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30歳で部長職に昇進、その時二人目を妊娠していた―。日本IBMのロールモデル

ニュースイッチ 9/28(水) 8:16配信

公共部門担当の開発リーダー、井上裕美さん「子供が生まれるから、何?」

 日本IBMの公共部門担当の開発リーダーとして活躍する井上裕美さん。女性幹部のロールモデルのような存在で、5年前に同期の先頭を切って「GBS事業本部公共デリバリー.官公庁デリバリー第4開発部」の部長に30歳で昇進した。昇進の打診を受けたのは「ちょうど2人目の子どもが生まれる前で、おなかが大きかった時」。ビジネスの最前線に立つ一方で、子育てにも奔走する。

 井上さんは公私ともに日々、全力投球で臨んでいる。部長職と育児を両立させるのは至難の業であり、生活スタイルは朝方に切り替えた。毎夜9時には自宅で子供を寝かし付けて一緒に睡眠。深夜3時にそっと起き、午前7時の出勤までに一仕事を済ませる。さらに1時間超の通勤時間も気を抜かずに、電車内で日々の情報を収集しながら朝8時に出社。本社内にある社員用の保育園「こがも保育園」に子どもを預け、仕事に没頭する。この間、息つく暇もないが「体内時計が出来上がっている」と、さらりと言ってのける。


「子供が生まれるから、何?」

 もとより外資系は男女の差がなく、仕事は厳しい。昇進の打診を受けた時、妊娠していることに対する会社側の認識は「子供が生まれるから、何?」といった調子だった。とはいえ、育児への理解をはじめダイバーシティー(多様性)への取り組みは企業文化として根付いており、サポートは手厚い。「こがも保育園がなかったら、現場復帰をもう少し見合わせていた」と語る。

 昇進した当時は部下が皆、年上だったため、人知れず苦労もあった。部下が客先から「上司を連れて来るように」と言われ、井上さんが出向くと違和感を持って見られることもあった。そこで「安心してもらうには貫禄が必要」と考え、スーツの色から立ち振る舞いまで勉強し「どういう声のトーンが良いのかも工夫した」。

 仕事ではシステムエンジニア(SE)としての腕を見込まれ、トラブル案件の火消し役に投入されることも多々あり、幾たびか修羅場を潜(くぐ)ってきた。客先にひどく怒られて、家に帰ると「赤ちゃんが夜泣きで寝付かず、辛い時もあった」。それでも「トラブルが解決して、お客さんとの良い関係が戻った時はとてもうれしい」と振り返る。

 井上さんは「ジャパン・テクニカル・カウンセル=JTC」と呼ぶ、若手育成のコミュニティーの事務局長も務めている。25―35歳の若手技術者を底上げするため、部門を超えた交流の場を設け、経営陣への提言などをまとめている。

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最終更新:9/28(水) 8:16

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