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【ファミキャリ!会社探訪(41)】時代を先取りし、ターゲットや市場をエイムする……Aimingを訪問!

ファミ通.com 9/29(木) 12:02配信

●“ファミキャリ!会社探訪”第41回はAiming
 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍する各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナー。41回目となる今回は、Aimingを訪問。
 Aimingは、2011年に設立。『ブラウザ三国志』など、オンラインゲームに造詣の深く、時代を切り開くタイトルを開発してきたスタッフが多く在籍している。オンラインゲーム世界ナンバーワンを目指し、積極的な挑戦を続ける同社代表取締役社長 CEOの椎葉忠志氏に話を聞いた。

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●時代を“エイムする”ための挑戦を続ける
――最初に椎葉さんの経歴を簡単に教えてください。ゲーム業界を志したきっかけや、現在に至るまでの経緯をお答えください。

椎葉忠志氏(以下、椎葉) 私は新卒からゲーム業界に入ったのですが、当時自分がきちんとした志望動機を持っていたかというとそんなことはなくて、さほど深く考えていませんでした。いまでは経営者として、学生の志望動機を聞いていると、学生のころの自分は何も考えていなかったなぁと感じますね。
 私の場合、いわゆる1回目の就職氷河期で、もともとは広告やテレビ業界を志望していたのですが、なかなか希望通りにはいかず、そんななかでたまたま採用されたのが、当時のテクモです。ですから、「どうしてもゲームを開発したい」という強い意志があったわけでもないですし、プログラムができるわけでもない。ゲーム業界がどんどんと大きくなっていて、採用人数も多かった時代ですね。ですから、入社してからプログラムを覚えて、プログラマーやら、プランナーやら、ディレクターやら、家庭用ゲーム開発におけるいろいろな職種を経験しました。それから4年ほど経って、一度ゲーム業界から離れることにしました。理由は、ゲーム業界が閉鎖的で、将来発展していくイメージがあまり持てなかったからです。でも、一度離れてみると、ゲームを作る仕事がいかに魅力的だったかが分かりました。それで、今度は家庭用ゲームではなく、個人的に非常にハマっていたオンラインゲーム、当時はRTS型のゲーム、『Age OF Empires2』などですね。インターネットを使ったオンラインゲームは、最高の遊びになるだろうと感じ、転職活動をしました。オンラインゲーム業界なら、もう一度挑戦する価値があると思って入社したのが、ゲームオンです。ゲームオンでは『RED STONE』というゲームを成功させることができ、上場するまでの会社に成長しました。その後、『ブラウザ三国志』という、ソーシャルゲームにおける初期の成功作を作りました。

――いままであまり日本になかったゲームを作ってきたわけですね。
椎葉 家庭用ゲームに魅力を感じなくなったのも、Mobage/GREE向けモバイルゲームを作らなかったのも、理由は、どちらも似たようなタイプのゲームばかりになったからです。いまのスマホも似たような状況ではありますが、Aimingを作った後は、“リッチなスマホのゲームなら成功する”という信念のもとに、『剣と魔法のログレス いにしえの女神』の成功につながりました。いまでこそこうして偉そうに話していますが(笑)、末端のスタッフとしてプログラムのコードも書いていましたし、データベースやサーバー周りの仕事もしました。ゲームオンにも中途採用で入社して、運営サポートやイベントの立案など、いろいろな仕事をこなしてきました。「やったことがない仕事はデザイナーだけ」と自信を持って言えますし、そうした積んできたキャリアを誇りに思っています。

――家庭用ゲームに始まり、オンラインゲーム、ソーシャルゲームと、時代を先取りしたようなところがありますが、将来的な予見していた部分がありますか?
椎葉 いえ、オンラインゲームはニッチ以下の市場規模でしたし、他人と同じことをするのが嫌いだったのでしょうね(笑)。ただ、“すべてのゲームがネットにつながる時代が必ず来る”という話は以前からしていました。いまでこそ当たり前になりましたが、その時代に先駆けて、オンラインに関する技術を持つことが、必ずアドバンテージになると考えていました。

――それでは、Aiming設立の経緯を教えてください。
椎葉 『Kingdom Conquest』という、セガさんが初めて成功させたスマホのゲームがあります。じつは私も少し関わっていたのですが、当時は絶対失敗すると思っていました(笑)。しかし、その成功を目の当たりにして、「今後はスマホアプリの時代になる」と確信しました。当時はMobage/GREE向けのWebベースモバイルゲーム全盛期だったので、誰もがスマホでもWeb型のゲームが主流だろうと考えていました。私の考えかたはその逆で、スマホの性能がどんどんと上がっていくなか、ネットにつながる端末でのリッチなゲームが絶対に成功するときが来ると確信していたのです。そのときに全力で取り組むには、自分ですべてハンドリングできる会社を作るしかないと考え、Aimingを起業しました。

――社名の由来や、掲げているスローガンなどはありますか?
椎葉 当初スタッフから公募もしたのですが、ほとんど誰も考えてくれず(笑)、けっきょくは自分で考えました。元になる単語は、ゲーム用語としても使われる“Aim(エイム)”です。私たちのゲームの作りかたには、“世間がおもしろいと思うゲームを作るべきだ”という考えがベースにあります。そういう意味で、ターゲットを絞る、狙っていく、エイムする……ところからつけました。五十音順でも、アルファベット順でも早いですし、すばらしい社名だと、自画自賛しています(笑)。スローガンや社是・社訓はとくにない会社で、大事なことは自分たちがおもしろいと思うのではなく、“お客様がおもしろいと思うこと”なのです。

●東南アジアから、さらに世界へも視野を広げる
――御社の場合、タイトルによって、運営・開発の両方を手掛ける場合、運営または開発のみを手掛ける場合があるようですが、その際のメリット、デメリットを教えてください。
椎葉 3つのケースがあります。『剣と魔法のログレス いにしえの女神』のような協同型、自社による完全開発・完全運営型、そして海外タイトルを運営するタイプです。基本的には、おもしろいゲームならなんでもいいと思っているので、たとえば海外産のゲームが自社で開発しているゲームとジャンルが被っていても、それなら「海外のゲームより、自分たちがおもしろいゲームを作ればいい」という考えで、とくに気にしていません。もちろん、自社で開発・運営するゲームが大事だと思っていて、そうしたタイトルを手掛けて力をつけていかなければ、ゲーム会社として真の実力をつけることができません。ただ、海外産のゲームを運営するのは、市場の流れを掴むためにも重要ですし、自社開発にしっかりと投資をするために、別のところで収益を上げることも必要だと思っています。

――国内のみならず、台湾に支店、フィリピンに子会社を設立しています。アジア、またグローバルに関しての戦略について教えてください。
椎葉 世の中には確定していることと、まだ決まっていないことがあります。決まっていることとして、世界のゲーム市場がどんどんとひとつになりつつあることが挙げられます。ゲームのおもしろさは国を超えているのが当たり前の時代で、“グローバリゼーション”は、ゲーム業界でも必ず起こることです。日本のゲーム会社として、どうやって世界に挑戦していくのかというのは、とても難しい課題です。現在、東南アジアの市場は伸びているのですが、まだ市場規模は小さいし、所得が低いために、売上も低いわけです。日本人のコストでやっていくのは難しいので、弊社の場合は、まずフィリピンをハブにして、フィリピンでローカライズ開発・運営を、フィリピンから東南アジアへ挑戦していくようなイメージを持っています。開発としては、リッチコンテンツになればなるほど、グラフィックの規模は大きくなっていくので、たとえば台湾には170人のスタッフがいますが、ほとんどがグラフィックデザイナーです。日本といっしょに開発をしていく拠点として台湾があり、それらを一歩目として、いろいろな国で開発をしていかなければなりません。台湾とフィリピンというのは、東南アジアを含め、これから拡大していく市場で、いっしょに作り、現地で配信していくものの一歩目なのです。

――北米やヨーロッパも、ゆくゆくは視野に?
椎葉 そうですね。ただ、人と時間とお金には限りがありますので、優先順位をつけて、まずはアジアに向けてゲームを配信していくことがいいと考えています。それに、アジアでの日本のゲームに対するリスペクトは、本当に強いんですよ。

――配信中のタイトルはじめ、新規タイトルについて少し教えてください。
椎葉 海外産もそうですし、『街コロマッチ!』のような協業型には、さまざまなジャンルのゲームがあります。一方で、Aiming自身が作るゲームというのは、MMO RPGを含めたオンラインゲームが中心となります。これから配信されるタイトルも大ボリュームで、オンラインゲームばかり作っています。グラフィックでは、すでに「スマホだから」で許される時代ではありません。家庭用ゲームと比べても、そん色のないゲームを作ろうという方針です。
 8月19日に、“AimingFES2016”を開催しましたが、そこで発表した“Project CARAVAN”というゲームは、「本当にスマホで動くのか?」というスペックで作っています。そうしたレベルでゲームを作ることによって、開発力を上げていく必要があります。今後も、世界的にゲームをプレイする人口が増えることは間違いないわけですし、端末のスペックが上がり、さらにリッチなゲームが望まれる時代に向け、すでに取り組みを進めています。

――スタッフやクリエイターには、どういった特徴がありますか?
椎葉 ひと言でいうと“マイペース”ですね。殻に籠るわけではなく、コミュニケーションの取れるマイペース型のスタッフが多い感じがします。チームで働くことを重視しつつも、それぞれ自分の“何か”を持っています。ひとつのものを突き詰めるタイプの人が多いですね。

――社交性のある“オタク”は最強だと思います(笑)。
椎葉 僕もそう思っているんですよ(笑)。弊社の“ゲーオタ採用”がまさにそれですね。

●新しいゲームを作るために必要な“ゲーオタ”
――お話が出た、ゲーム歴を重視する“ゲーオタ採用”について教えてください。
椎葉 “ゲーオタ”とは、ゲームオタク、つまり本当にゲームばかりやっているか、です。突き詰めてプロゲーマーレベルでプレイしている人や、MMO-RPGを数年間ずっとプレイしているとか、いろいろなジャンルのゲームをたくさんプレイしているでもかまいません。もちろん、ある程度の客観性はほしいですね。また、エンジニアやデザイナーには、そこまで突き詰めた“ゲーオタ”を望んではいません。自分の中のものをアウトプットして、形にしていく仕事ですから、最低限ゲームに興味があることが大前提となりますが。ゲームがありふれている時代、新しいゲームというのは、“ほかのゲームと違う何かがある”ということなのです。ほかのゲームを知らずに、新しいゲームを作ることはできないという考えかたが根本にあります。物事を突き詰めて考えることのひとつとして“ゲーオタ”があり、ほかのゲームを知っているからこそ新しいゲームが作れる、そのふたつが重要だと思います。

――ちなみに、それほど“ゲーオタ”ではないと思っている人が志望してもいいのですか?
椎葉 ほかに見どころがあれば問題ないと思いますよ(笑)。デザイナーやプログラマーなら、提出してくれた作品によって実力を測ることができます。ただ、オンラインゲームを作るとなると、ゲーム自体をかなりプレイしていないと、何がいいかという判断ができないと思います。逆に、ゲーム業界未経験でも、弊社が認めた“ゲーオタ”であれば問題ないわけです。

――採用に当たり、どのような人といっしょに仕事をしたいとお考えですか?
椎葉 人といっしょに仕事をするのが大好きなのは重要ですね。コミュニケーション能力は、話すことが好きなのではなく、相手のことを気遣えるということなのです。我々の仕事は、お客様であるプレイヤーの気持ちが分からなければやっていけません。そういう意味でも、相手の気持ちが分かるような気遣いをしながら、チームで仕事ができるような人。さらに、先ほど言ったように、何かを突き詰めて行ける特性がある人ならば、入社してからでも何とかなるのではないでしょうか。

――御社の手掛けるタイトルは、人員的にも相当の規模が必要なタイトルが多いと思います。会社の将来像について、どのような展望をお持ちですか?
椎葉 会社がなぜ成長しなければならないか、という話になるのですが、いいゲームを作り、売上が上がり、スタッフが増えていくと、新しいプロジェクトができます。そこには新しい挑戦があります。新しい挑戦があるからこそ、さらにスタッフは成長し、成長するから売れるタイトルが完成し、さらに新しいプロジェクトが生まれていく……。これが理想的な循環だと思うのです。ただ、必ずどこかが止まってしまうんですね。これが、“大企業病”と言われ、挑戦がない組織になってしまいます。古い家庭用ゲーム会社は、こうした状態になっているのではないでしょうか。年齢が上の層が停滞してしまい、20代後半の人たちにチャンスがない。そうではなく、スタッフが成長して、どんどんといいゲームが生まれる環境にしていかなければいけないと強く思っています。

――現在、転職を考えているクリエイターにアドバイスをお願いします。
椎葉 僕がいまの立場になれたのは、黎明期のオンラインゲーム業界に飛び込んだからです。人が少ない状態でしたから、がんばれば成功できたわけです。そういう意味では、新しい挑戦を、いい仕事が回ってくる環境で、早くからやるというのは、とても重要だと思います。日々のんびり暮らしていても生きていけますが、ゲーム業界に入ったころは、「自分がこのゲームを作ったんだ」と言いたかったはずです。その気持ちを思い出して、自分が挑戦できるいい環境がどこかにあるかもしれないと考えて、ときに挑戦することも忘れてはいけないのではないでしょうか。いい仕事が回ってこないと、なかなか成長できないですよ。
 だんだん、スマホゲームの開発会社に対する認識も変わってきました。従来のゲーム業界と比べ、まだ異質な業界だと思っている人が多いんです。先日発表した“Project CARAVAN”を始め、これからはいちばんユーザーの多い端末で、それまでゲーム業界で培った技術や経験をフルに活かせる状態になってきています。まだ家庭用ゲームを第一に考える方も多いと思いますが、すでにどの端末でもかなりのスペックでゲームを作ることが可能です。自分の挑戦できる場として魅力があると思いますよ。

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<Aimingってどんな会社?>
 2011年の設立以降、つねにリッチなオンラインゲームを提供してきたAiming。同社には、『ブラウザ三国志』や『戦国IXA』など、時代をリードしてきたタイトルを手掛けたスタッフも多く、現在ではオンラインゲームの企画、開発、制作、運営など、すべて自社で行う実力を備えている。さらに、台湾に支社、フィリピンに子会社を設立し、国内外へと急速に成長を続けている。
 すべての端末がインターネットにつながる時代を念頭に、“お客様がおもしろいと思うゲームが正義”が信条。採用時には、ゲームへのこだわりやプレイ歴を重視する“ゲーオタ採用”という、ユニークな採用手法を取り入れている。

株式会社Aiming
●代表取締役社長 CEO:椎葉 忠志 ●設立年月日:2011年5月12日
●従業員数:591名(2016年3月31日時点)
●事業内容:オンラインゲーム制作、オンラインゲームプロデュース

最終更新:9/29(木) 12:02

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