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「トランプ・リスク」で脚光を浴びる資産運用術

投信1 9/26(月) 20:10配信

11月8日の米大統領選挙まで1か月余りとなりました。市場では、「もしトランプ大統領が誕生したらマーケットは大きく動揺するのではないか」と心配されており、「トランプ・リスク」として警戒されています。こうした中、ここ最近のウォール街で注目度が高まっているのがリスク・パリティと呼ばれる資産運用戦略です。

リスクをコントロールして、相場の大きな下落を乗り切る

リスク・パリティ戦略とは、投資する資産ごとのリスク(価格変動率)を均一(パリティ)にすることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑え、相場の大きな下落に備えようとする試みです。

資産運用の基本は分散投資ですが、分散投資にはいくつかの落とし穴があります。まず挙げられるのが、同じような値動きをする資産に分散しても効果が乏しいということです。特に注意が必要なのが、平時においては異なる値動きでありながら、相場が急落する時には同調する傾向がある場合です。

また、標準的なポートフォリオとして株60%・債券40%を挙げることができますが、こうした伝統的なポートフォリオでは株と債券が異なる値動きであっても、一般に株価の変動は債券価格よりも大きいことから、リスクの大部分が株への投資に偏ってしまいます。したがって、株価が大きく下落する局面では大きな損失を出す恐れがあります。

単純な例としては、株価と債券価格のボラティリティ(変動率)がそれぞれ15%と5%だった場合、株と債券が逆方向に動くのであれば、投資比率をそれぞれ25%と75%とすることで株価が大きく下げても損失を防ぐことが可能となります。

このように、リスク・パリティ戦略では株価が急落した時に損失を最小限に抑えられるようリスクをコントロールすることに主眼が置かれています。

金融危機で注目も金利上昇局面で運用難に

リスク・パリティ戦略が普及するきかっけとなったのは2008年の金融危機だと言われています。金融危機では、主要な資産クラスが世界で同時に下落したことから、分散投資をしていても期待された効果が発揮されず、多くのファンドが巨額の損失を計上しました。

この反省を踏まえて、相場が大きく下落する局面でも損失を最小限に抑える投資手法としてリスク・パリティ戦略の人気が高まりました。

ただし、いいことばかりではありません。リスク・パリティ戦略は、リターンではなくリスクに軸足を置いていることから、低リスク資産である国債への投資比率が高い傾向にあり、金利の上昇局面での運用難が見込まれます。

実際、2013年のバーナンキ・ショック後、米金利が上昇する中で米株価が堅調となったことから、リスク・パリティ・ポートフォリオの運用成績は標準的なポートフォリオに比べて大きく見劣りする結果となり、それまでの人気が一転して、少なからぬ批判の対象となりました。

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最終更新:9/26(月) 20:10

投信1