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成田空港、夜間飛行制限緩和へ 深夜1時まで 第3滑走路予定地示す

Aviation Wire 9/28(水) 9:22配信

 国土交通省と千葉県、成田市など空港周辺9市町、成田国際空港会社(NAA)による成田空港の4者協議会は9月27日、現在午後11時までしか離着陸出来ない夜間飛行制限の緩和について、検討を進めることで合意した。3時間の緩和により午前1時まで離着陸出来るようにし、現在は午前6時の運用開始時間も午前5時に前倒しする。

 また、C滑走路(第3滑走路)の建設とB滑走路の北側延伸検討についても合意に至り、NAAからC滑走路の建設予定エリアや騒音コンター(輪郭線)が自治体に示された。

◆朝5時から深夜1時まで運用

 成田の夜間発着枠はすでに満杯で、夜間の飛行制限緩和で訪日需要を取り込み、政府が目標に掲げる2020年の年間訪日旅行者数4000万人実現を目指す。実施時期は今後自治体や住民との協議の上で決定されるが、遅くとも2019年10月開始の冬ダイヤまでには実現するとみられる。

 現在の運用時間は午前6時から午後11時まで。しかし、午後10時台はA滑走路とB滑走路各10回ずつ、計20回までの便数制限を設定しており、この影響で午後9時台も自主規制が行われている。

 2013年度からは、悪天候など航空会社の責任ではない場合に限り、午後11時から午前0時までは、「カーフュー(離発着制限)の弾力運用」を認めている。弾力運用時間帯の運航については、騒音対策や地域振興のため追加料金を徴収し、地元へ還元している。

 2013年度は249件(フルサービス航空会社=FSC:190、LCC:28、貨物:31)の申請があり、23.3%の58件(FSC:39、LCC:10、貨物9)が認められた。2014年度は申請283件(FSC:174、LCC:67、貨物:42)のうち、適用は19.8%の56件(FSC:28、LCC:17、貨物:11)、2015年度は申請244件(FSC:110、LCC:98、貨物:36)に対し、26.6%にあたる65件(FSC:27、LCC:20、貨物:18)が認められた。

 成田空港では、C滑走路の建設に向けた取り組みが進んでいるが、就航する国内LCC各社からは、滑走路建設の前に夜間飛行制限の緩和を求める声が大きい。

 LCCは機材稼働率を高めることで低コストと低運賃を実現しているため、運用時間拡大は成田を拠点とするLCCの誘致に弾みがつく可能性がある。NAAによると、現在成田からの出発便は3便程度だが、夜間飛行制限の緩和により、4便に増やすことができるという。

 訪日外国人向けでは、深夜に出発便が運航できるようになることで、日本での滞在時間を延ばせる。成田-シンガポール線の場合、現在は成田を午後6時に出発して翌日午前0時にシンガポールへ到着するが、緩和後は成田を午前0時台に出て、シンガポールには午前6時台に着くスケジュールが組めるようになる。

 日本人渡航者にとっても、海外の目的地着が早朝となることで、空港から市街地への交通手段を選択しやすい時間帯に到着出来るようになる。

 また、航空貨物についても、現在は首都圏で午後1時台に集荷している貨物を午後4時台まで伸ばせるようになり、速達性が高められる。

 アジアでは、ソウル(仁川)、香港、北京、上海、シンガポールのチャンギといった主要空港は、24時間運用により増加する乗客や貨物輸送のニーズに応えている。また、国内で国際線定期便が就航する主要空港も、羽田と関西、中部の3空港は24時間運用となっている。

 NAAによると、航空会社に対してC滑走路が運用されて年間発着回数が50万回となる2030年代以降、空港の運用時間制限がない状態で希望する運航スケジュールをヒアリングしたところ、午前5時から翌日午前1時まで運用出来るようになれば、9割のニーズに応じられるという。夜間の飛行制限を緩和することで、国内外の空港との競争力を高める。

◆B滑走路南にC滑走路

 成田空港は、4000メートルのA滑走路(RWY16R/34L)と2500メートルのB滑走路(RWY16L/34R)の2本で運用している。C滑走路は、欧州便の出発が集中する昼前後の慢性的な混雑や、2020年代半ばに迎える2本の滑走路での運用限界の解決策として、建設が検討されている。また、B滑走路も北側へ1000メートル延伸する。

 C滑走路の建設予定地は、B滑走路南側の芝山町。駐機場など空港施設も含めると、多古町も含まれる。B滑走路のゴーアラウンド(進入復行)区域と重ならないよう、両滑走路の間は3325メートル離す。また、空港東側に建設中の圏央道に掛からないように整備する。

 一方、成田空港計画時に建設が検討された横風用滑走路については、横風を含む強風などで他空港へダイバート(代替着陸)した便の比率が過去10年間で0.03%と極めて少ないことから計画を撤回。エプロンなどの施設整備に充てる。

 C滑走路建設やB滑走路延伸には、1000ヘクタールの用地が必要だが、このうち300ヘクタールは騒音対策用地としてNAAが買収済み。残る700ヘクタールに住む200世帯の住人には、移転を求める。NAAによると、敷地の拡張により成田の施設規模は約2400ヘクタールとなり、香港や仁川と同レベルになるという。

 また、C滑走路建設後の年間発着回数が50万回時の騒音コンターも示された。住宅の防音工事が必要となる地域には、新たに茨城県の一部が含まれた。今回の騒音コンターはエアバスA320neoやボーイング737 MAXといった新型エンジンを採用した機材を基にしたものではなく、現行機のデータに基づくものとなった。

 国や自治体、NAAは今後、住民に対する説明会を開く。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:9/28(水) 9:24

Aviation Wire