていく。観客もお酒を片手にリラックスムードでEmaの登場を心待ちにしているようだった。

 定刻を少々過ぎたところでEmaとサックス奏者のCesar Lopez(以下=セサル)、そして、バンドメンバーが登場。場内が暗転すると、ステージ後方に備え付けられたスクリーンに満月が映し出され、セサルのサックスが会場に響き渡った。故・尾崎豊さんのカバー「I LOVE YOU」でライブの幕を開けた。Emaは、ネイティブのような流暢な英語で、観客に語りかけるように情感豊かに歌い上げる。

 続けて、ラテンジャズチューンとなって生まれ変わった、中原めいこの「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」を披露。リズミカルに歌い上げるEma。そして、セサルのサックスが音階を駆け上がり躍動感をプラスしていく。キューバのラテンをミックスした爽快なナンバーに、ここが日本だということを忘れさせてくれるようだった。

 MCを挟み、披露したのは荒井由実のカバー「卒業写真」。絶妙にバウンスしたリズムに乗り、シルキーなEmaの歌声によってオリジナルとはまた違った世界観を表現していく。セサルのサックスもEmaの歌声に寄り添うように心地良くスイートサウンドを奏でていった。

 続いての「Stay With Me」では、サビで目を閉じ歌うEmaの姿が印象的であった。時に優しく、時に力強く歌い上げていく。それに呼応するかのように楽器隊もダイナミクス豊かに演奏。ライブならではの臨場感を余すことなく感じさせた。

■スペイン語と日本語のミクスチャー。

 イントロでのボンゴの乾いたサウンドからTHE BOOMのカバー「島唄」を披露。セクションによってリズムをチェンジさせ、一筋縄ではいかない楽曲展開で楽しませた。歌詞は、スペイン語と日本語のミクスチャー。言語の違いを感じさせないほどに、Emaはこの2つの言葉を滑らかに、そして、サウンドに絡めて歌い上げる。この表現力の高さは、場内のリスナーに新しい感覚を覚えさせた。

 Emaが「カバーして面白いなと思った」という、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を披露。序盤のセクションは、オリジナルとは全く異なる趣で歌い上げる。歌詞が違ければオリジナル曲と言っても過言ではない。セサルもサックスをフルートに持ち替え、美しい音色を奏でる。2コーラス目からはリズム隊も加わり、グルーヴィーに展開。この楽曲の新たな魅力を引き出していた。

 そして、真っ赤なライティングのなか、披露したのは「Quizas Quizas Quizas」。キューバの夜を連想させる、何ともムーディーなナンバー。この曲をEmaは艶のある歌声で表現。なんとも甘い香りが会場に充満した。

 ここでセサルがステージを降り、Emaとピアノ、ベース、ドラムでジャズスタンダードナンバーである「Someone to watch over me(Crazy he call me)」を演奏。心地よい風に吹かれているかのようなゆったりとしたナンバーに、リスナーの体も自然と揺れる。楽曲は穏やかだが、熱い気持ちが溢れてくる歌声に酔いしれた。

 続いて、力強いピアノのイントロから「Dat Dere」を披露。どこかマザーのような雰囲気を醸し出しながら歌うEmaからは安心感が漂っていた。そして、バンドと歌が対話しているかのような演奏に、体は瑞々しいジャズサウンドが浸透していくようだった。何より、日本人離れした歌声とリズム感に圧倒された。

■「Guantanamera 」をセサルとデュエット

 セサルがステージに再び登場。4つのライトが回転しながら客席を照らす。和訳に初挑戦したという「The Shadow Of Your Smile」。歌とサックスが先ほどまでとはまた違った次元で共存し、新たな世界観を作り上げていく。あたかもツインボーカルのような存在感を放つセサルのサックスが会場を包み込んだ。

 そして、松本英子のカバー「Sqaull」へ。どこか切なさを感じさせるEmaの歌声によって、オリジナルとはまた異なるイメージが脳裏に広がっていく。続けて、安全地帯のカバーで「じれったい」。個性の強い玉置浩二の楽曲を自分色に染め上げるEmaは、スタッカート気味のサックスが相乗効果となり、その歯切れの良いサウンドに触発されるように感情を露わに歌う。

 「いい日旅立ち」では、情緒あるこの楽曲をEmaの透き通った透明感あふれる歌声で披露した。セサルのサックスが温かみのある情緒を生み出し、楽曲に彩りを添えた。本編ラストはテイラー・スウィフトのヒット曲「Shake It Off」。観客の手拍子とともに、情熱的なラテンアレンジで披露し、本編を終えた。

 アンコールを求める手拍子に押し戻されるかのように、ステージに姿を現したEmaとバックバンドのメンバー。「これからも良い歌を唄い続けていきたい」と意気込みを語り、アルバムのラストに収録されている「Guantanamera (duet with Edurdo Sosa)」をこの日はセサルとのデュエットで笑顔いっぱいに歌い、表現し、会場全体をラテンの陽気な雰囲気で満たしていった。<Guantanamera♪>と観客もシンガロング。そして、ラストは「Moon River」をこのライブのエピローグのように、しっとりと歌い上げ『Respirar』の幕は閉じた。

 数々の名曲を、ラテンジャズサウンドに昇華したEma。日本人離れした歌声とリズム感で聴くものを異国の地へと誘ってくれた。キューバ出身のセサルのサックスが、その世界観を更に強固なものにしていた。『Respirar』とは呼吸という意味を持つという、ミュージシャンたちの呼吸が聴こえてきそうなほどの臨場感の中、目を閉じればそこにはキューバの海が広がっているようであった。(取材・村上順一)


■セットリスト

Ema

『Respirar』

9月15日 青山・月見ル君想フ

01.I LOVE YOU
02.君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。
03.卒業写真
04.Stay With Me
05.島唄
06.恋するフォーチュンクッキー
07.Quizas Quizas Quizas
08.Someone to watch over me(Crazy he call me)
09.Dat Dere
10.The Shadow Of Your Smile
11.Sqaull
12.じれったい
13.いい日旅立ち
14.Shake It Off

ENCORE

15.Guantanamera (duet with Edurdo Sosa)
16.Moon River

最終更新:9/25(日) 13:40

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