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【池原照雄の単眼複眼】「準自動運転システム」(レベル2)の普及が加速する…日産とホンダの新型ミニバンで高装着率

レスポンス 9/30(金) 9:15配信

◆高速道の単一車線を設定速度で安全に走る

日産自動車が8月に発売した新型『セレナ』に自動運転技術「プロパイロット」を搭載するなど、同技術への注目が急ピッチで高まってきた。映像メディアでの露出も多く、この1か月で『NHKスペシャル』とテレビ東京の『ガイアの夜明け』が、開発や販売の現場をドキュメンタリータッチで取り上げた。その影響でもなかろうが、日産のセレナ、9月半ばに発売されたホンダ『フリード』というミニバン新モデルでは、同技術の装着比率が極めて高くなっている。

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セレナとフリードの自動運転技術の打ち出し方は大きく異なっている。日産のプロパイロットはずばり「自動運転技術」と謳っているのに対し、ホンダの「ホンダセンシング」は「安全運転支援システム」との形容句を付けている。機能にはいくらかの相違があるが、高速道路での単一車線をハンドル、アクセル、ブレーキの全てをシステム側が操作しながら、設定した速度を上限に前のクルマと安全な車間距離を保ちながら走るという基本機能は同じだ。

異なるのは、走行車線を維持するためのハンドルの自動操作が可能な速度範囲。ホンダセンシングは65~100km/hと中速域以上となっているのに対し、日産のプロパイロットは停止状態から100km/hまでカバーする。つまり、プロパイロットは渋滞時にも自動で前車を追従する機能がある。こうした低速域でのハンドル操作も伴う技術は日本車では初めてであり、「自動運転技術」を謳う背景ともなっている。ちなみにホンダセンシングとほぼ同様の技術は、2014年6月に発売された富士重工業(スバル)の『レヴォーグ』が日本車の先陣を切っている。

◆受注好調のセレナは7割が「プロパイロット」搭載

日本政府が産学ととともに14年に定義付けした自動走行(=自動運転と同義)に関する4段階の技術レベルでは、プロパイロット、ホンダセンシングあるいはレヴォーグの技術はいずれも「レベル2」に分類される。すでに大半のモデルに設定されている自動ブレーキなど単一操作をシステムが行う「レベル1」から、ひとつ上のステップだ。レベルに応じたシステムの呼称では「1」が「安全運転支援システム」だが、「2」は「準自動走行(準自動運転)システム」とされている。

プロパイロットやホンダセンシングは、「安全運転」の支援だけでなく「自動運転」の要素領域にも入ってきたことになる。そしてこれらの技術は、新モデルの初期受注で、いずれも高率の装着となっている。セレナの発売後1か月の受注は、月間販売計画(8000台)の2.5倍に当たる2万台余りとなったが、プロパイロットの装着は約7割と、同社が想定していた4割程度を大きく上回った。

◆出遅れは国内販売でのダメージにも

一方のフリードは発売日までの事前受注が約1万3000台(月間計画は6000台)となり、うち8割強がホンダセンシングの装着を選択した。発売後の受注状況も「非常に好調に推移している」(広報部)という。ホンダはフリードより上級のミニバン『ステップワゴン』の全面改良モデルを15年5月に発売している。この時の当初1か月の受注でホンダセンシングの装着率は65%だった。この技術の認知が広まったことが背景にあるようだが、フリードは兄貴分のモデルより、高い装着率でのスタートとなっている。

セレナやフリードといったミニバンの中心顧客は子育て世代だ。製品への「コスパ」評価にはシビアな世代だが、技術の先進性には積極的な評価を下すのだろう。オプション価格(税込み)は、ホンダセンシングがシステム単体で10万8000円。これに対し、プロパイロットは他の先進技術とのパッケージ価格で24万3000円。一見高そうだが、たとえば、自動駐車システム、アクセルとブレーキの踏み違い防止アシスト、カメラ映像による鮮明な室内バックミラーなど、日産が現時点でもつ安全・快適技術をほぼ網羅したことが、評価されているようだ。

セレナとフリードの受注状況から、「準自動運転システム」は、決して緩やかなスピードではなく、結構なハイペースで普及するとの予感をもたらした。この分野の技術の出遅れは、国内市場で少なからぬダメージとなっていくのではないか。

《レスポンス 池原照雄》

最終更新:9/30(金) 9:15

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