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早くも“銭闘”モード? 日本ハム、優勝しても素直に喜べない2人の「年俸問題」

ITmedia ビジネスオンライン 9/29(木) 11:28配信

 北海道日本ハムファイターズが28日、4年ぶり7度目のパ・リーグ優勝を成し遂げた。今年6月の時点で首位に立っていた福岡ソフトバンクホークスと最大11.5あったゲーム差を引っくり返してのミラクルV。この歴史的な大逆転劇の原動力となったのは、この日の敵地・埼玉西武ライオンズ戦で先発した大谷翔平投手だった。

【球団は2人の年俸額に悩んでいる!?】

 強力ライオンズ打線をわずか1安打に抑え、15奪三振で完封。絵に描いたような完勝で胴上げ投手となり、いつも手厳しいコメントばかりだった栗山英樹監督からも「最高だった」と初めて激賞された。

 投手としては今季10勝目を飾って3年連続2けた勝利をマークし、防御率も1.86。打者としてもここまで打率3割2分2厘、22本塁打、67打点とどれも文句なしの好成績を記録している。日本プロ野球の歴史上、前人未到の二刀流をそつなくこなす22歳の若武者はまず間違いなく今シーズンのMVP筆頭候補であろう。

 日本ハムとしても大谷の八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍は当然ながら万々歳。スーパースター・大谷が「球団の顔」として、グラウンド外においても計り知れない経済効果をもたらしたことは球団関係者の誰もが認めている。しかし、その一方で球団側にとっては頭の痛い懸念材料が出てくることも覚悟しなければならない。今オフの契約更改で大谷の年俸をどこまで増額させるかという点だ。

●大谷と中田の年俸はどうなる?

 大谷の今季年俸は2億円。高卒4年目としてはダルビッシュ有(現テキサス・レンジャーズ)と並んで日本プロ野球史上最速の大台到達となっている。今季の活躍ぶりを考慮すれば、今オフの契約更改でも年俸大幅増となることは一目瞭然。球団内では「二刀流の両面でフル稼働したことを見積もれば、年俸3億5000万円は用意しなければいけない」との声も出ており、大幅な昇給はまず間違いないものと思われる。

 ところが、ここでネックとなるポイントが1つ生じてくる。チームの4番・中田翔内野手とのバランスだ。今季の中田はシーズン中盤で打撃不振に陥り、一時スタメンから外されるなどスランプにあえいだ時期もあったが、総じて振り返ればやはりチームにとって欠かせない存在だった。

 9月29日現在で110打点はリーグトップ。現在103打点で2位の内川聖一内野手(ソフトバンク)とエルネスト・メヒア内野手(ライオンズ)を引き離しており、残りわずかな試合数から考慮すれば中田の打点王は事実上当確と言っていいだろう。実際に栗山監督も優勝インタビューの中でチームを今季優勝に導いた“攻撃の核”について「翔の打点」を1つの要因として挙げていた。

 だからこそ、この中田についても今オフの昇給は球団として当然考えなければならないことなのである。そうなると球団内において「長きに渡ってチームの4番であり主砲を務めている中田の年俸を、いくら活躍したからといって来季で高卒5年目の大谷がアッサリと超えてしまっていいものなのか」という悩みどころが生じてくるのは、必然の流れになるだろう。

 今季の中田の年俸はチーム最高の2億4500万円。打線の主軸としてチームを支えてきたという自負とともにプライドも当然ある。球団にとっても中田は間違いなく功労者だ。そういう背景があるにもかかわらず目をつぶってまで、仮に大谷の来季年俸が中田のそれを超えるような形になれば一体どうなるか。球団関係者は、中田の心情を察しながら次のように推測する。

●「選手の年俸は3億円が上限」という“不文律”

 「やっぱり中田は面白くないと感じるはず。彼は大谷のことを認めているし、かわいがっているとはいえ、それとこれとは別問題。いくら大谷が二刀流としてMVP級の活躍をしたと言っても、中田だって打率(29日現在で2割5分1厘)はパッとしないまでも4番としてリーグトップの打点を叩き出しているわけだから譲れない部分は無論あるに決まっている。大谷より、自分が下の評価をされれば不満を覚えるのは必至でしょう」

 それだったら今オフは大谷と中田の両者を大幅に昇給させて来季年俸の逆転を防ぎ、うまくバランスを保てばいい。そういう見解がきっと出てくるだろうが、日本ハムの場合はこれもなかなか簡単にいかない社内体質がある。

 「選手の年俸は3億円が上限ライン」という“不文律”が球団内に事実上、設けられているという点だ。もちろん、これは書面化されているような球団規約となっているわけではない。日本ハムのOBは、古巣の査定に関する内部事情についてこう打ち明ける。

 「実を言えば選手には、なるべく“3億円を超えないように”という流れが、その昔から日本ハムの球団内にある。ただし、その例外が1つだけ過去にあった。ダルビッシュだ。

 2009年オフの契約更改でダルビッシュは3億3000万円プラス出来高でサインし、球団として初の大台を突破。さらに次の2010年オフには年俸5億円の超大幅昇給を勝ち取った。しかし、その翌年オフにダルビッシュはポスティングシステム(入札制度)でレンジャーズへ移籍し、日本ハムに5170万3411ドル(当時のレートで約40億円)もの莫大な移籍金を“還元”する形になった。日本ハムも近い将来にポスティングシステムを使ったダルビッシュのメジャー移籍を念頭に置いていたからこそ、年俸3億超えを特例として認めたフシもある」

 この「ダル査定」の例が過去にあることから日本ハムはどうやら1つの落としどころとして大谷も、そして中田も3億円の大台突破は言うに及ばず、そのラインを大幅に超える形で同時昇給させる結論になりそうな気配だ。

●“銭闘”の行方に注目が集まる

 現状、「大谷はMVP」「中田は打点王」を手にする可能性が高い。このことからも球団は両者の査定に「タイトル料」も組み込まなければならないので、それなりの大盤振る舞いは覚悟しなければいけない。その上で2人の来季年俸額についても「両者の開きは縮まっても中田がチームトップで大谷は2番目という体裁を保つ」という方向性に持っていき、やはり波風を立たせないようにするのかもしれない。

 いずれにしても中田と大谷の年俸バランスを考えながら、その2人に対して同時に「ダル査定」を導入しなければならないとなれば、これは球団にとってかなり悩ましい懸案事項となりそうだ。

 ちなみに中田も、そして大谷も将来のメジャー移籍に興味を抱いている。両者の海外FA権取得はこのまま順調にいけば、中田は2018年のオフ、大谷は2021年のシーズン終了間際だ。一部からはこのような見方も出ている。「不文律を破って年俸3億円の大台を突破したダルビッシュは、その2年後にポスティングシステムでメジャーへ移籍した。そう考えれば中田、大谷についてもメジャー移籍の時期は案外早まるんじゃないか。日本ハムはかなりドラスティックな経営戦略を持っている球団だから、その選択もあり得ない話ではない」と。

 多くの観点から注目を集める二刀流・大谷と主砲・中田の契約更改。ポストシーズンでの戦いだけでなく、その後のオフの“銭闘”の行方にも注目が集まる。(※年俸額は推定)

(臼北信行)

最終更新:9/30(金) 7:52

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