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ビスマスを利用した精密集積型発光体の開発に成功

EE Times Japan 9/28(水) 14:09配信

■発光強度を自在に制御することも可能

 東京工業大学化学技術創成研究院のハイブリッドマテリアル研究ユニットおよび化学生命科学研究所の山元公寿氏、神戸徹也氏らの研究グループは2016年9月26日、発光体を1つの分子内に最大60個まで導入した新しい発光体の開発に成功したと発表した。

【発光体の分子内精密集積による強度制御】

 同研究グループは今回、独自に開発していた「デンドリマー」と呼ぶ規則的に枝分かれを繰り返す樹状構造をした高分子を利用することで、発光体を精密に配置した分子を作ることに成功した。分子内に配置する化学種としては、塩化ビスマスに着目。塩化ビスマスが、デンドリマー内に精密に集積されて発光特性を発現することで、制御可能な発光デンドリマーの構築が実現したという。

 このデンドリマーは、金属が取り込める場所をあらかじめ設計し、塩化ビスマスを中心部から順番に、決められた場所に結合させて作ったもの。これにより、濃度消光を抑え、増やした分だけ発光強度を高めることに成功している(図1)。構成要素であるビスマスの錯体(金属塩と有機物からなる分子)は、固体状態で濃度消光するのに対して、このデンドリマーは固体状態という高濃度状態でも発光を保持したとする(図2)。

 今回の発光は、デンドリマー内でビスマスの錯体を形成することで発現する。そのため、ビスマスとデンドリマーを自在に結合/切断できるという。同特性に基づき、ビスマス添加量の調整や酸化還元反応を駆使することで、発光強度の自在で可逆な制御を可能にした。同研究グループは、「可逆性には、デンドリマーのカプセル特性が寄与していることが分かった」とリリース上で述べている。カプセル特性は、内部に取り込んだ物質を外部の物質から保護する効果であり、同研究で利用したデンドリマーが取り込んだビスマスを外部から保護できることを見いだしたとしている(図3)。

 同研究グループによると、ビスマスイオンの集積による発光体は、新発光材のみならずセンサーとしても利用できるため、生体の重金属解毒防御機能などの解明に役立つ。また、今回の集積手法は、さまざまな発光分子に応用でき、ガラスやポリマーへ塗布することで、高輝度発光材料が作成可能。微弱発光の分子も集積させることで強度を補強できるため、光センサーや光スイッチの新たな構築法としても期待できるとした。

最終更新:9/28(水) 14:09

EE Times Japan