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『F1 2016』の魅力を語る【第5回:ツツミ・デラックス】――F1は世界最速だからおもしろい

ファミ通.com 9/26(月) 18:17配信

文:編集部 ツツミ・デラックス

●そもそもF1のおもしろさとは?
 「F1って何がおもしろいの?」――何度も答えた質問だ。そんなときはこう答えている。「世界最速だから」。エベレストが世界最高峰であるようにF1は世界最速。世界でいちばん速く走りたいヤツらが、世界でいちばん速いマシンを求める唯一無二の場所。それがF1。ゲームの話は、ばしをとポルノ鈴木がしてくれているので、ボクは個人的なF1の思い出を書きたいと思う。これを読んで少しでもF1に興味を持ってもらえると幸いです。

●ファーストインパクト
 フジテレビでのF1中継が始まって2、3年ほど経った年。冬晴れの午前8時、晴れ。木の板が地面に埋め込まれただけの簡易ベンチが並ぶヘアピンのアウト側。友人とともにボクは待っていた。「どうせ最初はコローニとかオゼッラじゃね?」と軽口を叩きながら。そのときである、「コーン」という甲高いサウンドが彼方から微かに響く。「来た来た!」。その咆哮は瞬時に山を超え爆音と化す。つぎの瞬間、目の前には朝の陽光を浴び鮮やかなブルーを湛えたマシンが雷のような轟音を奏でていた。「リジェだ! アルヌーだ!」。当時フジテレビのF1中継ではプロレス実況で人気だった古舘アナを抜擢。プロレス中継よろしく、ドライバーにあだ名を付け、おもしろおかしく実況していた。

 ルネ・アルヌー。1980年代前半にはフェラーリドライバーを務め、キャリアのピークにはチャンピオン争いにも加わった彼も、このころにはすっかりテールエンダーに落ちぶれていた。“トップ集団に周回遅れにされるときは、すみやかに道を譲らなければいけない”。レースの鉄則である。その鉄則に執拗に抗うがゆえ、度々テレビに映るアルヌーは完全にヒールであり道化。“妖怪とうせんぼ爺”は、そんなアルヌーに付けられたあだ名である。生でF1を見たことがなかったボクたちにとって、アルヌーは当然ながら嘲笑の対象でしかない。その彼が、目の前にいる。雷を伴って。鈴鹿でもっともスピードが落ちるヘアピンに横たわるフレンチブルーのマシンは、これまで見たことのないくらい美しく、そして気高い。あまりの存在感に言葉などない。

 アルヌーが走り去った後には焼けたオイルとタイヤゴムの香りが漂う。気がつくと涙が溢れていた。「アルヌー速ぇえっ!」少し落ち着きを取り戻したボクらは叫ぶ。ボクとF1の長い長い付き合いはこうして始まった。この日はF1日本GP開幕の日。当時エントリー台数が多すぎて、フリー走行が始まる日の午前8時から1時間“予備予選”なるものが行われていた。文字通りランキング最下位争いをしているチームによる予選に出るための予選。F1界もバブルだったんだなぁ、といまにしては思う。

●ドライバーのエピソード
 そんな世界屈指の強者たちが一堂に会するF1。当然ながらアイルトン・セナやミハエル・シューマッハ、キミ・ライコネン、フェルナンド・アロンソ、セバスチャン・ベッテル、マックス・フェルスタッペンなどなど、数多のF1ドライバーたちのエピソードは無限といっても過言ではない。

 その中で印象的だったのがイワン・カペリのエピソード。レイトンハウスでデビューした彼はフェラーリのシートを手にするも、マシンにも恵まれず優勝することなくキャリアを終えた。F1界ではまごうことなき中堅ドライバーである。当時の雑誌で仕入れたネタなので真偽の程は定かではないが、F1ドライバーの異能者ぶりがうかがえる愉快なエピソードがある。

 ガラガラの高速道路を運転中、前方でアクシデントが発生。2台の車がスピンをして車線を塞いだときのこと。ハンドルを握るカペリはブレーキを踏むかと思いきや2台のあいだに空いたギリギリ車1台分の隙間に向かってアクセルを全開に踏み込み、こう言ったそうです。「ミラーたたんで」。カペリの運転するクルマは無事に隙間を200キロオーバーのスピードで通過したとか、しなかったとか。

●もうひとつのF1 ~マシンデザイナー~
 そしてもうひとつのおもしろさが天才エンジニアによる、マシン開発戦争。モノコックを絞り込む“コークボトルライン”や、当時主流だったアルミではなく新素材“カーボンファイバーモノコック”、クラッチを無くし、ハンドル裏のハドルでシフトチェンジする“セミオートマティック”など、最新テクノロジーの採用により現代F1の礎を築いたジョン・バーナード。その実質後継者として、1980年代末に頭角を現したアドリアン・ニューウェイは徹底したエアロダイナミクス(空気力学)により、それまでのF1の常識を大きく覆し時代を席巻する。

 昔よく語られた“F1あるある”に「F1についている羽根(ウィング)を上下逆さに取り付けると空を飛べる」というのと、「リアウィングの後部両端にできる白い筋は飛行機雲と同じもの」というのがある。これはどちらもエアロダイナミクスに関する逸話だ。ニューウェイはボディやウィングの形状を風洞実験で徹底的に見直し、前面からの空気抵抗を減らしつつ、より大きなダウンフォース(空気によって車体を地面に押し付ける力)を得るという、相反する課題をクリアーしていった。ニューウェイのマシンは下位チームのマシンをトップ争いに押し上げ、このトレンドはF1全体を席巻し、それはいまだ健在だ。

 上記のエピソードは50年を超えるF1ヒストリーのほんの一部分でしかない。ほかにも語るべきエピソードはごまんとあるのだが、それはまたの機会に。

 兎にも角にもこんなにも楽しいエピソードが詰まったF1の現在(いま)が体験できる『F1 2016』である。これはつまり「買わずに死ねるか!」なのです。

【バックナンバー】
・『F1 2016』の魅力を語る【第1回:ばしを】――“キャリアモード”の復活でF1ドライバーのバトルをよりリアルに追体験
・『F1 2016』の魅力を語る【第2回:座談会】――レースゲームはここまで進化した
・『F1 2016』の魅力を語る【第3回:座談会】――細かな演出が追加されてよりリアルに
・『F1 2016』の魅力を語る【片山右京氏インタビュー】――本物に近い駆け引きが味わえる
・『F1 2016』の魅力を語る【第4回:ポルノ鈴木】――“本物”と“遊び”の境界線を悠々と飛び越える究極のF1ゲーム

F1(TM) 2016
メーカー:ユービーアイソフト
対応機種:プレイステーション4 / Xbox One
発売日:2016年9月8日発売
価格:各7980円[税抜](各8618円[税込])
ジャンル:レース



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※画面は開発中のものです。

最終更新:9/27(火) 12:08

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