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瑕疵保険って何? 中古住宅を安心して売買するための仕組みとは

SUUMOジャーナル 9/28(水) 8:00配信

国土交通大臣が指定した住宅専門の保険会社である「住宅あんしん保証」が、新しい瑕疵(かし)保険の提供を2016年9月から開始した。中古住宅を購入する人にとって、従来の瑕疵保険よりも使い勝手が良くなるものとなっている。そもそも瑕疵とは何か、瑕疵保険とはどんな保険か、あわせて説明していこう。

【今週の住活トピック】
既存住宅個人間売買瑕疵保険における新商品発売/住宅あんしん保証

■住宅の場合の「瑕疵」とは、柱や基礎など構造の主要部分などに重大な欠陥があること

瑕疵(かし)とは、通常想定される品質や性能を有していないこと。住宅の場合は、住宅のなかでも特に重要な構造上の主要部分や雨水漏れ防止部分などに重大な欠陥があることを意味する。既存の住宅、つまり中古住宅の瑕疵について、検査と保証をするのが「既存住宅瑕疵保険」だ。

そもそもなぜ瑕疵保険が必要かということから説明しよう。
新築住宅の場合は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)で、住宅を供給する事業者が引き渡して10年間は、瑕疵があった場合に補修したり損害賠償したりする義務(この義務を「瑕疵担保責任」という)を負っている。新築住宅を取得した人を保護するもので、10年間という長期間の義務を負わせているのだ。

一方、中古住宅の場合は品確法の対象になっていないので、瑕疵担保責任については売買時の契約内容によるものとされる。中古住宅の売主の多くは、住宅を所有する個人であることから、重い責任を負うことが難しいため、売買契約の際に瑕疵担保責任を免除するか、数カ月程度の短期間に限定するのが一般的だ。

ただし、宅地建物取引業法で中古住宅の売主が宅地建物取引業者である場合は2年以上の瑕疵担保責任を負うように定めているので、売買契約時に瑕疵担保責任を2年とする場合が多い。

つまり、中古住宅を個人の売主から購入する人が隠れた瑕疵を見逃した場合、自身でその補修を行わなければならない事例が多くなるので、品質への不安が中古住宅の売買の活性化を阻害する要因になっているといわれていた。

そこで政府は、購入前にインスペクション(住宅の状態を検査すること)を実施したり、瑕疵保険に加入したりして、安心して売買ができる体制を整えようとしている。

■個人間売買の場合、検査事業者が保険に加入する

中古住宅の瑕疵保険の基本的な仕組みを説明しよう。
売買に伴う瑕疵保険には、売主が宅地建物取引事業者の場合に加入する保険と、売主が個人で個人間で売買する場合に加入する保険があり、後者が「既存住宅個人間売買瑕疵保険」と呼ばれている。

個人間売買の場合、保険に加入するのは検査事業者となる。まず売主が検査事業者に瑕疵保険の加入を求めると、検査事業者は対象となる中古住宅の検査を実施する。検査によって保険会社が求める一定の品質が認められた場合、保険に加入して保証を行うことになる。一定の品質が認められない場合でも、補修などで品質を満たせば保険に加入できるようになる。

保険に加入した中古住宅に瑕疵が発見された場合、買主は検査事業者に補修を求めることができ、補修に必要な費用は保険金によってまかなわれる。万一、検査事業者が倒産している場合などは買主が直接保険会社に保険金を請求することもできる。

【画像1】既存住宅個人間売買瑕疵保険の仕組み(出典:住宅あんしん保証「あんしん既存住宅売買瑕疵保険」のパンフレットより転載)

【画像2】保険の対象となる住宅の部分-木造(在来軸組工法)の戸建て住宅の例(出典:住宅あんしん保証「あんしん既存住宅売買瑕疵保険」のパンフレットより転載)

【画像3】保険の対象となる住宅の部分-鉄筋コンクリート造(壁式工法)の共同住宅の例(出典:住宅あんしん保証「あんしん既存住宅売買瑕疵保険」のパンフレットより転載)

保険期間は5年または1年で、支払い上限額は1000万円または500万円というのが一般的。画像2・3で定められた重要な部分が対象となるが、保険会社によっては給排水管路や給排水設備、電気・ガス設備なども対象になる場合もある。

■保険加入のために必要な補修が、引き渡し後に買主が行ってもOKに

基本的な瑕疵保険の仕組みでは、売主が瑕疵保険の加入を求めるものだが、検査費用や保険料などを買主が負担することで、買主が瑕疵保険の加入を求めることもできる。とはいっても、売買契約の際に保険に加入するには、売主が事前に検査などに応じることが前提で、一定の手続きが済むまで時間がかかるなど、売主の協力なしにはできなかった。

特に、検査で不適合となった場合は補修をしなければ保険に加入できないこともあって、瑕疵保険の加入がなかなか進まないことも課題になっていた。

今回の新商品の提供の一つが、この補修を買主が引き渡し後に実施するという特約を付けることで、保険の加入ができるようになるもの。売主に求める負担がかなり軽くなるので、買主の瑕疵保険加入が促進されることが期待される。

【画像4】引き渡し後に補修を実施する特約を付ける場合の流れ(出典:住宅あんしん保証「既存住宅個人間売買瑕疵保険における新商品発売について」プレスリリースより)

なお、住宅あんしん保証の新商品には、検査事業者に代わって仲介事業者が保険に加入するコースも新設された。

これは最近、売主が1社に仲介を任せる媒介契約をした場合に、仲介会社が一定の部位について瑕疵があった場合、買主に対して無償で補修をする保証を付ける独自のサービスを行うといった事例が増えてきたからだ。一定の部位や保証期間は、仲介会社によってさまざまではあるが、こうした独自の保証サービスに対応するための新商品となっている。

ほかにも住宅あんしん保証では、2016年6月にシロアリの損害を担保する特約を付帯できるようにしているが、9月からその対象地域を拡大している。

中古住宅の品質は、専門家ではない消費者が確認することは難しい。事前に耐震診断やインスペクションを依頼して住宅の状態を確認したり、検査による一定の品質が求められる瑕疵保険に加入したりと、第三者の検査機関による検査を受けることが望ましい。

こうした商習慣のなかった日本では、売主が検査を望まなかったり、買主が出費を避けたり、売買契約に至る期間が長くなるので仲介会社が検査を勧めなかったりといったこともあった。

今後は、住宅を買う場合に検査を行ったり、専門の検査員であっても壁を取り払って確認してみないと分からない部分もあるので、それに備えて瑕疵保険を付けたりと、買主が品質を確認するための選択肢が広がって、安心して売買ができるようになることを期待している。

●参考
・「住まいのあんしん総合支援サイト」住宅消費者支援ページ(国土交通省)

山本久美子

最終更新:9/28(水) 11:11

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