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運転手不足で多くの荷物を運べる「トラクター」の販売が急伸

ニュースイッチ 9/25(日) 9:24配信

荷重制限緩和も後押し。商用車各社は負担軽減などの機能を訴求

 トラックの運転手不足などを背景に、一度に多くの荷物を運べる「トラクター」の販売が伸びている。けん引する荷物の重さや長さを緩和する規制緩和も販売を後押しする。いすゞ自動車はトラクター販促の専門組織を立ち上げ、UDトラックスは試乗の機会を増やして運転手の負担軽減につながる機能を訴求するなど、運送業界が抱える構造的な課題の解決に取り組む。

前期比3割増

 日本自動車販売協会連合会によると1―8月のトラック(普通貨物車)販売は前年同期比2%減の約11万台。うちトラクターは同30%増の約6000台と好調に推移する。

 いすゞは4月、21年ぶりに大型トラック「ギガ」のトラクターモデルを全面改良して販売。運転席の周りにスイッチを適切に配置して操作性を高めるなど、運転手の負担軽減につながる機能も盛り込んだ。

 販売では4月にいすゞ自動車販売(東京都品川区)でトラクター販促の専門組織を新設した。新車販売に合わせて商品研修を実施し、試乗車を活用した営業も展開。1―8月のトラクター販売は同68%増と躍進する。

 UDトラックスは全国でトラクターを含めた試乗会を開き、クラッチを操作することなく変速できる12速電子制御式変速機の体験に力を入れる。従来の12速の手動変速機を使いこなすには熟練の技術が必要だが、経験が浅い運転手でも「オートマ」感覚で運転できる。

 試乗によりトラクターを運転する不安を和らげ、「少しでも運転手不足に貢献したい」(UDトラックス国内車両営業本部の柴崎徹バイスプレジデント)。1―8月の販売は同20%増と伸長。8月単月では販売シェア約3割の首位となり、「2016年は前年比2割増を目指す」(柴崎バイスプレジデント)と意気込む。

 また1―8月の販売シェア首位の日野自動車は同19%増、三菱ふそうトラック・バスは同23%増と各社とも堅調だ。

長距離輸送では中間地点で荷物引き継ぐ

 国土交通省は15年、トラクターの後輪の軸に係る重さ制限を10トンから11・5トンに緩和。またコンテナを含む車両の長さの許可基準を17メートルから18メートルに見直し、全長45フィートのコンテナ輸送を可能にした。一連の規制緩和でより多くの荷物を運べるようになり、増車時に物流などで使われる「カーゴ系トラックよりトラクターを選ぶ動きも出ている」(商用車メーカー幹部)。

 また500キロメートル超の長距離輸送では、中間地点で別のトラクターに荷物を引き継ぐ輸送方法の広がりも販売を支える。例えば東京から大阪まで輸送する場合、中間の静岡辺りでコンテナを引き継ぎ、別のトラックが大阪まで輸送する。

 トラクターはカーゴ系トラックと異なり荷降ろしすることなくコンテナを引き継げるほか、静岡であれば東京まで日帰りで引き返せるため運転手の負担軽減にもつながるという。運転手不足が深刻化するなか、行政、運送会社、メーカーが一体となって働きやすい環境をつくり出す知恵が求められていると言えそうだ。

日刊工業新聞第一産業部・西沢亮

最終更新:9/25(日) 9:24

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