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「原発再編」はさらに進むか。燃料事業統合の先

ニュースイッチ 9/29(木) 15:24配信

日立、東芝、三菱重工の因縁と経産省の思惑

 昨年から東芝、シャープを震源地とした起こった電機業界の再編。東芝は医療機器や白物家電の売却など選択と集中を進め、シャープは台湾・鴻海精密工業に買収された。その過程で経済産業省は長年、日本の電機産業が抱えてきたプレーヤーの過剰問題を一気に解決しようと考えていた。

 家電や液晶など当初のシナリオから狂ったものも多くあるが、最後の本丸は原発だった。そして日立製作所と東芝、三菱重工業の原子力発電機器メーカー3社が、核燃料事業の統合に向けて調整に入っていることが明かになった。燃料だけでなく、今後、プラント機器を含めた本格的な再編に突入するのだろうか。

 東日本大震災が起こる以前、世界中で「原発ルネッサンス」が叫ばれ、日本の原発機器メーカーの東芝や日立製作所、三菱重工業と政府は、原発をインフラ輸出の目玉にしていた。震災で状況が一変。特に原発事業を成長の大きな柱にしていた東芝は、不正会計問題を助長させる要因になった。

 原発の炉型は大きく分けて二つ、沸騰水型軽水炉(BWR)と加圧水型軽水炉(PWR)。長年、日立と東芝はBWRを手がけ米ゼネラル・エレクトリック(GE)との関係が深く、三菱重工はPWRで米ウエスチングハウス(WH)と協力関係にあった。

 ねじれが起きたのは2006年の東芝によるWHの買収。WHに近い三菱重工も買収に名乗りを上げていたが、当時の社長だった西田厚聰氏の大号令の元、6000億円を超える金額を提示し強奪した。「B」と「P」の二つの炉型を手に入れ事業拡大路線に突っ走る東芝に対し、三菱重工の経営陣は感情的なしこりを持ち続けることになる。

 東芝のWH買収をきっかけに日立はGEと合弁を組み、三菱重工は仏アレバと関係を強めることになった。その後、日立と三菱重工は火力設備事業を統合。「次は原発」という報道もメディアであふれたが、そこは単純にはいかない。炉型が違うため、それぞれが持つ技術シナジーを出しにくく、また海外のパートナーともなかなか縁も切りにくいのが実情だ。

 国内の新設受注が事実上不可になり、日立や東芝は海外に活路を見出す。日立は英国の原発事業会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」を買収。最大で4―6基の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を建設する予定。2020年代前半の稼働を予定している。東芝も英国案件ではホライズンを本命にしていたが、日立に奪われたため代わりに原発事業会社「ニュージェン」に出資した。

 原発事業においてオペレーター(電力会社)の役割は非常に大きい。本来なら日本は東京電力がその先頭に立ってやる予定だったが、原発事故により身動きがとれなくなった。経産省は「産業革新機構をブリッジに一時盛り上がったオペレーターも参画した“オールジャパン“のインフラ輸出の復活を目指している」(大手電機メーカー幹部)という見方もある。

 プラント機器メーカーの再編も一時ほど障害がなりなりつつある。まず海外勢はGEが原発事業から距離を置きつつあり、アレバは経営不振で三菱重工に対し子会社への出資を要請している。

 国内メーカーの関係でいえば、東芝が経営再建の過程で「WHを自社に残した上で、BWR事業を日立と統合するのが最も理にかなっている」(電機セクターアナリスト)。ただ日立と東芝は長くライバル関係にあり、「特に電力部門は水と油」(日立幹部OB)と言われている。

 ただ今の東芝にあって面子どころではない。またWH買収を決断した西田元社長、原子力部門出身の佐々木則夫元社長が会社を去ったことも、両社が接近する上でプラスになろう。

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最終更新:9/29(木) 15:24

ニュースイッチ