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前橋の小松屋陶器店 260年の歴史に幕 後継者なく来夏

上毛新聞 9/27(火) 6:00配信

 前橋中心部の竪町(たつまち)通りに江戸時代半ばから店を構える「小松屋陶器店」(前橋市千代田町)が、来夏をめどに約260年の歴史に幕を下ろす。10代目の荒井達郎さん(88)と妻の朝子さん(85)が切り盛りしてきたが、達郎さんの体調不良や後継者不在を理由に決断した。2人は「寂しいけれど仕方ない。残った陶器をできる限り皆さんの手元に届けるために頑張りたい」と話している。

◎10代目 体調崩し閉店決意

 小松屋の創業は1756(宝暦6)年。前橋藩の御用商人を務め、初代から9代目まで「荒井甚八」を襲名して陶器商を継いできた。

 前橋市街地一帯が焼け野原となった前橋空襲で同店も被害を受けたが、戦後の経済復興と合わせて社業も復活した。結婚式などでの贈答品として陶器が重宝された時期には市外からも注文が入った。

 国産品にこだわって良質な陶器を仕入れ、人間国宝などの有名作家の作品も扱ってきた。達郎さんは「触ったり、たたいて音を聞いたりして陶器の良しあしを見分けるのは経験がすべて。全国からいいものを選んできた」と自信をのぞかせる。

 ただ、近年は安価な食器が出回り、贈答品需要も減った。子どもたちは別の仕事に就き、商品を保管する蔵も傷んできた。8月に達郎さんが体調を崩したことをきっかけに閉店を決めたという。

 朝子さんは「閉店の貼り紙をしたら気持ちの整理ができた」と穏やかな表情。達郎さんは「もったいないと言ってくれる人もいるが、時代の流れ。一人でも多くの人に来店してもらえるといい」と話している。

 半額セールをしているが、有名作家の作品など一部商品は対象外。午前10時~午後6時。問い合わせは同店(電話027-231-5010)へ。

最終更新:9/27(火) 6:00

上毛新聞