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吉田羊、“恩人”中井貴一と初対談 8年前の出会いとお互いを認め合う俳優同士の今の絆

オリコン 10/1(土) 8:40配信

 日本エンタテインメントシーンのトップランナー、中井貴一と吉田羊の出会いは、8年前に遡る。たまたまテレビを見ていた中井が、当時まだ無名だった吉田と、名優・西田敏行との秀逸なかけ合いに目を留めた。「あの女優は誰?」と探し出し、中井が主演を務めたドラマ『風のガーデン』(フジテレビ系)に役を追加して吉田を起用。中井にその演技力を見出されてからの吉田の快進撃は言うまでもない。吉田を見出した中井と、中井を恩人として敬愛する吉田が、夫婦役で初の本格共演を果した『グッドモーニングショー』について語り合った。運命的に出会ったふたりの初めての対談取材では、役者としてのお互いへの深い想いもあふれだした。

【写真】笑顔が絶えない対談インタビューカット

◆ラストシーンを撮って“羊ちゃんにやってもらってよかった”(中井貴一)

 この日の2ショット対談取材では、写真撮影のためカメラ前に並べば「ステキなジャケット!」と、さりげなく中井に微笑みかける吉田。久々の再会らしいが、ふたりにしか聞こえないくらいの小声で談笑しながら撮影に臨む姿は、まさに長年連れ添った夫婦のような雰囲気だった。

――夫婦役が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
【吉田羊】 中井さんとは常々、がっつりお仕事をしたいと思っていましたので、奥さん役ということでひとつ夢が叶ったなと。ただ、台本を読ませていただいたら、早朝、仕事に行く前と、夕方家に帰ってきてからしか、旦那様にはお会いできないという……(苦笑)。
【中井貴一】 ふたり一緒の撮影が1日で終わってしまったので、ちょっともったいなかったなって気もしているんです。
【吉田羊】 物足りなさがありますよね。
【中井貴一】 でも、(中井扮する澄田が)朝、家を出てから1日中本当にいろいろなことがあって家に戻ったとき、部屋の奥に羊ちゃんがいて、というラストシーンを撮っていて“羊ちゃんにやってもらってよかった”としみじみ思いました。
【吉田羊】 うれしいです。ありがとうございます。

◆“中井さんなら大丈夫”という思いが私にはある(吉田羊)

 主人公・澄田真吾は、朝のワイドショーのメインキャスターを務めている。深夜3時の起床から、妻と息子の言い争いに巻き込まれてしまうなど、出社前から不穏な空気に包まれる(!?)澄田の踏んだり蹴ったりの1日が描かれる社会派コメディ。実はかつて報道番組のエースだった澄田には、あるリポートが原因で番組を降板した古傷があった。

――夫が世間から避難を浴びたリポートの真相について、妻は知っていたと捉えていましたか?
【吉田羊】 知らなかったと思います。
【中井貴一】 うん、うん(うなづく)。

――では、数々の災難に見舞われながらも、なんとか乗り越えて帰宅した夫の「ごめんなさい」という言葉を、どう受けとめたのですか?
【中井貴一】 いろいろな意味がありますよね。長澤くん(一方的に澄田に好意を寄せる小悪魔系サブキャスターの小川圭子役)のことも含め……。
【吉田羊】 命の危険にさらされたことも含め。
【中井貴一】 ただ、帰宅してから、ふたりが見つめ合うシーンがあるんです。そのとき、羊ちゃんがすごく心配していたという顔になっていたんですよ。
【吉田羊】 心配ゆえに怒っているという。
【中井貴一】 そう! 気持ちが明確に通じてくる。そういう表現って、テクニックではないんですよね。そこで僕は、すごく胸が熱くなりました。役者同士にしかわからない顔というかね、それは役者をやっていて、いちばん得をした気分になる瞬間なんです。もちろんカメラはあるけれども、役として、カメラとは違う感じを受け取るわけです。共演する時間が長ければということより、その瞬間“本当に(妻役が)羊ちゃんでよかった!”って強く感じました。

◆僕の俳優の価値観かな。芝居をしないときは価値のない人間(中井貴一)

 本作のメガホンを取った君塚良一監督は、“冬彦さん現象”を巻き起こした『ずっとあなたが好きだった』(1992年)や『踊る大捜査線』シリーズ(1997~2012年)をはじめ、テレビ業界を知り尽くした脚本家。中井が主演した『携帯忠臣蔵』(2000年 ※『世にも奇妙な物語 映画の特別編』の一編)や橋田賞を受賞した『はだしのゲン』(2007年)の脚本も手がけた。近年は脚本のみならず自ら監督も務め、『誰も守ってくれない』(2009年)『遺体 明日への十日間』(2013年)などの映画を世に送り出してきた。

――観客を楽しませたいとエンタテインメントにこだわる君塚監督の思いには、おふたりも共感されますか?
【中井貴一】 それしかないよね?
【吉田羊】 (強くうなづいて)はい。
【中井貴一】 お客さんが楽しんでくれる、何かを感じてくれるというところに向かない限り、自分がいい気持ちになったって、何にもならないんですよ、俳優の仕事って。好き嫌いと一緒ですから。僕らが納豆だとすると……。
【吉田羊】 ん!?
【中井貴一】 どんなにおいしく納豆を作ったからって、嫌いな人は嫌いなんです。そういうことも考えながら、でも楽しんでもらう、でもおもしろかったねって言わせる何かを、僕らは考えていかなくてはいけないんじゃないかな。「役者なんて、自分の内面にだけ向いていたら価値がない」というのが、僕の俳優の価値観かな。芝居しないときなんて、なんの価値もない人間だと思っていますから。
【吉田羊】 演じてなければ、タダの人!
【中井貴一】 本当に価値がないっ!!
【吉田羊】 本当にそう!!!
【中井貴一】 世の中の何の役にも立ちゃしないと思うけど、カチンコが鳴ってから終わるまでの間だけが、自分の生きている瞬間なのかもしれない。そこにも価値がないって思われてしまったらつらいけど(苦笑)。

◆もっと中井さんとやりたい。口に出せば実現するかな(笑)(吉田羊)

 対談中、随所に見られた丁々発止のやりとりが小気味良い。8年前の出会いは必然だったのでは? と思うほど、ぴたりと息の合ったふたり。

――満を持しての、本作での貴重な共演を経て、改めて芝居やお互いの魅力について、どんなことを感じましたか?
【吉田羊】 バリケード越しに話すラストシーンで、私の出方とか、セリフのトーンとかを受ける中井さんのお芝居に、久しぶりにお芝居って楽しいなと心から思わせていただきました。お芝居っていうのは、リアクションであって、会話であって、呼応なんだなっていうことを実感しました。ひとりではお芝居ってできないんだなと。やっぱり昔から知ってくださっている中井さんだからこそ、少しのシーンでも夫婦間の信頼というか、このふたりだから出せたのかなという気はしています。
【中井貴一】 ふたりでバリケードを下ろしていくことによって、夫婦として(の関係が)戻っていくっていうのは、羊ちゃんとだからできたんだって僕も思いました。
【吉田羊】 私の気持ちが高まれば、中井さんの気持ちも高まるし、お芝居が呼応し合っているということを実感できるシーンでした。私の気持ちが高まり過ぎて、中井さんが呼応し過ぎて、監督からダメ出しが入るっていうこともありましたけど(苦笑)。「そんなセンチメンタルなシーンじゃないから!」って。たしかにつながったもの(完成作)を観ると、カラッとスカッと笑って終わる、みたいな最後に向かっていくので、現場でふたりで夫婦の絆を深め合ってしまったなって(笑)。それくらい、何も言わなくても、通じ合える中井さんだからこそ、成立したお芝居だったなと思います。でも、もっとがっつりやりたいと思いました。できれば穏やかに関係を構築していくような夫婦役を……。って口に出しておけば、いつかは実現するんじゃないかなって(笑)。
【中井貴一】 必ず実現しようね。
(文:石村加奈)

最終更新:10/1(土) 8:40

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