ここから本文です

25年ぶりのリーグ優勝に抱く思いは? アラフォー広島カープファン座談会

ITmedia ビジネスオンライン 9/26(月) 7:40配信

新人記者が行く:

●広島東洋カープ、25年ぶりのリーグ優勝

 プロ野球の広島東洋カープが、25年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした。地元・広島は大喜びで、優勝が決定した9月10日の市街はお祭り騒ぎで、スーパーやデパート、飲食店はこぞって優勝セールで割引・無料キャンペーンを開催した。関西大学の宮本勝浩名誉教授によると、経済効果は331億4916万円にも上るという。

【大盛り上がりするカープファン】

 カープのファンは、今どんな気持ちなのだろうか。また、カープという球団にはどんな魅力があるのか、「カープ女子」に正直どんな思いを抱いているのか――アラフォーのカープファン、タツカワさん、キクチさん、アライさん(仮名)の3人に話を聞いた。

●カープの優勝、どんな気持ち?

――まずは、リーグ優勝本当におめでとうございます。優勝が決まったときは、さぞ大興奮だったと思うのですが……あれっ、なんだか表情が複雑ですね。

タツカワ: 25年、長かった……。

キクチ: 優勝はうれしいんです。うれしいんですけど……ずっと優勝してなかったから、よく分からない気持ちになっている。ここ十数年、野球観戦の時に“優勝争い”を意識したこともなかったので。

アライ: 分かります。優勝慣れしてない。「マジックってどう減るんだっけ……?」と思い出しながらのシーズンでした。これはファンだけじゃなくて、現役選手も同じだったみたい。菊池涼介選手はヒーローインタビューで「マジックとかよく分からない」と言ってましたね(笑)。

キクチ: でもそれは無理もないですよね、今の現役選手は全員優勝争いを経験してないから。ずっと5位が指定席。「安定の5位」「5位力が強い」なんて称されていた(苦笑)。

アライ: 優勝争いじゃなくて、Aクラス(リーグ内3位まで)に残るのがファンの願いだった。こいのぼりが上るまでは調子が良かったりするんですけど、後半になると失速していく。去年のFacebookを見てると、今年よりずっとヤキモキしている(笑)。「頼むからAリーグに残ってくれ!」と。結局最終戦で負けて4位になってしまいましたけど……。

キクチ: そんなカープがついに優勝。しかも圧勝ですよ。

タツカワ: 若干圧勝しすぎたくらい……。ちょっと1996年の「メークドラマ」(※巨人に最大11.5ゲーム差を逆転され優勝を逃し、カープファンのトラウマになっている)を思い出しました。でもそれを乗り越えて優勝してくれたので、本当にうれしい。

●優勝の原因は?

――これまで低迷していたカープが優勝できたのはなぜでしょうか。

タツカワ: 「これまで低迷していた」というのは正確ではないですね。最後に優勝した1991年以前は、優勝争いによく食い込むチームだった。その後も、94年から98年にかけての三村敏之監督時代だって奮闘していたんです。……確かに2000年代は不調だったけど。

アライ: でも、ここ何年かは「強くなってきている?」と感じているファンが多かったのでは。

キクチ: 強くなってきていたし、球団自体が盛り上がってきていた。そのきっかけになったのは、球場が新しくなったことじゃないでしょうか。09年に初代の広島市民球場からMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(マツダスタジアム、通称ズムスタ)に変わって、グッと観客動員数が増えた。

アライ: 新しいファンもすごく増えたし、ファン層も変化した印象です。それまでの場内はおじさんがたくさんいたけど、ズムスタになってからは家族連れを見かけることが一気に増えた。

キクチ: 10年は元カープ主将の野村謙二郎が監督になって、13年には球団初のCS(クライマックスシーズン)に進出。若手もどんどん成長していった。

タツカワ: 去年は前評判が高くて、優勝するんじゃないか、優勝はできなくてもAクラスは確実――とみんなが思っていたところの逆転4位で崩れ落ちたけど(苦笑)、むしろ今年が開花の年でしたね。若手が大爆発して、圧倒的な主力になった。まさか鈴木誠也選手が首位打者争いをするほどの活躍をみせるとは……!

アライ: あと、昔からのファンとして非常にアツいのは、かつて現役時代に優勝を経験した選手たちが、監督やコーチとして帰ってきていることですね。緒方孝市監督もそうですし、高信二ヘッドコーチも91年の優勝シーズンではスタメンだった。ストーリー性を感じてしまいます。

●カープファンになったきっかけは?

――そもそも、みなさんがカープファンになったきっかけはなんですか?

タツカワ: 僕は広島県広島市出身で、生まれた時からカープ以外の選択肢がありませんでしたね。テレビも新聞もみんなカープを中心に報じていたし、ご近所も友達も周りはみんなカープファン。良くないことだったと今では思いますが、子供の頃はジャイアンツの帽子をかぶっている子はいじめの対象になってしまうくらいでした。

アライ: 僕も同じ。生まれは東広島でした。ちょっとタツカワさんと違うところは、父親の勤め先。東洋工業(現マツダ)だったので、それはもうカープしか見えないですよね。

――なるほど。読売新聞や楽天、ソフトバンクなどもそうですが、スポンサードしている球団がある企業に勤めている人は、他の球団を応援しづらいですね。

アライ: そうです。でもそれがなくても、さっきタツカワさんが言っていたように、小学校でカープ以外のファンはありえない状態でしたね。東京から来た転校生にみんな興味津々なのに、「好きな球団はジャイアンツ」なんて言ったとたんサーッと引く、みたいな感じでしたから。あと、カープが負けると、学校の先生が不機嫌になりませんでした?

タツカワ: 不機嫌になって小テストが実施されました(笑)。うちの担任だけかと思っていたけど、聞いてみるとそういう先生も広島には多くいたみたいですね。今でも覚えているんですけど、1991年の日本シリーズに出場したとき、授業中なのにテレビをつけて「授業はもう終わり! カープの応援じゃ!」って……。

――「広島あるある」ですね(笑)。小学生のときに、学校からカープのロゴが入ったえんぴつが配られる……なんて話も聞いたことがあります。

アライ: 「広島あるある」、結構ありますね。「ますやみそ」の昔のCMで出てた衣笠祥雄選手のモノマネするとか、「創建ホーム」のCMを毎年チェックするとか、達川光男さんの解説が適当すぎて困ったりとか。

タツカワ: 球場に向かってると、自転車乗ったおっさんかおばちゃんに「今日どこと(対戦なの)?」と聞かれるとか(笑)。

――キクチさんも広島出身ですか?

キクチ: いや、僕は東京生まれ東京育ちですね。

――珍しい。東京出身者は、ジャイアンツやヤクルトのファンが多い印象があります。

キクチ: すごく理由が単純で、照れくさいんだけど……僕は少年野球チームで野球をしていて。そこで来ていたユニフォームが、カープみたいだったんですよ。しかも当時はカープがすごく強く、山本浩二選手や“鉄人”こと衣笠選手が活躍している黄金期。親は巨人ファンだったけど、僕と弟は断然カープファンでした。

●カープという球団の魅力は?

――長年カープを応援している皆さんに、カープという球団の魅力を伺いたいです。他の球団と比べて、どんな特徴があるチームで、どこにホレているのでしょうか。

キクチ: 長打力はないけど、機動力のある野球。とにかく走って、とにかく守る。カープが好きだからカープみたいな野球が好きになるのか、もしくはその逆なのかはちょっと分からないですけど、カープの機動力野球はすごく好きですね。最近だとさっきも話題に出た菊池選手がイチオシ。まさにカープの野球という感じで、彼の守備を見ているだけで白いごはんを食べられるくらい。

アライ: 菊池選手は群を抜いてますね。僕がカープを好きな理由は、菊池選手や鈴木誠選手のように、無名の人が有名になってくるところ。メジャーリーガーになった黒田博樹選手も、中高生時代はぱっとしなくて、カープに入ってから成長し始めたんですよ。育成力とドラフト力、スカウトマンの将来性を見る目がある。

タツカワ: 一時期は、カープで育成した選手が他球団に取られて、そして移籍先でさらに活躍するということも多かったですね……(遠い目)。カープは90年に「日本球界史上初のアカデミー」をドミニカ共和国に作ったんですが、そこで育てた選手も、カープでは“そこそこの活躍”だったのに、メジャーリーグでは“大活躍”。

アライ: はは……(苦笑)。でも、無名の選手がいつの間にか主力になるのをリアルタイムで追いかけていくのは感動しますよ。育ててもらった恩義を感じているからか、なかなか他球団に行かないし。行ったとしても、黒田選手や新井貴浩選手のように、戻ってくることもありますし。

キクチ: 2人とも、まさか帰ってくるとは……。驚きました。

アライ: 新井選手は『おそ松くん』みたいな帰り方。去年『おそ松さん』というアニメが放送されてたじゃないですか。「新井」が「新井さん」になって帰ってきた感じ。今カープで1番人気があるのは新井選手かもしれないですね。今年4月には2000本安打も達成して、他球団ファンからは「新井に打たれたらしょうがない」なんて声も聞きます(笑)。

タツカワ: 僕はカープのお金がないところが好きですね。

キクチ&アライ: あ~(納得の声)。

――えっ、どういうことでしょう。

タツカワ: 1番象徴的なのは「樽募金」。51年のカープは、選手の給料や活動費をまかなえないほどお金がなかった。このままでは球団の存続が危ぶまれる……という状況下で、ファンが立ち上がった。球場の入り口に樽を置いて、その中にみんなお金を入れていったんです。

――原爆によって受けた傷がまだ生々しい状況下で、みな余裕があるわけではないのに、カープのために募金を……。

タツカワ: ある意味、カープの活躍は、広島復興の象徴だったと思うんですよ。

キクチ: 最近だと、ズムスタの施工費として、みんなで樽募金しましたねー。

タツカワ: 51年当時ほど困窮しているわけではないけど、カープはお金が潤沢に使える球団ではない。強い選手をとれないから育成するし、外国人選手もそんなに有名じゃないけど日本の野球に合う人をスカウトしてくる。そこで活躍して年俸が上がると他球団に移籍されて、また新しい人材を確保する(苦笑)。

アライ: 前田健太選手のドジャース移籍金で、かなり選手を補強しましたよね……。

キクチ: カープって、「2000本安打」や「ベース投げ」など、何か球団にとってのイベントがあるとすぐTシャツやグッズを作るんですよ。それってファンを増やしてグッズ売り上げを増やすマーケティング的な工夫。面白い企画が出てくるのも、お金がないからこそ(笑)。

●カープ女子、どう思う?

――最近、「カープ女子」が増えていると聞きます。

アライ: 確かにすごく増えましたね。僕が子どものころは、球場に女子はほとんどいなかった。本当に正直なことを言うと、今でもカープ女子を見るとドキッとしてしまう。ユニフォームにショートパンツ姿の子が多くて、いわゆる「彼シャツ」状態で……。

タツカワ: もともとの「カープ女子」は今みたいなライトでおしゃれな感じじゃなく、選手たちを自分の息子のように『叱咤激励』するような熱いファンが昔からたくさんいまして……。今の現象には、「ほんまにカープが好きなんね?」「あんたら、昔のカープを知らんじゃろう」と言う人もいますけどね。まあ、言いたいことは分かる(笑)。でも、僕としては一緒にカープを応援してくれるのはとてもありがたいです。

キクチ: カープ女子が増えたのは、スタジアムが新しくキレイになって、人が来やすくなったのが大きいと思うね。旧広島市民球場のときは、ヤジもすごいし、酔っぱらいも多くて、子連れや女性は行きづらかった。

アライ: 来ている客層も変わりましたし、応援自体も変化してませんか? 純粋に野球を見に行ってるだけというよりも、応援することも含めて楽しんでいるように見える。子供の頃の記憶では、スクワットやラッパはあったけど、みんなほとんどユニフォームは着てなかったような……?

タツカワ: 応援歌も増えましたね。チャンステーマも最近変わった? あれ、誰が変えてるんだろう? 意外と気付かないうちに変わっている。

アライ: どんどん新しいのができて、覚えられないのが悩みです……。野球観戦は、最初は内野から通い始めて、慣れてきたら外野席で。さらに上に行きたいなら、応援団に参加してもいい。応援団は僕たちも知らないすごい世界ですけど。

キクチ: 推し選手がいると楽しい。菊池はいいですよ、菊池は。美しい異次元の守備です。

――最後に、CSと日本シリーズに向けての期待をお願いします。

タツカワ: 正直な気持ちとしては、「CSってあるんだ!?」ですね。すぐに日本シリーズに行く気がしていた。1位で実施するのが初めてなので……。

アライ: 25年前にCSはありませんでしたからね(笑)。CSはきっと勝てると思うけど、日本シリーズは、上がってくるカード次第ではちょっと心配。

キクチ: 今年は、黒田選手と新井選手といったベテランと、開花した若手が大活躍した年。このメンバーで日本一になってほしいですね。目指せ、31年ぶりの日本一!

最終更新:9/26(月) 7:40

ITmedia ビジネスオンライン

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。