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テレマティクスサービスの先駆け・パイオニア、走行履歴を他社にも提供

日刊工業新聞電子版 9/26(月) 15:21配信

06年から走行履歴を収集・蓄積、カーナビに情報配信

 パイオニアは車のプローブデータ(走行履歴)を収集・解析する通信ネットワークシステム「スマートループ」を2006年に構築し、情報提供サービスを始めた。テレマティクスサービス事業者の先駆け的存在で渋滞を回避できるルート案内など、ドライバーに役立つ多様なサービスを提供する。企業や自治体のデータの外販を始めるなどビッグデータ(大量データ)を活用した事業を広げている。

 パイオニアはスマートループを使ったサービスの第1弾として、07年に渋滞情報の配信を始めた。同社製のカーナビを搭載した車から、走行位置や速度データを取得し、道路状況や運転行動を把握。サーバーに蓄積したビッグデータを解析し、カーナビに渋滞を回避できるルートを表示する仕組みだ。

安全・円滑な移動に役立てる

 サービスを開始する1年前の06年から走行履歴を蓄積し始め、現在では全国の道路約70万キロメートル分の渋滞情報を5分間隔で更新しながら、提供する。70万キロメートルはカーナビが道案内できるほぼ全ての道路を示す。渋滞情報以外では、ドライバーが急ブレーキを踏む回数が多い場所を表示し、危険回避につなげてもらう機能をカーナビに搭載するなど、安全運転を支えるサービスの提供に役立てている。

 13年には、車載カメラの撮影画像を収集し、車両間で共有できる技術「スマートループアイ」を開発し、カーナビの上位モデルに新機能として加えた。高速道路や一般道の交差点、大型施設の駐車場など全国約8000カ所で車の前方画像を自動収集し、カーナビに配信するもので、ドライバーは多様なシーンで画像を活用できる。

 例えば、商業施設などの大規模駐車場に複数の入り口がある場合、スマートループアイを活用すればドライバーは画像をチェック。混んでいない方の駐車場の入り口を選んで利用することが可能だ。

 パイオニアが蓄積した車の走行履歴は自社だけで活用するだけでなく、完成車メーカーや同業のカーナビメーカーなど外部にも提供している。最近では、ITSジャパン(東京都港区)が社会貢献の一環で、大規模災害時に道路の通行実績を配信する事業に参画。被災地に救援物資を届ける際の安全で円滑な移動に役立ててもらうためにデータ提供で協力している。

 4月には走行履歴を外販する専用のウェブサイトを開設した。事故防止の研究や商品開発にパイオニアのデータを活用したい企業や自治体からのニーズが増えているためだ。

 スマートループ事業に携わる野崎隆志商品統括部カーブローブ活用推進担当部長は「他社に先駆けて長年蓄積してきた膨大なデータから、新しいサービスを創出し続けることが今後の課題になる」と指摘する。

新しい試みとして、データを安全かつ効率的に運用するために機械学習を活用した分析も始めた。パイオニアがビッグデータを活用した独自サービスをどう創出、進化させていくのか注目される。(下氏香菜子)

最終更新:9/26(月) 15:26

日刊工業新聞電子版