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「小惑星探査機はやぶさ2が飛んでいるかと思えば中森明菜が歌ってる」というカオスなベストアルバムとは?

M-ON!Press(エムオンプレス) 9/28(水) 22:55配信

今年、デビュー25周年を迎えた浅倉大介がアルバム『THE BEST WORKS OF DAISUKE ASAKURA quarter point』を発表した。彼の手によって誕生した750以上もの楽曲群から選ばれた29曲と書き下ろしの新曲1曲を加えた全30曲は、過去を振り返るためのものではなく、浅倉大介の“進化の途中”を表している。

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■「そろそろ25周年」「四半世紀」と、今年に

──一昨年あたりから、そろそろ25周年だな、と意識していましたか?

浅倉大介 スタッフの間では、そういう話が出ていたかもしれませんね。でも、僕は性格上、何周年とか、あまり意識しないので……。つねに一歩先、一歩前を意識して音作りもしているし。ただ、「そろそろ25周年」「四半世紀」と、今年になってからファンの人たちからもSNSを通じて言われるようになって、栞をはさむじゃないけど、そういうポイントでもあるのかなと思うようになりました。

──アルバムタイトルの中の“quarter point”には、その四半世紀の意味も含まれているわけですね。

浅倉 はい。それにしても先の長い考え方ですよね。逆に言うと、まだあと4分の3残ってるってことだから(笑)。それくらいまだまだこれからも前進したい気持ちしかないです。

──ということは、2枚組アルバム『THE BEST WORKS OF DAISUKE ASAKURA quarter point』も単なる過去の集大成ではないと?

浅倉 もちろん新しい試みも含まれています。昔の音源をそのまま並べることに僕はあまり興味がないから。例えば、このアルバムのためのマスタリングもある意味攻撃的です。というのは、せっかく一般的なCDより品質が良いと言われているBlu-spec CD2でリリースするんだから、その特性を最大限活かすリマスタリングをしています。

以前、90年代にリリースした僕関連のアルバムをBlu-spec CD2で再発したことがあって、どの帯域に特徴があるメディアか把握していたのが役立ちました。そういう経験という蓄積、というか自分の中のデータベースが25年で手に入れた最大の財産かもしれません。

今回のマスタリングで経験がまたひとつ増えたし、データベースが充実したし、そういうことがうれしいですね。マスタリングだけでも最終的な音がかなり変わるので、オリジナルを知っている人でも新しい発見があるはずだし、オリジナルを知らない人は25年前、20年前、10年前の音源と気がつかないくらい今現在の音に聴こえるかもしれないですね。

■テクノロジーの進化も収録されていると思います

──まるでエレクトロミュージック図鑑のようで楽しく聴けました。

浅倉 ありがとうございます。自分でも、この25年のエレクトロサウンドの変貌が詰まった歴史書みたいなアルバムだと思っています(笑)。

──LA録音した「THE ELECTROMANCER (KANASHIMINO KAWAWO YOROKOBINO OKAWO)」から始まりますね。

浅倉 海外レコーディングも良い経験でした。それが後々どの曲のどこに反映されたと、具体的なことは自分でもわからないけど、経験値が上がったことは確かです。経験値が上がると、キャパシティー(許容量)が増えるわけで。

パソコンでもハードディスクのメモリーが1ギガと1テラでは約1000倍の差があるから、できることとできないことの差が圧倒的なのと同じような気がします。

──クリエイターとしてのキャパシティが加速度的に増えていくプロセスを収録したアルバムでもあるわけですね。

浅倉 それと同時にテクノロジーの進化も収録されていると思います。自分でミックスダウンができるようになったのもテクノロジーの恩恵です。最初にやったのはDISC2収録のThe Seeker「Stigma」でした。今、聴くと、ちょっと照れるミックスだけど(笑)。ちょうどテープレコーダーからハードディスクに変わった時期だったので、ハードディスクならではの音を実験しているのがわかります。

■1週間と3分で生まれた曲とも言えるけど(笑)

──そこから始まる浅倉大介ミックスヒストリーとして聴けるアルバム。

浅倉 マニアックな聴き方ですけど、そういう側面もあります。収録曲の半分以上はボクのミックスです。

──DJ OZMAをはじめ、様々なアーティストにカバーされた「LOVE & JOY」も収録されていますね。

浅倉 2000年かな? 当時僕がプロデュースしていた木村由姫ちゃんに書いた曲です。あのとき、実はシングル候補曲としてすでに別の曲が完成していたんです。でも、どうしても何か違う気がして。もう一歩先に行ける気がして。思い切ってゼロから作り直そうと。

で、スタジオでキーボードの前に座った瞬間にメロディが浮かんで、このアルバム収録曲中最速で完成した曲。細かいアレンジや構成は抜きにして、メロディだけなら、本当に3分か4分で作りました。緻密に計算して、時間をかけて構築した曲もあれば、瞬間的に焦点が合って出来てしまう曲もあって、そこがクリエイターならではの醍醐味でしょうね。

ただ、1週間かけて完成させた曲を破棄するのも、「LOVE & JOY」誕生への伏線や布石だと考えれば、1週間と3分で生まれた曲とも言えるけど(笑)。

──では、逆に25年間、変わらなかった点はどこですか?

浅倉 2点あります。このアルバムを聴いてもらっても、わかってもらえる点だと思いますが、耳に残るメロディを意識することです。もう1点は、1曲の中のどこを切り取っても気持ちよく聴こえるとか、右から左に流れるとか、そういうBGMには絶対したくないという信念みたいなもの。

1曲の中に風景があって、時代があって、登場人物がいて、物語が展開していき、最初から最後まで通して興味を持って聴いてもらえる曲でありたいと、つねに思っています。

──ポップな曲もあれば、キュートな曲もあり、藤井 隆さんの「ナンダカンダ」みたいなヒット曲もあれば、ソロ楽曲、ユニット楽曲、提供楽曲もある。混然としているけど、浅倉大介を聴いたと満足できる2枚組でした。

浅倉 音楽の中に組み込まれる、僕のDNAが徐々に濃くなっていく過程も現わしている2枚組でもあると思います。特にDISC2はベストというより最早カオス(笑)。

「YaTa-raven chronicle」のようなヤタガラスは出てくるし、「3×10^8 LUCKS」では小惑星探査機はやぶさ2が飛んでいるかと思えば「Rojo -Tierra-」では中森明菜さんが歌っているという(笑)。

他にも「瞳ノ翼」みたいなアニメ主題歌があれば僕の脳内空間を音で表現したDA METAVERSEシリーズの曲もある。まさにカオスです。

■ただし、メッセージは答えの一歩手前で止めるというか……

──最後になりましたが、10月7日・8日に『DA METAVERSE 2016 quarter point』についても教えてください。

浅倉 今話した2枚組アルバムの再現をするのが普通なのかもしれないけど、最初に言ったとおりで、僕の性格上、再現とか、再生とかではモチベーションが上がらないんですよ。

当然、アルバム収録曲も何曲かは演奏しますけど、もしかしたらイントロが始まってもその曲とわからないアレンジになっている可能性もあります(笑)。CDのままなら、CDを聴いてもらえばいいわけで。

例えば、キックの音ひとつとっても、そのとき、その時代、その瞬間に自分がいちばん新しいと思ったり、ふさわしいと思ったりした音を鳴らしたいんですね。そのための時間は惜しまず、つねに一歩でも前に、一歩でも先に進みたいと思ってきました。その点では、今の僕を表現しているDA METAVERSEを中心に据えた内容になりそうです。

僕の今の脳内空間を覗いてくださいというコンサート。でも、ダンスブロック、プログレブロック、オーケストレーションブロックとか、ある程度わかりやすい構成も考え中です。ただし、メッセージは答えの一歩手前で止めるというか……。

なぜなら、何を思うか、何を感じるかはコンサートにきてくれた一人ひとりの自由なので。その自由をもっとも大事にしたいと思っています。

INTERVIEW & TEXT BY 藤井徹貫

【リリース情報】
2016.09.28 ON SALE
ALBUM『THE BEST WORKS OF DAISUKE ASAKURA quarter point』
GT Music

【ライブ情報】
DA METAVERSE 2016 quarter point
10/07(金)東京・国際フォーラム ホールC
10/08(土)東京・国際フォーラム ホールC

【プロフィール】
アサクラダイスケ/1991年デビュー。キーボーディストとして活躍する一方で、多くのアーティストへ楽曲提供・プロデュースを行う。ソロの他にaccess、Icemanなどのユニットとしても活動。

最終更新:9/28(水) 22:55

M-ON!Press(エムオンプレス)

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