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TRUSTRICK、2年の軌跡を示す集大成 そして新たなステップへ/ライブレポート

MusicVoice 9/30(金) 16:43配信

 神田沙也加とBillyからなる音楽ユニットのTRUSTRICKが25日に、東京・赤坂BLITZでワンマンライブ『TRUSTRICK PREMIUM LIVE UNION 2016』を開催した。9月22日の大阪公演と続いておこなわれたこの日のライブは、ファンがTRUSTRICKの楽曲の中で、ライブステージで聴きたいと思う曲を投票し、その結果によってセットリストが決まるという、まさしく「PREMIUM」なステージ。

【写真】ライブの模様

 TRUSTRICKは、今年は5月にe.p「innocent promise」、さらに8月には最新e.pとしてアニメ『ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園- 未来編』のエンディングテーマ「Recall THE END」を、そして10月26日にはいよいよ待望の3rdアルバム『TRICK』をリリース、また年末にかけてツアーと、目まぐるしい活躍を続けている。そんな中、この日おこなわれたステージは、デビューより約2年が過ぎたTRUSTRICKにとっては、ある意味一つの区切りであり、また来年以降の新たなステップに向けての試金石ともいえるステージとなった。

■思いを伝えたオープニング

 会場が暗転すると、ステージの背景にはこれまでTRUSTRICKが発表してきたMVの映像が次々と流れ始めた。そのMVが流れる間に、プレーヤーたちが一人、また一人とステージに現れた。最後にBillyがステージに現れると、フロアからは彼を迎える拍手と歓声が巻き起こった。そして、いよいよステージはスタート、曲のイントロを示すギターのアルぺジオをBillyが奏でる中、神田沙也加がステージに現れた。満面の笑みを表情に湛え、フロアの観衆に丁寧に一礼。そして、まるで友人に会った時のように、フロアに向け嬉しそうな表情で手を振る。

 オープニングに披露されたのは、「ATLAS」。けたたましく打ち鳴らされるリズムや、派手なギターのリフがある曲ではないが、神田の歌が丁寧に物語を綴りながら、サビのメロディで一気に歌に込めた思いのような情感を告げていく。そんな神田の歌い方にしっかり追従し、思いを増幅させていく、Billyのギターをはじめとしたハーモニーのサポート。続く「beloved」にも、じっくりと聴くものへ何かメッセージを伝えようとする姿勢がうかがえた。観衆はただ神田の歌に、じっと集中して耳を澄ましているだけだったが、それが本当に貴重なひと時であったかのように大きな感動を受け、曲が終わる度に大きな拍手をステージに送っていた。

■ファンとともに振り返った、TRUSTRICKの軌跡

 1曲目、2曲目と少し緊張した表情にも見えた神田だったが、3曲目「If -君が行くセカイ-」になると、少し緊張を解いた笑顔を見せ、頭の上で手拍子を観衆に煽る。少しリズミカルな表情を持ったこの曲に合わせ、時に華麗に舞う神田。会場の熱気も徐々に変化し、一気にアクティブなロックの8ビートで引っ張る「FLYING FAFNIR」へ突入すると、観衆はもうされるがままといった様子へ。すっかりTRUSTRICKに惹き付けられていた観衆は、神田が「行くよ! 赤坂BLITZ!」と叫んだ一言に、さらに引っ張られ、大きく会場を揺らしていた。

 この4曲が終わると、神田は改めてこの日のステージを迎えたことに礼を告げながら、この4曲の曲順がそのままファン投票の順位となっていることを明かした。さらに今回、大阪、東京と2カ所での開催となったこの試みについて神田は、これら以降のセットは東京だけのオリジナルセットであることを告げながら「最後まで行けますか?」と改めて観衆に問う。観衆はその問いに大きな歓声で答えた。

 グルービーなリズムを醸し出す「TRICK or HOLIC」に続いた後は、4つ打ちが強調されたビートの「kissing」、さらに「これ大人気だったよ! 行ける?」と神田がはしゃぐように観衆に問いかけた「Jealousy Jelly」とさらにヒートアップするアクティブなナンバーで、会場の熱はさらに熱くなっていった。ここで神田が「汗が止まらない」と途中退席するハプニングがあったが、まるでそれを茶番と笑って吹き飛ばすような余裕の表情で、Billyはバンドとともにコード一発でのセッションを披露。TRUSTRICKというユニットでは見せないギターヒーロー然としたBillyの姿に、観衆はまた違った形で魅了されていった。

■神田とBillyの位置関係~ユニットとしての確立

 中盤にくると、神田はこれまでの自身らの軌跡を振り返り「2年とちょっとが過ぎて、これらの曲を作ってきたけど、ここまでこうしてこられたのはスタッフ、そして皆さんのおかげです」と改めて礼を告げる。そしてステージはアコースティックコーナーへ突入した。神田が「セットに入るのは意外だった」と語る坂本真綾のカバー曲「雨が降る」から「MIRRORS」、そして「Escape」へ。「アコースティックなセットをいつかやってみたいと思っていた」と語った神田がここで披露したのは、素朴ながらもさらに強調された歌の力、そんな雰囲気のものだった。

 丁寧に歌い込まれるメロディラインの中でも、感情をしっかりと伝えるところはメロディでより印象深くする。そんな神田の歌は、アコースティックサウンドの中では、さらに余韻を強く残したようにも見えた。さらに寄り添うBillyのギターも、神田の歌に追従するように歌心たっぷりのフレーズを奏でていた。そしてステージは終盤へ。少し牧歌的な雰囲気さえ漂う「mint gum」から、クライマックスに向けての勢いをつけるように「innocent promise」へ。丁寧に歌い込むAメロから観衆とのコミュニケーションを感じさせるブリッジ、そして一気にメッセージを伝えていくサビへ。

 神田の歌は、要所の狙いを決して外さない。かつそんな完成度の高い歌を披露しながらも、自身がステージを楽しむことを忘れない。またこの日は積極的に自身を表現しようとするBillyの意思がパフォーマンスにも現れ、神田との位置関係がそのまま曲に作られた物語を現しているようにも見えた。そこにはまさしくTRUSTRICKがこれまで歩んできた2年と少しの期間で歩んできた道のり、その中で見せた成長の跡を表現しているようでもあった。ラストは、神田の思い入れも強いナンバー「Proud」。ドラマチックなハーモニーが、このステージのクライマックスを盛り上げていく。そして、ついに訪れたエンディング。「ありがとう。バイバイ!」その一言を残し神田たちは、ステージを去った。

■しっかりと刻んだTRUSTRICKの軌跡、そして新たなステップへ

 しかし、名残惜しさを捨てきれず、アンコールをせがむ観衆たち。そして長く続いた歓声に応え「お色直し」をしてきた神田とBillyは、この夏にリリースされた最新e.p.曲「Recall THE END」、続いて「REBORN AT CAUTION AREA -theme of DANGANRONPA THE STAGE 2016-」と、ここまでのステージから一転してヘビーな音世界を表現。

 この時、神田らが見せた姿は、この2曲が深く関わるアニメ「ダンガンロンパ」をイメージしたものだった。アクティブという表現だけでは突き抜けてしまうだろうその勢いに、観衆は興奮し、腕を振り上げ、TRUSTRICKの思いに答える。さらに彼らは、2度のアンコールにも応え再びステージに登場した。

 この日、しっかりと軌跡を刻んだ彼らが示したのは、まさしく彼らの「未来」に向けた「Answer(答え)」であり、「それが奇跡だと知らない」ばかりに、ただひたすら自身の道を進んでいく、そんな姿勢だったようにも見えた。間もなくリリースされる新たなアルバム、さらに新たなツアーを控えているTRUSTRICK。その後に彼らの真価は示されるに違いない。(取材・桂 伸也)

最終更新:9/30(金) 16:43

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