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ボタン1つで110番 県内非常警報装置普及進む

北日本新聞 9/26(月) 0:22配信

 県内で110番に直結する非常通報装置の普及が進んでいる。ボタンを押すだけで警察に事件発生を伝えることができ、強盗被害を防ぐため金融機関を中心に設置され、5月末には県内にある約500店舗全てで取り付けが完了。迅速な通報が可能とあって装置は防犯の“切り札”として認識されるようになり、犯罪のきっかけとなり得るトラブルへの対応策として、病院や美術館、保育園など導入施設は広がりを見せている。 

 「面会時間外に訪れた人が『患者に会わせろ』と大声を出す」「酒に酔ってけがをし、救急車で搬送されてきた患者が頭から血を流しながらも治療を拒否して暴れた」-。済生会富山病院(富山市楠木)で実際にあったトラブルだという。

 同病院では2月、ナースステーションや受付など7カ所に110番の非常通報装置を設置した。防犯担当の二上正孝用度課長(58)が昨年11月、北海道の済生会小樽病院で開かれた防犯講習会に参加した際、同装置を病院にも取り付けられると知ったことがきっかけだ。「設置できるのは銀行だけだと思っていた。病院は24時間体制で、職場に女性も多い。患者さんとその家族の安心にもつながっている」と話す。

 同装置の普及、運用指導を行う日本防災通信協会県支部によると、今年7月末現在、県内の568カ所に同装置が取り付けられている。6月にオープンした森記念秋水(しゅうすい)美術館(富山市千石町)もその一つ。同館によると、刀剣が展示されており、トラブルがあった際の危険性が高いことが理由という。

 子どもたちが犯罪に巻き込まれないよう、保育施設での設置も増えている。あいあい保育園(射水市南太閤山・小杉)は2002年ごろから運用。近隣地域では、子どもが車の中の男から声を掛けられるなど不審者の目撃情報が寄せられており、酒本ルミ園長(58)は「より安全に、より早く、子どもたちを守るための重要なツールだ」と言う。同園は昨年、装置を使った防犯訓練を射水署などと協力して初めて行った。

 今年7月に神奈川県相模原市の障害者施設で起こった殺傷事件を受け、富山県を含めた全国の福祉施設でも設置が検討されている。同支部の中川保支部長(62)は「今後も設置を呼び掛けるとともに、効果的に使ってもらうための運用指導も継続的に行っていく」と話している。


◆110番直結の非常通報装置◆
 110番通報制度が発足した5年後の1953年に開発された。社会的影響が大きく、公共性が高いと警察本部長が認めた施設にのみ設置できる。ボタンを押すと、警察本部の指令室に通報場所と緊急事件の発生が自動的に伝わり、強盗など電話による110番が困難な場合にも有効。46都道府県に支部を持つ日本防災通信協会(東京)が普及を進めている。

北日本新聞社

最終更新:9/26(月) 12:00

北日本新聞