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石炭火力で発電効率50%に向上、福島復興のガス化発電所が10月に着工

スマートジャパン 9/26(月) 7:25配信

 「石炭ガス化複合発電」(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)は日本が世界をリードする発電技術の1つで、LNG(液化天然ガス)を燃料に利用する火力発電と同等の発電効率を発揮する。燃料が安い石炭を使ってCO2(二酸化炭素)の排出量を削減できる利点があり、国を挙げて実用化に取り組んでいる。

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 IGCCによる最先端の石炭火力発電設備を福島県内の2カ所に建設することが正式に決まった。1カ所は太平洋沿岸の広野町(ひろのまち)にある東京電力の「広野火力発電所」の構内で、既設の石炭火力発電設備に隣接して建設する。すでに貯炭場の工事を2015年4月から進めていて、5年後の2021年9月に営業運転を開始する計画だ。

 もう1カ所は同じ太平洋沿岸のいわき市にある常磐共同火力の「勿来(なこそ)発電所」である。東京電力と東北電力が共同で運営する火力発電所で、現在運転中の5基のうち1基は日本で初めてIGCCを商用化した発電設備だ。既設のIGCCの発電能力は25万kW(キロワット)だが、2カ所に新設するIGCCでは54万kWに達する。

 勿来発電所では既設の設備の改修工事が不要なことから、広野町よりも早く2020年9月に営業運転を開始できる見込みだ。1年前の2019年9月には試運転に入ることを想定している。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの時点では最先端のIGCCが福島県で稼働している状況を世界に示して、震災からの復興をアピールする狙いがある。

ピーク時に最大2000人の雇用を創出

 福島県に建設するIGCCの実証設備は国と県が推進する復興計画の一環で、官民連携で取り組む一大プロジェクトである。建設工事のピーク時には2カ所を合わせて1日あたり最大2000人規模の雇用を創出する。工事に先立って実施した環境影響評価から今後の発電設備の運用までを含めると、1600億円にのぼる経済波及効果が見込まれている。

 さらに発電技術の点でも期待は大きい。国が策定した次世代火力発電のロードマップでは、IGCCを石炭火力の中核の技術に位置づけている。現在の石炭火力で最新鋭の「超々臨界圧」(USC:Ultra Super Critical)の発電効率が40%程度であるのに対してIGCCでは50%程度まで引き上げることが可能だ。発電効率が高くなる分だけ燃料費を低減できて、同時にCO2排出量の削減にもつながる。

 福島県に新設するIGCCは石炭をガス化する時に酸素と窒素が混じった状態の空気を使う「空気吹きIGCC」と呼ぶ方式を採用する。勿来発電所で運転中のIGCCでも空気吹き方式を採用している。

 このほかに空気から酸素を抽出してガス化の効率を高める「酸素吹きIGCC」がある。中国電力とJ-Power(電源開発)が広島県に建設中の「大崎クールジェンプロジェクト」のIGCCで採用している。発電能力は16.6万kWで、2017年3月に実証運転を開始する予定だ。

 酸素吹き方式のほうが石炭の燃焼温度を上げて効率よくガスを発生させることができる半面、空気から酸素を抽出する設備が必要になるため発電所内の消費電力が大きくなる。発電所から送電できる電力の効率では相対的に空気吹き方式のほうが高い。

 福島県に新設するIGCCは発電端効率(発電設備の出力ベース)が50%で、送電端効率(発電所から送電線への出力ベース)は48%になる見通しだ。勿来発電所で運転中のIGCC(10号機)の送電端効率40.5%と比べて7.5ポイント高くなり、大崎クールジェンで建設中の酸素吹きIGCCの40%を大きく上回る。

 火力発電の効率は燃料の燃焼温度によっても差がつく。勿来10号機は石炭から発生させたガスを1200℃程度で燃焼させて発電するのに対して、新設のIGCCでは1500℃程度までガスの燃焼温度を高めて発電能力を引き上げる。2カ所の発電設備は三菱日立パワーシステムズが供給する。

最終更新:9/26(月) 7:25

スマートジャパン

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