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資金循環統計(16年4-6月期)~個人金融資産は前年比31兆円減の1746兆円、目減りが続く

ZUU online 9/26(月) 19:20配信

■個人金融資産(16年6月末): 16年3月末比では6兆円減

2016年6月末の個人金融資産残高は、前年比31兆円減(1.7%減)の1746兆円となった(*1)。前年比でのマイナス幅は3月末の8兆円減(0.4%減)から大きく拡大した。年間で資金の流入超過が15兆円あったものの、株価の下落と円高の進行を受けて、時価変動(*2)の影響がマイナス46兆円(うち株式等がマイナス28兆円、投資信託がマイナス15兆円)に達したためだ。

四半期ベースで見ると、個人金融資産は前期末(3月末)比で6兆円の減少となった。例年4-6月期は一般的な賞与支給月を含むことからフローで流入超過となる傾向があり、今回も11兆円の流入超過となった。しかし、4-6月期は英国のEU離脱決定の影響などから大幅な株安・円高となったため、時価変動の影響がマイナス17兆円(うち株式等がマイナス10兆円、投資信託がマイナス5兆円)発生し、資産残高が目減りした。

ちなみに、家計の金融資産が、既述のとおり4-6月期に6兆円減少する一方で、金融負債は9兆円減少したため、金融資産から負債を控除した純資産は、1363兆円と、3月末の1360兆円から3兆円増加している。

なお、その後の7-9月期については、一般的な賞与支給月を含まないことから、例年フローで小幅な流出超となる傾向が強い。また、6月末以降も円高がやや進んでいることも資産の目減りに繋がっているが、日銀のETF買入れ増額決定(7月)などによって株価は持ち直していることから、足下の個人金融資産残高は6月末から若干増加していると推測される。

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(*1)今回、2005 年1~3 月期以降の計数について遡及改定が実施されている。
(*2)統計上の表現は「調整額」(フローとストックの差額)だが、本稿ではわかりやすさを重視し、「時価(変動)」と表記。
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■内訳の詳細: 普通預金への資金流入増加、投資信託からの流出続く

4-6月期の個人金融資産への資金流出入について詳細を見ると、季節要因(賞与等)によって例年同様、現預金への資金流入(積み増し)が際立っている。

ただし、例年はこの時期に定期性預金への流入が起きるものの、今回は資金流出となっており、それに見合う額の大半が流動性預金(普通預金など)の積み増しに回っている状況がうかがわれる。マイナス金利政策導入以降、定期預金金利がほぼゼロにまで引き下げられた影響が続いていると考えられる。

リスク性資産に関しては、株式からの資金流出額が近年の同時期よりも小幅(0.7兆円減)になった。株価下落局面での押し目買いもあったとみられる。一方で、投資信託は例年この時期には資金流入が進むが、今回は小幅ながら流出(0.1兆円減)に転じている。

この時期の流出は、リーマンショックが尾を引いていた2009年4-6月期以来となる。MMF・MRFからの資金流出は一旦止まったようだが(MMFはマイナス金利導入に伴う運用難によって販売停止・一部で払い戻しに)、投信全体として持ち直しは見られない。

なお、株と投資信託に外貨預金や対外証券投資などを加えたリスク性資産の残高は260兆円、その個人金融資産に占める割合は14.9%と、3月末の278兆円、15.8%からそれぞれ低下している。株価下落等によって時価が減少した影響が大きい。

その他証券では、国債からの資金流出が縮小する一方、信託受益権(貸付信託等)から資金が流入した。

今回は引き続き、マイナス金利政策導入の影響という観点から個人金融資産の動きに注目していた。既述のとおり、株式等からの資金流出が縮小したものの、投資信託からの資金流出が進んだほか、対外証券投資、外貨預金も資金流出となった。

マイナス金利政策導入によって国内金利はほぼゼロと化したが、かといって家計のリスク性資産への投資が活発化した様子は確認できない。年初から金融市場の不安定な動きが続いており、リスク性資産への投資を躊躇しているようだ。

■その他注目点: 企業の資金余剰が継続、現預金残高は過去最高を更新

16年4-6月期の資金過不足(季節調整値)を主要部門別にみると、従来同様、企業(民間非金融法人)部門が大幅な資金余剰となり、一般政府の資金不足を補い、残りが海外へ流出した形となっている(家計はほぼ均衡)。ただし、企業部門の資金余剰幅は1-3月期から減少(11.6兆円→4.8兆円)しており、円高に伴う収益悪化が影響している可能性がある。一方、一般政府の資金不足額は縮小傾向が続いている。

6月末の民間非金融法人のバランスシートを見ると、現預金残高は242兆円と、過去最高3月末の241兆円から1兆円増加し、過去最高を更新した。例年3月末から6月末にかけては現預金が減少する傾向が強いものの、今回は増加となった。企業の現預金積み増しは続いている。なお、負債サイドの借入金はこの間に4兆円減少しているため、純借入金残高(借入金-現預金)は106兆円と、3月末から5兆円減少している。

国庫短期証券を含む国債の6月末残高は1105兆円と、3月末の1075兆円を30兆円上回り、初めて1100兆円台に突入。前年比では69兆円の増加となる。

国債の保有状況を見ると、これまでのトレンド同様、預金取扱機関(銀行など)の保有高が減少(233兆円、3月末比9兆円減)し、保有シェアも低下(21.1%、3月末は22.5%)した。一方、異次元緩和で国債の大量買入れを継続している日銀の保有高は引き続き大きく増加(398兆円、3月末比33兆円増)し、シェアも36.0%(3月末は33.9%)まで上昇している。

一方、海外部門の保有高は111兆円と3月末から1兆円の増加に留まり、シェアは10.0%(3月末は10.2%)と若干低下している。ただし、国債・財投債のみ(55兆円、3月末比4兆円増)では過去最高を更新しており、国庫短期証券からのシフトが起きている。

最後に、国内銀行・保険・年金基金(の合計)の4-6月の資金フローを確認すると、近年よりも現金・預金の流入超過が拡大する一方、国債からの流出超過が進んでいる。リスク性資産を見ると、1-3月と同様、対外証券投資への流入超過が顕著(保険・年金基金による)になったほか、貸出(主に銀行による)もプラスに転じている。

日銀はマイナス金利政策導入の狙いの一つに、ポートフォリオ・リバランス(リスク資産への資金シフト)を挙げており、金融機関等でも実際にリバランスが起きている。ただし、貸出・対外証券投資・株式・投資信託といったリスク性資産への資金流入額は国債からの流出額を大きく下回っており、リバランスは限定的に留まっていると言えそうだ。

上野剛志(うえの つよし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 シニアエコノミスト

最終更新:9/26(月) 19:20

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