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Spotifyの「カラオケ機能」を試してみた

ITmedia ニュース 9/30(金) 9:32配信

 「Spotifyが日本にやってくる やっと、やっと、やっと」という記事を書いてちょうど4カ月。7月中にはサービス開始と聞いていたのだが2カ月ほど延びてしまった。

【歌詞表示の画像】

 本当はもう少し遅らせたかったのだろうな。ホーム画面に表示された各種プレイリストを見てそう感じた。Spotifyといえばプレイリストがウリだったはずだが、そこに入っているアーティスト、楽曲は初体験リスナーを満足させられるものとは思えない。LINE MUSIC、AWA、Apple Music、Google Prime Music、Amazon Prime Musicはそれぞれのローンチ時に一通り試してみているが、それらを上回るものではなさそうだ。

 アカウント登録時には性別、生年月日を登録させられる。それならば、そのユーザーが中学・高校・大学時代に聞いていた年代のヒット曲くらいは用意できるだろう。それすらもない。それともそういう安易なことはしたくなかったのだろうか?

 しかたないので、ビートルズやビリー・ジョエル、エルトン・ジョン、そして青春の「Billboard Top 100 1982」当たりを検索で引っ張り出しシャッフルして聴いてるところだ(自分の好みをこうやって伝えないと、月曜日に配信されるDiscover Weeklyプレイリストに反映されない)。

 歌詞表示機能を使って歌いながら。

 実はこれがけっこう楽しかったりするのだ。

●カラオケっぽい歌詞表示機能を試した

 Spotifyの遅れに遅れた日本進出への手土産の1つが、スマートフォンでの歌詞表示機能だ。「世界に先駆けて実装した」という歌詞機能。一体どういう仕組みなのか気になったので調べてみた。

 iOS 10で改良されたミュージックアプリではApple Musicで歌詞が表示されるようになったが、その歌詞表示とは違い、同期表示ができるのが特徴だ。カラオケのように、いま歌われている歌詞が次々とハイライトされていく。

 Apple Musicの歌詞表示は一覧性は高いのだが、どこを歌っているのかしばしば見失ってしまう。カラオケ的表示ならそれがない。

 これはすごいこと、のように思える。

 実はこれ、シンクパワーが提供しているプチリリというサービスが使われているのだ。AWA、うたパスやdヒッツでも採用され、8月時点で30もの音楽サービスで使われている、日本ではポピュラーな仕組みだ。シンクパワーではWeb APIを提供し、iOS、Android向けのSDKも用意している。

 プチリリメーカーというアプリを使うと、権利者が自ら歌詞データを投稿することも可能になっている。例えばボカロPが自作のボカロ曲の歌詞とその表示タイミングをデータとして提供することもできるのだ。

 Spotifyで提供できている歌詞は、基本的にAWAと同じものだと思われるが、その実装方法はサービス、というか、アプリの開発者によって異なる。同じプチリリを使っていても、AWAとSpotifyの作り込みは違う。

 Spotifyの歌詞表示は2つのモードがある。全画面表示と、部分表示。そして、歌詞は行単位で、どの場所が歌われているかを指定するものと、そうでないもの、つまり、ただ歌詞が表示されるだけのもの。その2種類がある。行単位で指定されている歌詞の場合は全画面表示でも部分表示でもOKだが、行単位指定のない歌詞だと全画面表示しかできない(「歌詞を表示するには全画面にしてください」と表示されるのがうるさい)。そして、全画面表示にすると一切の曲コントロールができないのだ。

 それに対してAWAはアルバムジャケットに歌詞がオーバーレイ表示され、行表示が可能な場合は自動スクロールされるスタイル。こっちの方がスマートな実装だ。

●世界展開は大丈夫なの?

 プチリリがサポートしている歌詞は、8月の時点で「邦楽・洋楽含め、120万曲以上」。この120万曲のラインアップがどの程度Spotifyのカタログと重なっているかは不明だが、歌詞対応のおおよその目安にはなるだろう。

 このように、Spotifyの歌詞表示機能は目新しいものではない。だが海外のユーザーにとっては待望のものだ。Spotifyは一時デスクトップ版で歌詞機能を導入したものの、その機能を提供していたイタリア企業Musixmatchとの提携を取りやめ、歌詞表示をなくしている。

 待望の歌詞機能が、これまでサポートされていなかったスマートフォンも含めて復活するというのは、日本以外のSpotifyユーザーにとって嬉しいニュースのようで、海外のテック系ニュースではそこにフォーカスして伝えているところもある。

 海外版で同様の機能が実装されるとすれば、シンクパワーにとっては世界展開への大きな一歩となるはずだ。 プチリリは基本的にJASRAC、e-License、JRCの管理楽曲を対象としているため、Spotifyの主力である外国曲のカバー率はそれほど高くない。現時点ではApple Musicに及ばないようだ。

 だが、洋楽曲も急速にキャッチアップする可能性もある。シンクパワーはカナダのLyricFindと提携し、「Universal Music Publishing Group、Sony-ATV、Warner/Chappell Music Publishing、Kobaltなど海外メジャー音楽出版社を含む4000社以上の音楽出版社から歌詞の」サブライセンスを受けることが可能となっている。海外向けは4月の時点で50万曲だが、Spotifyからの要請があれば、さらに拡大することもできるだろう。

 日本市場については、邦楽カタログの充実度が高まれば、この歌詞機能が生きてくるはずだ。なにせシャッフルとはいえ無料で何時間でもカラオケの練習ができるサービスを提供しているのだから。

 そのためにも、よく歌われる曲がオルゴールのままでいてはいけないよね。

最終更新:9/30(金) 9:32

ITmedia ニュース

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