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レジェンドが語るTOP14の魅力。~冨岡鉄平編~

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン) 9/26(月) 11:01配信

ニュージーランドやオーストラリアとの関係が深い日本のラグビー界にあって、フランスとの交流が深いチームが東芝ブレイブルーパスだ。トップリーグ設立前の東芝府中時代から、イアン・マラード、ピエール・ヴィルプルー、クリスチャン・ガルーなど、スポットも含めフランス人コーチを多数招聘。現役の選手でも、フランス出身で、強豪クラブのラシン92に在籍経験のあるCTB/WTBニコラス・クラスカが在籍している。かつてキャプテンとして3連覇を達成するなどトップリーグ最多5回の優勝に貢献し、今はヘッドコーチとしてチームを率いる冨岡鉄平さんに、フランスラグビーの魅力を聞いた。

レジェンドが語るTOP14の魅力。~村田亙編~

――冨岡さんは東芝の選手として、コーチとして、フランスのコーチングに触れてこられました。その印象を聞かせてください。
フランスのラグビーは、「世界の強豪国の中では、自分たちは体が小さい」という認識なんです。フィジカルでは圧倒できない。そこを頭で補おう、戦術や戦略を使ってフィジカルの差を埋めようという発想で、そのためのスキルをたくさん持っている。前にコーチに呼んだガルーが言っていた言葉に「我々は部屋に入るために壁を壊すのではなく、扉を開けるのだ」というものがあります。トライを取るためには力づくではなく、ディフェンダーを分裂させて、空いたところにランナーを走り込ませる。最後まで判断力が求められるし、想像力が必要です。代表チームはもちろん、フランスの各グレードのラグビーを見ていて「やっぱりそうなんだな」と思うことが多い。その文化はフランスラグビー全体を貫いているんですね。

――フランスリーグTOP14も、その流れを汲んでいるのですね。
もちろん、フランスリーグのTOP14も、そんなフランスラグビーの伝統を受け継いでいます。今はフランスの選手ばかりじゃなく、世界中のスーパースターが集まっていて、興行的にも世界で最も成功している華やかなリーグですが、やっているラグビーは同じヨーロッパでもイングランドのプレミアシップとは違うし、南半球のスーパーラグビーとも違います。それぞれ、色がくっきりと出ています。

――コーチとして、参考になるところもありますか。
ありますね。たくさんありますよ。これまで日本では、ニュージーランドやオーストラリアなど南半球のコーチング理論が主流だったけれど、フランスでは、たとえばディフェンスシステムも、スーパーラグビーの主流とは違うシステムを採用しています。これまでは高速ラグビーといえばスーパーラグビーという印象でしたが、TOP14も高速化を目指している。ただ、TOP14は世界のスター、インターナショナルのキャリアを多く積んで、フィジカル能力も高い選手が揃っている中で高速化を目指しているから、スーパーラグビーとはまた違ったアプローチが見えるのが面白いところです。
あとはディフェンスの時の体の当て方。南半球とは違うんですよね。我々東芝もディフェンシブなチームなので、コーチの目線で見てもとても勉強になるし、ヒントがたくさんある。ほとんどのゲームを見ています。

――フランスと言えば、東芝には、トップリーグでは珍しいフランス出身の選手、ニコラス・クラスカ選手がいます(母親がタイ人で、アジア枠で登録)。彼を通じて、フランス選手の特徴は何か感じますか。
パッションですね。情熱を感じるなあ。そしてフィジカルなプレーが好き。ただ、違いよりも感じるのは、自己犠牲の精神を強く持っているなということ。これはNZでもオーストラリアでも南アフリカでも、もちろん日本でもそうだけど、フランスでも変わらないんですね。世界共通なんだなと思う。

――そのフランスリーグに、五郎丸選手が今年から挑戦します。
すごいよね(笑)。僕から伝えたいのは、とにかく楽しんできてくれ、ということ。それだけです。
というのも、五郎丸は、本人があれだけストーリーを持っている男だし、どんな自分でありたいという芯をしっかり持っている男ですから。今はタレントみたいに見られる方もいるかもしれないけれど、トップリーグのコーチでも彼のことを悪く言う人は誰もいません。彼が献身的にトップリーグを、日本のラグビーを支えてきた人格者だということをみんな知っていますからね。とにかく思い切ってプレーしてほしいな。RCトゥーロンのジャージを着てグラウンドに立っているところを見たら、感動するだろうなあ。ねえ、みんな見たいですよね。本当に応援したいですね。

――冨岡さんにとって、ラグビーの素晴らしさ、魅力とは。
さっきも言いましたが、まさにそこ、自己犠牲の精神の貴さですね。理屈じゃない。これはラグビーそのものだと思う。子供の頃からずっとラグビーをしてきて、これまでに何度も、そんな経験を積んできました。いつ、誰に、とは特定できません(笑)。本当にたくさんの人が、自己犠牲をいとわないプレーでボールをつないでくれたし、チームを助けて、僕のことも助けてくれた。それを僕はカッコイイ!と思ったし、自分もそんな人間でありたいと思いました。
もちろん五郎丸もそうだし、トップ選手はみんな間違いなく、そういう経験を重ねてきています。去年のワールドカップの南アフリカ戦を見ても、全員がそうだったでしょ。
だから僕らの仕事も、1人でも多くの人に「僕もあんな選手になりたい」と思ってもらえるような選手を育てて、そう思ってもらえるような素晴らしい試合を見せることだと思う。その気持ちを一番持っているのは我々東芝だぞ、という自信はある。そのためにも、2019年のワールドカップ、2020年の東京オリンピックに向けて、1人でも多くのいい選手を育てて、1人でも多くの選手を日本代表に送り込みたいと思っています。

冨岡鉄平(とみおか・てっぺい)
1977年3月1日、福岡県生まれ。39歳。
ぎんなんリトルラガーズでラグビーを始め、中村三陽高から福岡工大を経て東芝府中(現・東芝)入り。ポジションはセンター。2002年から主将を務め、献身的なプレーと強烈なリーダーシップで、2004年度からのトップリーグ3連覇をはじめ、東芝を黄金時代に導く。2010年度で現役を引退。中国電力監督を2季務めた後、2013年度に東芝BKコーチ、2014年度よりヘッドコーチを務める。日本代表キャップ2。

■詳しくは、WOWOWラグビーオフィシャルサイトをチェック!
http://wowow.bs/rugby

最終更新:9/26(月) 11:01

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