ここから本文です

【凱旋門賞=マカヒキ連載2】世界で戦える「最強の平常心」

東スポWeb 9/28(水) 21:34配信

【凱旋門賞(日曜=10月2日、仏シャンティイ競馬場芝2400メートル):歴史の扉を開く進撃のマカヒキ(連載2)】エルコンドルパサーの挑戦から17年、ディープインパクトの挑戦からでは10年。日本競馬のレベルが飛躍的に高くなり、世界の舞台で走る馬が、当たり前のように出現する昨今。競走馬を取り巻く環境も、以前とは大きく変わった。

【動画】マカヒキ追い切り&友道康夫調教師インタビュー

 特に変わったと感じるのは、豊富になったレースの選択肢。現在、何よりも優先されているのは“適性”だ。距離だけでなく、相手関係や斤量などの条件面に、芝やコース形態といった施設面など、その選択理由は多岐にわたる。クラシックを目指すはずの3歳馬であっても、考え方は同じだ。

「菊花賞? それは考えられなかったですね。仮に皐月賞を勝ち、2冠を取っていたとしても、凱旋門賞に挑戦していたと思います」とはマカヒキを担当する大江祐輔助手。2400メートルのダービーを制したとはいえ、スピードに秀でるフレンチデピュティを母の父に持ち、全姉のウリウリも短距離志向。確かに菊花賞というイメージを持ちにくい血統背景ではある。

「それも少しはありますけど、今回の遠征に関しては、マカヒキの性格による部分が大きかった」

 斤量面で優遇される3歳馬が強いことで知られる凱旋門賞。しかし、それは欧州調教馬に限った話だ。精神的に完成されていないことに加え、海外遠征の経験を積むチャンスもない日本の3歳馬にとって、凱旋門賞への挑戦は能力面だけの問題ではない。環境の変化を克服し、能力のすべてを出し切れる馬なのかどうか。それは、あくまで“予測する”しかない部分ではあるのだが…。

「でも、僕はマカヒキなら大丈夫だと思った。オンとオフの区別を、ここまでしっかりとできる馬を、見たことがなかったから。環境のいいシャンティイに身を置くと、馬がボケてしまうという。でも、鞍上の指示に反応しないマカヒキを、僕は想像することができませんでしたね」

 初めての関東遠征となった弥生賞。イレ込みを心配した友道康夫調教師が馬房をのぞくと、当のマカヒキはすでに“寝ていた”という有名なエピソードがある。日常のほとんどがオフ。走るときのみがオンのマカヒキは、自身の居る場所を選ばない馬。それが初遠征にも不安を感じない理由なのだという。

「弥生賞を走る前の時点で、僕のほうから先生(友道調教師)に“凱旋門賞の登録が近いですよ”という話をさせてもらいました。もちろん、弥生賞のレース次第という前提ですが、挑戦するなら、3歳のときしかない。特に今年はシャンティイ。僕はフランスで働いていた経験があるのですが、ロンシャンよりもシャンティイの芝のほうが、日本馬にとってチャンスは大きいと、以前から思っていました」

 マカヒキのこれまでのキャリアで、最も緊張したレースは弥生賞と大江助手は言う。リオンディーズ、エアスピネルといったGI級と初対戦。この相手にマカヒキの力が本当に通用するのかどうか――。その確信がなかったのも理由のひとつだが、凱旋門賞挑戦への夢をつなぐ重要な一戦という意識が、すでに彼の中にあった。今回の挑戦はダービーを勝ったからではなく、もっと以前から温められていたことなのだ。

「もう少し馬体に幅が出てくるだろうし、そのときこそが完成形と思うことはあります。でも、特にこの部分が…とリクエストするところが、マカヒキにはひとつもない。それが強み。競馬に向かい、常に状態をグッと上げている。それもマカヒキの性格によるところが大きいと思いますね」

 能力のみならず、海外遠征に適した性格を持つマカヒキ。特に関係者が重視したのは後者のほうだ。多くの馬が海外へと遠征し、それに同行する機会をもらったが、ここまで“性格”を強調された馬は過去にいない。“平常心”が最も必要だといわれる海外遠征。これもまた競走馬の適性のひとつなのだ。

最終更新:9/28(水) 22:55

東スポWeb

スポーツナビ 競馬情報

重賞ピックアップ