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「読書感想文が、よく書ける原稿用紙」の考案者に聞く

デイリースポーツ 9/28(水) 14:01配信

 子どもに読書感想文の書き方を聞かれたら、うまく教えてあげられるだろうか。 

 「心のむくままに、感じたこと、考えたことを書けばいいんだよ」

 そんな、ふわっとしたアドバイスを送ってしまいそうだが、仮に子どもが仕事の上司なら「もっと具体的に提案しなさい」と怒られそうな話。そもそも自分が子どもの頃、読書感想文の書き方を教わった記憶もないし…。

 事実、子どもが嫌いな宿題は読書感想文が1位だとか。それは大人にも子どもにも、答えの見えていない課題だからといえるかもしれない。

 そこで今回オススメしたいのが「読書感想文が、よく書ける原稿用紙」。

 「文章が上達する」指南本は数多く存在する。だが、「原稿用紙そのもの」に秘密があるのは珍しい。この原稿用紙の特徴は大きく2つ。

(1)例文がのっている(2)書く前段階に「あたまスッキリメモ」を書く

 原稿用紙はまっ白であるという固定概念をぶち壊した、コペルニクス的転回の“教材一体型”。指南本を読む“二度手間”に比べたら、遥かに効率的だ。さらに例文があることも、何気ないが画期的だ。もし自分が子どものために、読書感想文の手本を書くとしたらーー。大人なのに子どもの目線で…と、想像するだけで憂鬱になる。結局、子どもにとって、お手本がなかったのが「読書感想文は難しい」一番の理由だったりする。

そして(2)。目からウロコの「あたまスッキリメモ」だ(写真参考)。

(A)本の説明(B)一番心に残ったこと(C)自分の体験(D)これからしたいこと

 と4つのパートに分かれている。これは例えばスポーツ紙の原稿でも、

(A)試合の状況(前後のストーリーも含め)(B)印象的だったシーン(C)選手の知られざるエピソード(D)展望や未来に期待すること、できること

 と構成はまったく同じで、理にかなった4つの設問だ。その4要素を、三角形の末広がりなスペースに順にメモする。「作文を書こう!」と肩肘はらずに、埋めていくだけで自然と道筋が立つというわけだ。

 この魔法のような原稿用紙を考案した本下瑞穂さん、職業はグラフィックデザイナーというから驚きだ。漫画やイラストを使った説明や、上記の三角形を用いた視覚的要素に、ならではのアイデアが詰まっているが、なぜ考案するに至ったのだろうか。

 「もともと読書感想文には嫌な思い出しかなくて。でも親になって、子どもが読書感想文の課題を持ち帰ってきたとき、わたしたちが嫌いだったころとなんら変わってないことに驚いて。どうやったら、うまく教えれるかなと興味がわいたのがきっかけです」

 「そこで日本の作文文化がどこからきたのか調べてみました。大正時代に提唱された『童心主義』、つまり子どもらしい、個性を表現する手段としての作文や、道徳教育の一環としての作文。でも、それって『型無し』の状況ですよね。ちょうど夫がスピーチの勉強をしていて、日本人はスピーチも苦手だねという話になって。欧米だとそもそも、ひとを説得する技術として小さい頃から『型』を勉強します。大きく分けると『説明文』『感想文』『意見文』『小論文』『創作文』の5つあって、それぞれにあった『型』を教わるのです」

ーーマインドマップのような思考法ですね

 「そうです。そのそれぞれの型が『ビジュアルオーガナイザー』として視覚化されていて、その図形を用いる発想を、グラフィックデザイナーとして落とし込めればと思いました」

ーー図形を用いた独特のビジュアルはそこからきてたんですね

 「結果的にスペースを細かく区切ってあげることで、心理的にとっつき易いのと、埋める達成感を感じやすい効果も狙っています。『型』については賛否両論あると思いますが、『型』があるから『型破り』もできるわけで。『型無し』の現状を打破できたら嬉しいですね」

 事実、本下さんが16年夏に行ったワークショップでは、子どもが熱中するあまり予定の回数を越えて開催された。子どもからは「楽しかった」の声が続出。親御さんからは感謝の言葉が後を絶たない。

 「読書感想文が、よく書ける原稿用紙」は、小学生用に特化した体裁をとっているが、「大人の作文」にも十分通じている。ブログやSNS、企画書にも役立ちそうだ。

 読書の秋、記者も“形無し”の原稿用紙を使って、ぜひ親子で読書感想文にチャレンジしてみて欲しい。

最終更新:10/4(火) 11:13

デイリースポーツ