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燃料電池とガスタービンの複合発電、実証機が東京都内で運転開始

スマートジャパン 9/28(水) 11:25配信

 燃料電池と火力発電を組み合わせた複合発電の技術開発で先行する三菱日立パワーシステムズが東京都内で実証機の運転を9月21日に開始した。高温高圧で作動する「加圧型複合発電システム」で、発電能力が250kW(キロワット)級の小型のシステムだ。オフィスビルや工場に設置して、都市ガスを燃料に使って電力と熱を供給できる。

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 複合発電システムの実証運転を開始した場所は、東京ガスが東京・荒川区で運営する「千住テクノステーション」の施設内である。この施設では都市ガスと再生可能エネルギーを活用して、地域内に電力や熱を供給する実証プロジェクトを実施している。燃料電池車向けの水素ステーションも併設している。

 三菱日立パワーシステムズは2013年から千住テクノステーションに200kW級の加圧型複合発電システムの試作機を設置して実証試験を続けてきた。新たに250kW級のシステムの実証運転に取り組み、商用化に向けた技術評価を実施する計画だ。

 今後は開発パートナーのトヨタ自動車と日本特殊陶業の工場、大成建設の施設にも導入する予定で、実証試験の場所を合計4カ所に拡大する。各地の実証試験を通じて性能や耐久性を検証しながら、コスト低減と量産のノウハウを蓄積する方針だ。業務用・産業用のエネルギー供給システムとして、2017年度に市場に投入することを目指す。

 この複合発電システムに組み込んだ燃料電池は900℃の高温で作動する「固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)」である。家庭用のエネファームで使われている「固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fule Cell)」と比べて発電効率が高く、業務用・産業用の燃料電池で主流になる方式だ。

 三菱日立パワーシステムズが開発した複合発電システムは最初に都市ガスを改質して水素を作り、燃料電池で発電する。さらに燃料電池で使い切れない都市ガスを燃焼させて、ガスタービンで発電する仕組みだ。ガスタービンで高圧になった空気を燃料電池に供給して発電効率を高める。

 燃料電池とガスタービンの組み合わせによる発電効率は55%に達する。最先端の火力発電所で採用しているガスタービンと蒸気タービンによる複合発電と同レベルの高い発電効率になる。加えて発電に伴う排熱もエネルギーとして供給できるコージェネレーション(熱電併給)システムである。

燃料電池の中身は細長いセラミック管

 燃料電池では水素と酸素を反応させて電流を発生する電解質が必要になる。SOFC方式ではセラミックを電解質に使う。三菱日立パワーシステムズが開発した加圧型のシステムでは、円筒形の圧力容器の中に細長いセラミック管を束ねたカートリッジを並べて、圧力容器の中で高温・高圧の状態で水素と酸素を反応させる。

 1本のセラミック管は全長が1.5メートルで、直径は2.8センチメートルと細長い。電解質になるセラミック管の表面に酸素を取り込む空気極、裏面には発電用の燃料極を重ねた積層構造になっている。このセラミック管の中に水素と一酸化炭素を送り込むと、外から取り込んだ酸素と反応して電流を生み出すことができる。

 千住テクノステーションに新たに設置したシステムでは、2013年に稼働した200kW級の試作機と比べてセラミック管を長く細く改良した。発電能力の増強に加えて、設置面積を40%以上も削減できた。この改良型のシステムは2015年に九州大学の「次世代燃料電池産学連携研究センター」に試作機を導入して実証研究を続けている。

 三菱日立パワーシステムズは2016年度に各地で実証運転に取り組みながら、2017年度の商用化を目指す。さらに発電能力を1300kW級に引き上げた中型のシステムを2018年度に投入する計画がある。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、競技場や選手村に燃料電池を導入する予定だ。オリンピック・パラリンピックを機に、全国各地のオフィスビルや工場に燃料電池が普及していく期待は大きい。

最終更新:9/28(水) 11:25

スマートジャパン

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