ここから本文です

“異色デカ”が増加中? 多様化する刑事ドラマ

オリコン 10/17(月) 8:40配信

 10月スタートの秋ドラマでは、人気シリーズの『相棒season15』を筆頭に、『警視庁 ナシゴレン課』(共にテレビ朝日系)、『コック警部の晩餐会』(TBS系)、『THE LAST COP/ラストコップ』(日本テレビ系)、『スニッファー 嗅覚捜査官』(NHK総合)、『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』(テレビ東京系)、『キャリア~掟破りの警察署長~』(フジテレビ系)と、“刑事モノ”が7作品もそろっている。昔から“医療モノ”と並ぶ大定番のジャンルだが、最近の刑事ドラマは今期のラインアップがそうであるように、いわゆる正統派ではないユニークな主人公が登場するなど、風変わりな描かれ方の“異色”刑事ドラマが増加傾向にあるようだ。そこで、これまでの歴史を振り返りながら、多様化する刑事ドラマについて検証してみたい。

【写真】ぱるるがデカ長演じる『~ナシゴレン課』では、全謎が“刑事部屋”で解決

◆50年代からスタート、刑事ドラマが廃れない理由

 今期の刑事ドラマの“異色”ぶりを簡単に紹介すると、AKB48の島崎遥香がデカ長を演じる『~ナシゴレン課』は、捜査に出ることなくすべての謎が“刑事部屋”で解決されるワンシチュエーションコメディ。『コック警部~』は、柄本佑演じる警部が料理で事件を解決するという新感覚グルメミステリー。『ラストコップ』は、バブル期の肉食デカと現代の草食デカのバディものだし、海外ドラマが原作の『スニッファー~』はタイトル通り、主演の阿部寛が臭覚を武器に事件を解決。『潜入捜査アイドル~』では事件解決のため、新人刑事が偽のアイドルグループ・デカダンスに扮し現場に潜入、『キャリア』は玉木宏演じる遠山金志郎が“キャリアらしくない”警察署長を演じるなど、キャスティングもストーリーも“異色”ずくめの設定なのである。

 刑事ドラマのルーツをたどれば、1957年9月から約7年間にわたって放送された『ダイヤル110番』(日本テレビ系)が日本初の刑事ドラマとされるが、日本刑事ドラマの基礎を築いたのは、1961年に日本初の1時間放送の連ドラとしてスタートした『特別機動捜査隊』(NET・現テレビ朝日系)と言われている。同作は、少人数のチームを組んだ刑事たちが現場に急行し、事件の解決を図っていくというストーリーで、その後のいわゆる“正統派”と呼ばれる刑事ドラマの形式を定着させた。

 「“刑事モノ”は基本的にひとつの事件で1話が完結するスタイルなので、展開も早いし、登場人物たちのさまざまな人生模様や人間ドラマが凝縮されていて、視聴者も感情移入しやすいんですね。さらにベースに“事件”があるので、非日常的なドキドキ感も味わえるし、日本人好みの勧善懲悪や判官びいきの要素も盛り込めます。ドラマの人気が出れば番組自体も長寿化しますし、作中のレギュラー陣やドラマの認知度もますます高まっていく。それでいて1話完結なので新鮮さも失われません。刑事モノは好循環が生まれやすいんです」(ドラマ制作会社スタッフ)

◆時代ごとに特徴あり! 変貌を遂げてきた刑事ドラマの歴史

 刑事ドラマはその汎用性の高さから、年代ごとにさまざまなヒット作や名作が誕生していく。1970年代はそれまでの正統派モノからの進化が見られ、“青春アクションドラマ”と銘打った『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)がヒット。刑事たちにあだ名を付けてキャラ化し、松田優作など新人や無名の俳優を起用すると同時に“殉職制度”を設けて話題性も持たせた。『Gメン‘75』(TBS系)は、沖縄の米軍基地問題やロッキード事件、警察の腐敗など現実社会の暗部を扱い、シリアスで重厚なハードボイルドがウリ。一方の『西部警察』(テレビ朝日系)では、西部劇顔負けのド派手な銃撃戦や爆破、カッコよすぎるメカ(警察車両)とのカーチェイスなど、ダイナミックな映像が視聴者を釘付けにした。

 1980年代に入ると、刑事ドラマにも若干のコメディ要素が加えられたり、異色の刑事が登場したりしてくるようになる。普段はナヨナヨしたダメ刑事のトミー(国広富之)が、マツ(松崎しげる)に罵倒されることによって最強になる『噂の刑事トミーとマツ』(TBS系)は、コメディ刑事モノの元祖的な作品だが、コメディ要素はその後『あぶない刑事』(日本テレビ系)にも引き継がれ、バブル感やスタイリッシュさを前面に出したバディものとしてヒットする。『スケバン刑事』(フジテレビ系)にいたってはマンガが原作で、何と女子高生が刑事という異色モノ。ある種、アイドル全盛時代を反映させた作品だが、以後このドラマはアイドルの登竜門的役割も果たした。

 1990年代で代表的な作品といえば、やはり『踊る大捜査線』だろう。署内の権力争いや“本店=警視庁”と“支店=所轄署”の駆け引きなど、警察内部をリアルに描いて大ヒット。その後の刑事ドラマ作りに大きな影響を与えた。また、『刑事コロンボ』のように冒頭で事件が起こり、個性的な警部が犯人を推理していくというスタイルの『古畑任三郎』(共にフジテレビ系)も忘れてはならない。主演の田村正和が見せるシリアスながらコミカルな演技は、芸人たちにもよくモノマネされた。

 2000年代以降は『踊る~』などの影響もあり、刑事以外の警察官や検視官、医学者などにもスポットが当てられ、“警察+@”の形で事件を解決するスタイルが見られるようになる。テレビ朝日の人気シリーズ『科捜研の女』は、刑事と共に法医学研究員が事件を解決。『臨場』では検視官が主役だし、『相棒』(すべてテレビ朝日系)で人気を博しスピンオフ映画も作られた米沢守(六角精児)も鑑識課の主任だった。そして2010年代は、『絶対零度』(フジテレビ系)や『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(TBS系)といった特殊捜査モノがありつつ、『婚活刑事』や『デカワンコ』(共に日本テレビ系)、『コドモ警察』(TBS系)など、今期ドラマにも通じる“異色デカ”モノが多く放送されるのだ。

 「以前からなかったわけではないですが、ここ最近の刑事ドラマは確かに“異色デカ”モノが多く、新しい刑事ドラマのジャンルとして確立されたように思います。歴代の作品を振り返ってみると、改めてその汎用性の高さが伺えますよね。異色だけでなく『相棒』のようないわゆる正統派モノも依然として人気。いずれにしろ、制作サイドにとって刑事モノはシリーズ化しやすいですし、私たち日本人ばかりでなく世界中で愛されているジャンルなんですね。言ってみれば、刑事ドラマは“永遠に不滅”なのでしょう」(前出・スタッフ)

 時代と共にドラマ界におけるトレンドはもちろん、事件や捜査のあり方なども変わってくる。テレビドラマ自体が各時代を映す鏡であるならば、刑事ドラマも定番の部分を残しつつ、これからもどんどんと“進化”し続けていくのであろう。

最終更新:10/18(火) 8:43

オリコン