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6・16「大逆転」宣言から始まった日本ハム・栗山監督の神采配

東スポWeb 9/29(木) 16:31配信

 日本ハム・栗山英樹監督(55)の執念が大逆転Vとなって結実した。就任1年目の2012年以来4年ぶり、自身2度目のパ・リーグ制覇は、チームの北海道移転13年で5度目の栄冠となり、道民の胸に熱く刻まれた。限られた選手層を「今いるメンバーがベストメンバー」とし、6月以降、勝負手を打ちまくり「攻めダルマ」で絶対王者から覇権を奪回した。そんな指揮官の“神采配”を振り返った。

「感動しました!」。8度宙に舞った栗山監督は満面の笑みだった。

「僕自身、あきらめていなかったし、それを一番教えてくれたのはファイターズの選手でした」と振り返った11・5ゲーム差からの大逆転Vの起点は、DeNAとの交流戦が雨天中止となった6月16日の横浜スタジアムだった。

 その時点で首位ソフトバンクとは10差の3位。王者に史上最速でマジックが点灯しようかという状況にあった。しかし、栗山監督は静かに熱くこう話し始めた。

「こんな順位(3位)にいておこがましいけど、ホークスに勝つためにチームをどう動かすかしか考えていない。何か大きなことを起こさないと、このままではいけない。直接対決も大事だけど、チームが大きな連勝をするためにイチかバチかみたいなことをしないといけない。それぐらいの差になりつつある。でも、俺はひっくり返せると思ってやっている」

 絶望感さえ漂う状況の中、指揮官は誰よりも熱く大逆転への方策に頭をフル回転させていた。

 奇跡を信じた日本ハムは指揮官の予言通り、交流戦中から快進撃を始めた。7月1日からのソフトバンク3連戦に敵地で3連勝するなど、同月11日のオリックス戦まで球団新記録の15連勝で急浮上。7月を17勝4敗という勢いで駆け上がり、8月25日、ついにライバルをとらえ首位に。そして「世紀の大逆転V」へとつながる一騎打ちに持ち込んだ。

 6月の横浜での「大逆転宣言」からたった2か月での有言実行。栗山監督の恩師でもある野村克也氏の名言に「組織はリーダーの力量以上には伸びない」という語録がある。指揮官が状況を悲観することなく、覚悟と信念を持ってチームを前に進めなければこのミラクルは起こり得なかった。その間に打ちまくった勝負手は“神采配”のごとくはまった。

 大谷とはカードを分けていた2本柱の一角・有原の先発登板をソフトバンク戦の集中していた週末にローテーション再編し、3年目で10勝と頭角を現した高梨との強力3本柱で交流戦後の同戦3カード連続勝ち越しにつなげた。

 敵地3連勝した7月3日には大谷を「1番・投手」で起用する奇襲に出て、先頭打者アーチ&8回無失点10奪三振とソフトバンクを撃破。マメによる大谷の投手離脱、前半戦を引っ張ってきた有原の疲れが目立ってきた8月からは、防御率6・30と結果が出ず配置転換を迫られていた守護神・増井を先発転向させ、後半戦の軸に再生させた。

 当初は反発していた本人でさえも気づかない適性を、吉井投手コーチとともに見抜き、戦力としてしまう眼力は先入観にとらわれることなく「チームを勝たせるために何をするべきか」だけを考え抜いた知力のたまもの。そして決めた以上、信じて人を動かした名将の証しだった。

最終更新:9/29(木) 18:38

東スポWeb