ここから本文です

日本の再エネ比率は先進国で20位、火力発電は82%で5位

スマートジャパン 9/26(月) 9:25配信

 IEA(国際エネルギー機関)は加盟国のエネルギー政策を定期的に分析・評価してレポートを発行している。日本のエネルギー政策に関して2008年以来8年ぶりに評価した結果を9月21日に公表した。その中で東日本大震災後の火力発電の増加を第1の問題点として取り上げている。

【その他の画像】

 先進国を中心にIEAに加盟する29カ国の2015年時点の電源構成を比較すると、日本は火力発電の比率が82%に達して5番目に高い。日本を上回るのは石炭の産出国であるオーストラリアをはじめ、ポーランド、エストニア、オランダである。

 対照的に火力発電の比率が低いスイス、ノルウエイ、スウェーデン、フランスの4カ国では10%以下に抑えられている。フランスは原子力が80%を占め、その他の3カ国は水力が最大の電源だ。このほかにカナダ、ニュージーランド、オーストリアでも水力の比率が高く、火力発電は20%前後の低い水準にある。

 日本では震災後の火力発電の増加に伴ってCO2排出量も拡大した。電力1kWh(キロワット時)あたりのCO2排出係数は2014年に554 gCO2(CO2換算グラム)に上昇して、500gCO2以下の米国・ドイツ・英国を大きく上回っている。ただし震災前の20年間もCO2排出係数は横ばいの状態で、長年にわたってCO2削減の取り組みが進んでいなかったことがわかる。

 IEAは再生可能エネルギーの導入状況についても各国を比較している。日本の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率は水力や廃棄物発電を加えると2015年に17%まで上昇した。それでも29カ国中で20番目にとどまる。最下位は韓国で、欧米に比べてアジアの先進国の遅れが目立つ。

 再生可能エネルギーの拡大に向けて、IEAは日本政府に5つの改善項目を提言した。第1にバランスの良い電源構成で拡大していく政策の導入、第2にコストを削減する意欲的な目標の設定、第3に地熱と風力に対する環境影響評価の簡素化、第4に風力と太陽光の発電量の予測に基づく運用方法の確立、第5に再生可能エネルギーの熱利用に関する戦略の策定だ。

日本のエネルギー予算の68%が原子力に

 さらにIEAは日本の電気料金が高水準で、しかも安定していないことを問題点の1つとして指摘した。化石燃料の輸入価格が大きく変動するためで、CO2排出量の抑制と合わせて対策の必要性を強調している。

 加盟国のうちIEAがデータを入手できた20数カ国の電気料金を比較すると、日本は企業向けが2番目に高く、家庭向けは8番目に高い。税金を除くと家庭向けの料金も最高レベルの水準になっている。改善には電力市場の自由化を徹底的に進めて、競争状態を作り出す必要があるとIEAは指摘した。電力会社の発電と送配電の分離を進める一方、健全な競争を阻害するような企業合併を防止するように求めている。

 IEAはエネルギー分野の技術開発において、日本が引き続き先導的な役割を担うことにも期待をかける。再生可能エネルギーやスマートグリッドをはじめ、CO2排出量を削減する次世代石炭火力(クリーンコール)などの低炭素技術の開発・導入を注力すべきテーマに挙げた。

 日本がエネルギー分野の研究開発・普及に投じた国家予算は、2014年に3460億ドル(約36兆円)にのぼるとIEAは推定している。これは名目GDP(国内総生産)の488兆円に対して0.7%に相当する。IEA加盟国の中ではノルウエイとフィンランドに次いで3番目に高い比率だ。

 ただし内訳を見ると、原子力が全体の47%を占めていて、IEAがデータを収集できた23カ国の中では最大の国家予算を費やしている。原子力発電の比率が80%に達するフランスさえも上回る。その影響で再生可能エネルギーには21%しか投入できていない。

 IEAの分析では、1990年から2014年までの25年間を平均すると、日本のエネルギー分野の研究開発・普及費の68%が原子力に使われている。震災が発生した2011年からは原子力が減って再生可能エネルギーが増えているものの、国のエネルギー戦略に見合っていないことは明らかだ。

 IEAは日本がCO2排出量を削減するために、原子力発電所の再稼働を進めるべきだと提言している。ただし安全性の確保に加えて、国民に十分な情報提供を通じて理解を得ることの重要性を強調した。原子力に関する国の意思決定の情報を国民に提供したうえで、原子力の役割を中立性と透明性をもって国民と対話しながら決めていくように求めている。

最終更新:9/26(月) 9:25

スマートジャパン