ここから本文です

湯涌の名湯を後世に、「東洋一」白雲楼ホテル 温泉効能表が里帰り

北國新聞社 9/27(火) 2:59配信

 「東洋一のホテル」と称された金沢市湯涌温泉の白雲楼ホテルにあった温泉効能表が、17年ぶりに里帰りした。創業者である櫻井兵五郎の生家(能登町)から湯涌の住民に寄贈された重厚なケヤキの額は、創業翌年の1933(昭和8)年から大浴場に掛けられていた。10月に一般公開され、昭和天皇・皇后両陛下が宿泊された由緒あるホテルの名湯を後世に伝える。

 額は、大浴場の女風呂の入り口に飾られていた。横約220センチ、縦約80センチ、厚さ約8センチ、重さ約300キロで、上部には桜の模様が施された金具が二つ付いている。墨書きで温泉成分や効能が記され、「内務省東京衛生試験所」「昭和八年八月拾六日」の文字が読み取れる。

 白雲楼ホテルは1932(昭和7)年に開業、戦後は連合国軍総司令部(GHQ)が保護施設として接収し、解除後は昭和天皇をはじめ皇族が利用するなど栄華を誇った。97年に本館と貴賓館が国有形文化財に登録されたが、翌年、経営難のため営業を停止した。2006年に解体され、文化財登録が抹消された。

 温泉効能表を含む備品の一部は行方が分からなくなっていたが、今年1月に大広間に使用されていたふすま絵とともに都内で見つかり、創業家に引き取られた。

 創業者の三男である櫻井廣明さん(72)は「湯涌温泉の歴史の一つとして、あるべき場所に戻したい」と考え、金沢湯涌夢二館長で金沢美大名誉教授の太田昌子さん(72)らに相談した。引き取り手を探していたところ、金沢湯涌ゲストハウスを営む足立泰夫さん(56)が名乗り出て、8月中旬にゲストハウスに運び入れた。

 太田館長によると、木が反ったり割れたりするのを防ぐため板の裏側は額縁造りとなっていて、表側は木肌が輝くほどに丁寧なかんな掛けが施されている。太田館長は「とにかく頑丈な仕上がり。腕の確かな職人によって緻密に作られたものだろう」と推測した。

 温泉効能表は、10月9日に湯涌温泉街を舞台に開催される「湯涌ぼんぼり祭り」(北國新聞社後援)に合わせてゲストハウスで公開される。

北國新聞社

最終更新:9/27(火) 2:59

北國新聞社