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元アナウンサーの発言で物議、国民医療費はどれくらい逼迫しているのか?

THE PAGE 9/30(金) 9:00配信

 元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏が「自業自得の人工透析患者なんて全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」とブログに書いたことをきっかけに、国民医療費に対する関心が高まっています。「殺せ」などという表現は論外で議論の対象にすらなりませんが、問題提起された国民医療費は、現実にどのくらい逼迫(ひっぱく)しているのでしょうか。

国民医療費の総額は約40兆円

 日本は国民皆保険制度を導入しており、保険料さえ納付していれば、基本的に全員が等しく医療サービスを受けることができます。米国など国民皆保険制度がない国の場合は、医療費を自前で払える高額所得者か、民間の医療保険に加入できる所得水準の人しか病院にかかることはできません(国民皆保険制度であるオバマケアがスタートしましたが、まだ完全な状態ではありません)。その意味では、誰でも病院にかかれる日本の制度は非常に素晴らしいものといってよいでしょう。しかし、全員が医療を受けられるようにするには莫大な費用がかかるのも事実です。

 2013年度における国民医療費の総額は約40兆円と膨大な額になっています。このうち、国民から徴収する保険料と患者の自己負担でカバーできているのは全体の約6割にすぎません。残りは税金などから補填される仕組みになっており、納付される保険料も企業が半分負担していますから、実質的な国民の負担はさらに少ないというのが現実です。

肺がん新薬は、患者あたり年間3500万円の費用

 40兆円という金額のうち、診療(歯科を除く)に関係するものは約29兆円と全体の約7割を占めています。診療費の中でもっとも多いのは循環器系の病気で約5兆9000億円、次に多いのは新生物(ガン)で約3兆9000億円となっています。当然ですが、三大成人病に関するものの比率が高く、高齢化に伴って医療費がうなぎ上りになることは必至の状況です。またこれらの疾患の治療には投薬が必要となるケースがほとんどですから、薬剤費の高騰も医療費圧迫に拍車をかけます。

 特に抗がん剤の価格高騰は激しく、最近では肺がんへの保険適用が決まった新薬は、1人の患者あたり年間3500万円の費用がかかるという驚きの試算が示されました。たった1つの新薬を使っただけで、国全体の薬剤費が2割近くも上昇する計算です(現実の薬価は引き下げられる可能性が高いので、試算ほどのコストはかからないと考えられる)。効果の高い新しい抗がん剤は、皆が処方を希望しますから、新薬が出てくるたびに医療費はさらに高騰するでしょう。

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最終更新:9/30(金) 9:00

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