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楽天の日経平均採用が意味するもの

ZUU online 9/30(金) 6:40配信

9月30日の終値基準、10月3日実施で楽天 <4755> が日経平均の構成銘柄に新規採用される。毎年、この時期に実施される定期入れ替えに伴うもので、代わりに日本曹達 <4041> が除外されることになった。

以前なら日本曹達が225種から外れることなど考えられない一方、新興企業である楽天が採用されたことは、日本の産業構造の変化を象徴する出来事と言えよう。

■楽天の新規採用に伴う市場の影響は軽微

今回の入れ替えについての影響だが、それほど大きなものにはならないだろう。直近で思い出されるのはユニーとファミリーマートが統合されたことに伴う8月の入れ替え。マーケットインパクトが大きく、基準日の8月26日には、この影響もあって日経平均は終値で前日比200円近い下げを演じた。

両社の株価の価格差が6000円台と大きかった点が背景にある。こうなるとインデックスファンドは等株数投資が原則であるため、除外した銘柄を売って捻出した資金で新規採用銘柄を買い切れない。結果、他の224銘柄を広く薄く均等に売って、購入資金を得ることになり、市場全体に影響を及ぼした訳である。

ところが今回の場合、価格差は800円台と相対的に小さいので、8月の入れ替え時に生じたような混乱が起きる可能性は小さいとみていいだろう。

■採用銘柄入れ替えの経緯

日経平均採用銘柄の入れ替えは、なぜ毎年行なわれるのか、ご存じない方のために簡単に説明しよう。

1949年の東証の立会い再開後、バブル期まで銘柄入れ替えは採用銘柄の上場廃止(合併も含む)と唯一の例外(NTT上場に伴うオーミケンシの除外)を除いて行われず、連続性が特徴の1つとなっていた。ところが、日本の産業構造にそぐわなくなったほか、テクニカル面でも品薄株によって、いびつな値動きをするようになり、それが問題視されるようになったのである。

少し前に、高株価のファーストリテイリングの動向に左右されることが注目されたが、同社は流動性が高いのに対し、バブル期まで採用されていた片倉工業、松坂屋、松竹などは流動性に乏しく(松坂屋は秀和による買占めで品薄になっていた)、やろうと思えば、日経平均の動きを操作することさえ可能だった。そこで、1991年10月に著しく流動性を欠く銘柄は除外するというルールを設定。銘柄入れ替えが実施されるようになり、連続性は途切れることになった。

忘れてはならないのが、2000年4月に突如行なわれた一度に30銘柄にも及ぶ大量の入れ替えだろう。品薄株の除外によって、値動きの問題は薄れたものの、採用銘柄には、いわゆるオールドエコノミーが多く、日本の産業の実情を示しているとは言いがたい状態だった。

当時は、日本の電機などハイテク産業の全盛期。これらが採用された趣旨そのものは悪くはないながら、新規採用は値がさ株が中心、除外銘柄は低位株が主体だったため、8月26日に起きたような事象が発生。インデックスファンドが値がさの新規採用銘柄を購入するため、既存の採用銘柄を幅広く売ったのである。

この銘柄入れ替えにより、15%の下落を演じ、当時の速水日銀総裁による緩和策終了示唆も手伝い、そのまま株価はITバブル崩壊に繋がった。その後、日経平均が2万円台を回復するまで、15年を要したことは言うまでもない。

■入れ替えの運用法を変える必要性

この大量入れ替えについて、今でもマーケットを破壊した日本経済新聞社、当時のデータバンク局の罪は重いと思っている。しかし、先述した通り、日本を代表する株価指数であるがゆえに、産業構造の実情に沿うような形に、指数の構成銘柄を修正した点についての考え方は間違っていない。

この大量入れ替えから15年余り経過し、日本の産業構造は急速に変化した。当時、ピカピカの存在だったシャープはマーケットに存在しない。当時、値がさ株だったハイテク株の中には、“生き残っている”としても、指数の動きを先導する役割は見込めない。

用されているハイテク株の少なからずが、2000年の大量入れ替えの際に除外の対象となったオールドエコノミーのような存在になってしまったのだ。

今回の楽天の新規採用は、そうした意味において、ある種、象徴的な出来事と言っていい。今後、日本の製造業が再び、往年の輝きを取り戻す可能性がなくはないが、足元をみる限り、以前に比べて凋落したと言ってもいいだろう。

半面、楽天もその代表株の一角を占めるIT関連企業が、日本の産業界で大きな存在となっている。現在、株式市場で注目を集める「AI(人工知能)」「自動運転」といったテーマに沿う企業は、IT関連をはじめ新興企業と言われるものが多く、おそらく今後の日本の産業界をリードするのだろう。

2000年の経験から、大量入れ替えが行なわれることはないだろうが、現状の入れ替えのスピードでは産業構造の変化に対応し切れないため、どこかで銘柄入れ替えの運用を工夫すべきではないだろうか。(ZUU online 編集部)

最終更新:9/30(金) 6:40

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