ここから本文です

[寄稿]民進党の針路

ハンギョレ新聞 9/25(日) 21:32配信

 9月15日、民進党の代表選挙で蓮舫氏が圧勝し、日本の大政党で久しぶりに女性党首が誕生した。しかし、代表選では路線や政策をめぐる議論よりも、蓮舫氏の国籍問題が大きな話題となり、民進党は新たなイメージの確立の機会を逃した感がある。

 蓮舫氏の国籍問題に現れた民進党の欠落について、一言触れておきたい。この問題は、批判する者が自らの無知と差別意識を露呈するものでしかない。彼女が生まれた時の日本の国籍法は父系主義で、台湾人の父と日本人の母を持つ彼女は日本国籍を取れなかった。のちに国籍法が両系主義に改正され、日本国籍の取得に至った。日本の国籍法が最初から男女平等であったなら、この問題はそもそも発生していなかった。昔はひどい男尊女卑があったと反省することくらいしか、この問題の教訓はない。

 民進党の議員は、対立候補の陣営も含め、差別主義的な言いがかりに対して断固として反撃し、蓮舫氏を守るべきであった。排外主義的な空気を読み取って、これに迎合するように党のガバナンスがどうのこうのと声を出す政治家を見ていると、自分が何を信じているのか、そして自分に思いを託してくれる支持者が何を望んでいるのか、まったく勘違いしている政治家が民進党にはこれほど多いのかと嘆息した。蓮舫体制の発足時にこんな問題が起こると、民進党の政策決定に際して、右からの批判に右往左往するという状況が起こりうるのではないかと心配になる。

 民進党の新しい指導部にとって、最初の問題は、次の衆議院選挙に向けて野党協力の体制をどう構築するかという課題である。代表選挙の中では、野党協力路線を見直すという発言もあったが、保守的な政治家も含めて、小選挙区での戦いにおいては野党候補の一本化が必要であることはみんな分かっている。一強体制の今、野党がバラバラで選挙に突入するなら、それは自民党政権永続化の道である。参議院選挙における11の1人区での勝利という経験を踏まえ、小選挙区を勝ち抜くための体制を構築することは急務である。

 蓮舫氏は、野田佳彦元首相を幹事長に据えた。この人選は、党の内外で反発を呼んでいる。しかし、この体制で最善の道を探るしかない。野田氏には、消費税率引き上げを単なる増税ではなく、積極的な社会支出の財源に充てるという本来の意図を実現することに、政治家生命をかけてほしい。増税を単なる赤字削減ではなく、より良い日本社会を作るための投資として位置づけ、国民を説得すべきである。それによって、税率引き上げを二度延期した、その場しのぎの安倍政権との差異化を図れるであろう。

 野党協力の構築についても、野田氏だからできることがあると思う。安倍晋三首相が「タカ派」「伝統的」というイメージから脱却するために、女性や働き方などのテーマに取り組んでいる。こうした目新しい政策提起は、安倍政権が人気を保っている理由の1つだろう。政治家は「らしくない」ことを手掛けることでイニシアティブをとれる。保守的と言われるからこそ、その野田氏が野党結集に踏み出せば、野党協力は本格化するだろう。

安倍首相は、ロシアのプーチン大統領の訪日の際に北方領土問題解決の糸口を付けて、それを手柄に今年末から来年初めに衆議院を解散するという観測もある。野党にとって残された時間は少ない。包括的な政権綱領は無理にしても、原発とエネルギー、雇用、社会保障について共通政策を作ることは、政権を争う衆議院選挙ではどうしても必要である。蓮舫-野田体制が失敗すれば、民進党は分裂するかもしれない。野党にとって、正念場である。
山口二郎・法政大学法学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:9/25(日) 21:32

ハンギョレ新聞

なぜ今? 首相主導の働き方改革