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強豪相手でも負けは負け? 関東学院大に「惜しい」はいらない。

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン) 9/29(木) 10:59配信

 十分に健闘したのでは。いや。勝てる試合を落とした、との認識だ。

 2006年度まで10季続けて大学選手権の決勝へ進んだ関東学院大は、今季、長い低迷を経て4シーズンぶりに関東大学リーグ戦の1部へ復帰していた。

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 9月11日には群馬・浜川陸上競技場で昨季王者の東海大に12-67と、続く18日、埼玉・熊谷ラグビー場で前年度の大学選手権で4強入りした大東大に10-42とそれぞれ屈した。

 もっとも大東大戦では応戦。鋭いタックルと肉弾戦への飛び込みで、相手のミスを誘った。攻めては複数人で球をキープし、守備網のひずみをキックとパスでえぐった。

 相手の反則で敵陣ゴール前まで進めば、鍛えられたモールでスコア。後半17分からロスタイムに突入するまでの間は、10-28としていた。

 大東大は、元7人制トンガ代表ながら日本代表スコッド入りも果たしたホセア・サウマキら、強力な留学生を擁する。久々に1部に挑むクラブとしては、大駒揃いの相手に手応えがあったのでは…。

「ない」

 板井良太監督は首を横に振った。黄金期にコーチとして携わっていた1人として、あくまで勝利のための準備が「甘かった」と反省したのだ。

 試合の細部の情景を思い浮かべ、こう振り返る。

「相手にあげなくてもいいトライをあげてしまった。イーブンボールの働きかけのところで、ことごとく大東大さんに拾われている。本当はそこで勝機を見出さないと。そういうことは練習でもやっていたんですけど、私の甘さがあったのか…」

 相手の落球(ノックオン)から自軍ボールのスクラムを獲得した時に「あぁ、これで自分たちが攻められる」と一休みしてしまうように見えた。

「これじゃあ、勝てないですよ」

 ラグビーには、「アドバンテージ」という原則がある。反則された側にとって優位な状況下では、試合は継続される。レフリーが「アドバンテージ」と判定した最中のプレーが途切れたら、反則が起きた地点から攻め直すことができる。

 板井監督は思った。スクラムで劣勢だったこの日は、こぼれ球を拾って奇襲に出るべきだった、と。

「確かにいいタックルはしてましたよ。それで相手がノックオンしてくれた。それを拾って、ババっと攻めないと」

 栄華を築いた「カントー」では、2007年の不祥事以来、強豪校出身の新入生が減少。強い存在感を示していた春口廣監督が退任と現場復帰を繰り返すなか、覇権争いから遠ざかった経緯がある。それでもいまは、三洋電機元主将の榎本淳平ヘッドコーチら2000年代の卒業生が指導陣に入閣。指揮官は「がみがみ親父的にうるさく…」と、その役割を全うする。

 上位校に比べて体格差に劣るいま、巻き返しを誓う。

「相手に待たれたら、勝てないよ。そうは言ってきたんですけど…。敵陣22メートルあたりまで進んだ時、BKへ展開すべきところでSH(攻撃の起点)があたりをキョロキョロ…。いざ試合になっちゃうと、(周りの選手が)走り込めないんですね。いいんですよ、ミスしたって。でも、消極的なのは残念。もっと、彼らに厳しくアプローチしていきます」

 関東学院大陣営の弁は、いたずらに敗者を称える日本スポーツ界へのささやかな戒めでもあったか。

 リーグ戦で上位4チーム以内に入れば、準決勝に進んだ2011年度以来の大学選手権進出が叶う。

(文:向 風見也)

最終更新:9/29(木) 10:59

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