ここから本文です

フォークロアなドレスを着たエロ可愛い娘たちにドキドキ! 『神聖なる一族24人の娘たち』

dmenu映画 9/26(月) 20:27配信

「何これ? 何処これ? かわいい!」と、まずは宣伝用フライヤーで色めき立って気にせずにはいられなかったのが、本作『神聖なる一族24人の娘たち』です。監督も原作も知らない人だし、24人の娘役も知らない(どころか多くが素人さん! だ)し、マリ・エル共和国だなんて(名前までかわいく感じられるけど)初めて聞くし……と予備知識ゼロ。けれど、ビジュアルのかわいさだけで針振り切っちゃって、観たんです。そう、ジャケ買い。これがもう大当たりでした!

“フォークロア”は2016年、春夏に続いて秋冬もモードの世界で注目され続けているキーワード。この秋冬も「トリコ・コム デ ギャルソン」や「H&M」などが掲げてますね。知り合いのスタイリストやおしゃれさんたちも、まずはフライヤーを見せただけで萌え萌え、すこぶる評判よろし。また、冒頭近くの雪の中の祭りはファンタジーに溢れて、「YOKAINOSHIMA」(銀座メゾンエルメスでの日本各地のユーモラスな仮面神や鬼を捉えた展覧会。盛況でしたね!)のシャルル・フレジェ(世界各地の装束を撮影しているフランスのカメラマン)も嬉々として撮影しそう。そんな見た目だけでもお得感(?)満載ですが、肝心の中身がこれまた面白いのです。

24人の娘の乙女ゴコロに、微笑んだり、 和んだり、ジーンと来たり、戦慄したり!?

ロシア西部のヴォルガ川畔で、独自の言語と文化を守り続けてきたマリという民族の24人の娘たち(“かつての娘”も多少含めて)が主人公となる24の物語を束ねたのが本作です。どれもマリで実際に聞き取られ収集された慣習や言い伝えをモチーフにしたもので、ひとつのエピソードは長くても10分前後、短いものだと1分あったか? という完結さ。この連続が、浮遊感と現実感、普遍性や喜悲劇にも満ち満ちていて実に楽しい。飾り気が無くて、率直で、大らかなエロに満ちているせいかクスッと笑える……と思ったら、少しホラーな展開や哀しみが出没したりもするから油断ならない。柳田国男の「遠野物語」やボッカチオの「デカメロン」などが頭をよぎったりもするのですが、そこまで遠くの存在でないのが本作の魅力なのです。

24人の娘たちは誰もが、恋人や夫に対して思い悩みがあったり、理想の伴侶を切望していたりと健気です。大木に宿る神様に「ホクロを消して」とパンやキャンディを備えて懸命に祈る少女、小枝のように細い姪を心配して唐突かつ平然と全裸になって「私のキレイをあげるよ」とおまじないするポヨンポヨンなおばさん、夫の浮気を確かめるには股間を嗅ぐことだと隣の婦人にけしかけられる若妻……、そばかすがチラつく十代から、はるか昔に夫に先立たれた老女に至るまで、恋する乙女であることは変わらないよなぁと再認識させてくれる。その乙女ゴコロに大らかなエロが寄り添って、フォークロアなドレスにくるまって悲喜交々、率直に生きている姿には、ほんわかしながら、クスッと笑いながら、とても羨ましく思えるのではないでしょうか、忙しく生きてる我々は忘れちゃっているかもなぁ、と。24人に出会った後には、「世界に、平和を!」という唐突にも思えたフライヤーのキャッチコピーもストンと心に落ちるのです。

1/2ページ

最終更新:9/26(月) 20:27

dmenu映画