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福山雅治、初の汚れ役を演じて感じた“喜び”「人を楽しませようと思って生きている」

オリコン 9/30(金) 8:40配信

 ダーティなルックスのヘビースモーカーで、口を開けば悪態をつき、風俗好きで借金まみれ……というまさかのクズ男のパパラッチ役を、新作映画『SCOOP!』で快演した福山雅治。人気者のイメージを覆す、汚れ役に初挑戦した新作について、また四半世紀にわたり数々のジャンルで活躍し続ける福山が、近年コンスタントに挑む映画への想いについても聞いた。

【写真】福山雅治、下ネタも飛び出したインタビュー

◆わかりやすい優しさで人と接する表現の映画ではない

――今回、初タッグを組まれた大根仁監督の「憧れの映画『盗写1/250秒』(1985年/原田眞人監督)の21世紀版を手がけたい」という、少年時代からの野望が実現した感動的な本作。約30年前の原作映画をご覧になったとき、どんな感想を抱かれましたか?
【福山雅治】 人間関係のベタベタしていないところとか、どこかドライな感じにカッコよさを感じたんです。一見、クールに見えるカッコ良さって、昔もいまも共通してるのかなと。時代が変わっても、カッコよさは変わらないんだなと思いました。『盗写~』にも『SCOOP!』にも、基本的にいい人は出てこない(笑)。(『SCOOP!』の登場人物のなかで)いい人で、いい行動をする人って馬場ちゃん(滝藤賢一)くらいじゃないかな。野火(二階堂ふみ)も若いのであまり汚れていないけど。みんな悪い人ではないんだけど、いわゆるわかりやすい優しさで人と接するような表現の映画とは少し違うので。

――「基本的にいい人が出てこない」とのことですが、下品だけど、気持ちいいほど欲望に忠実なところが逆に憎めないような、独特の色気を放つ静を筆頭に、彼の相棒となる野火(二階堂)、ふたりを見守る写真週刊誌「SCOOP!」の副編集長(吉田羊&滝藤賢一)ら登場人物の誰もが、人間味あふれるキャラクターとして描かれていますね。
【福山雅治】 それは大根監督の眼差しであり、キャラクターだと思います。監督は根が優しい人なので。エッジの効いたものをやると、表面的にはそれが第一印象になるけれども、それを根底で支えているのは、監督の人に対する優しさだったり、ご本人のナイーブさだったり。撮影中も、静の重要なシーンを撮る数日前から、監督がどんどんナーバスになっていって(笑)。そういう繊細さが、各キャラクターと映画全体を下支えしていると思います。勧善懲悪のスカッと終わる話ではないけれども、後味として最後に心地よさが残るのは、監督の人柄じゃないですかね。やっぱり作品には、それを作っている人の根底の部分が滲み出るものですから。

――撮影現場では、福山さんからも積極的にアドリブやアイデアを提案されたそうですが、監督と作り上げたシーンで、とくに印象に残っているのは?
【福山雅治】 シーンではもちろんたくさんあるんですけど、先日の取材を受けたときの監督の発言で、すごく印象に残っているのが「僕は『中折れ詐欺』みたいな下品なセリフは書いてない。(福山が)自分から現場で言い出したことです」って。“いろいろ書いていたのに、急にそこは守るんだ!?”と思いました(笑)。

――実際のところ、台本には書かれていなかったんですか?
【福山雅治】 それは確かに書いていなかったんですけど、現場の空気で言いたくなって(笑)。まあ男なんて、3歳くらいの男の子でも、ウンコとかでよろこんで騒ぐじゃないですか。そういうのと同じで、シモいセリフがあるとどんどん楽しくなってきて。もっとおもしろいシモいのないかな? という流れにはなっていましたね(笑)。

――初の汚れ役に戸惑うどころか、むしろ喜びを感じられていた?
【福山雅治】 楽しかったです、すごく。楽しかったから、出来上がった作品を観たとき、やっぱりいいなと思えた。楽しんでやるって、すごく大事なことなんだなと。人を楽しませることが仕事だと思って、楽しませようと思って生きているんですけど、自分が楽しむことが、人を楽しませることにつながるんだって、改めて今回の映画で思いました。

◆地上波では放送できない。AbemaTV向きです(笑)

――初主演映画『容疑者Xの献身』(2008年)以降、ヒットシリーズ『真夏の方程式』(2013年)、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した『そして父になる』(2013年)、本作を経てジョン・ウー監督の『追補』(2018年公開予定)など、近年はコンスタントな映画出演が続いていますが、いま映画というジャンルについては、どのような思いを抱かれていますか?
【福山雅治】 僕は90年代、映画にはほとんど出ていないので、当時の日本の映画もほとんど観ていないんです。オファーもありましたけど、正直“これ、おもしろいのかな?”という感じで。不勉強だったのですけど。でもシネコンを作ったり、映画業界自体がいろいろな活性化を図ってがんばってきた結果の2000年代、そして2010年代半ばを過ぎたいま、作りたい人が作りたい作品を作る機会が増えている気がします。バジェットの大小や、ヒットする、しないに関わらず、企画の成り立ちが健全だし、おもしろい作品が増えているように思います。

――そういう意味では、本作は大根監督にとっても、福山さんにとっても、実に映画的な作品ですね。ゲスなセリフのオンパレードには、テレビだと自主規制の問題などもありそうですが?
【福山雅治】 作品の空気感みたいなものって、積み重ねてきたディテールで出るものなので、このディテール、テイスト、表現を、テレビの連ドラでいまできるかというと、ぶっちゃけ地上波では放送できないんじゃないかって。AbemaTV向きです(笑)。でもそれは、規制があるから表現の幅が狭まるのはよろしくない、というような話ではなくて。規制のなかで、どんなおもしろいものを作るのか? というのが、時代の進歩とクリエイターの腕の見せどころなので、規制というものに対して否定するという単純な話ではないんですけど。

――アーティスト、俳優、写真家、ラジオDJなど、さまざまなジャンルでご活躍のなか、俳優活動において、映画とテレビの違いをどのように感じていますか?
【福山雅治】 ドラマはもう本当に視聴率が大変ですからね。辟易とします(笑)。もちろん映画にも興行収入というものがあって、どこにでも数字はついて回るんです。ドラマの撮影は、25年前(デビュー当時)から変わらなくて、大変だなと思うことはあります。映画のほうが余裕をもって撮れますね。テレビより自由度を持って表現できると思っている監督、俳優は多いと思います。

――なるほど。空気感ということで言えば、猥雑な街・東京を舞台にした本作には、いまの東京を映し出すおもしろさもありました。
【福山雅治】 東京タワー、スカイツリー、都庁、新宿副都心、東京ミッドタウン、六本木ヒルズ……これだけ東京の街が実景として映っている映画はあまり観たことないと思います。何とかの塔とか、日本だと●●城とか、昔から洋邦問わず高い建物が、富とか時代とかのひとつの象徴として、その街を映し出してきました。例えばドーンと屹立した六本木ヒルズがスクリーンに映っているだけで、時代感をものすごく感じる。そんなデカい建物が立つなかで芝居をすると、俳優も触発されるんでしょうね、都会のロケーションというものに。今回、実際に西麻布の交差点や中目黒界隈、赤坂、六本木周辺で撮影したことは、とても大きかったと思います。東京の設定でも、近郊で撮る作品はけっこう多いので。もし大宮あたりで撮っていたら、静の感じもだいぶ違っていたんじゃないかと思います。
(文:石村加奈)

最終更新:9/30(金) 8:40

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