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期待高まる“川崎の星” 10月、ノーベル賞発表

カナロコ by 神奈川新聞 9/30(金) 8:00配信

 来週から始まるノーベル賞の発表に向け、世界レベルの優れた研究業績を持つ川崎ゆかりの研究者に地元の期待が高まっている。“川崎の星”に世界最高の栄誉を-。10月3日から始まる受賞者発表をそんな思いで見守る行政関係者や産業人も少なくない。

 「松村さんが記事に出ていたね」。先週、米情報会社トムソン・ロイターの発表が市幹部の間で話題になった。

 同社が学術論文の引用回数などを基に独自に予想した有力受賞候補24人のうち日本人は3人。その1人である国立がん研究センター新薬開発分野長の松村保広さん(61)は川崎市川崎区殿町地区の研究拠点とも関わりが深かったからだ。

 松村さんは高分子薬剤が腫瘍へ集積する特性「EPR効果」を発見した。高分子薬剤をがん組織に効率的に作用させる研究である。殿町地区に立地するナノ医療イノベーションセンター(iCONM)の主幹研究員も務め、ラボも持つ。

 そのiCONMといえば、直径約50ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の極小カプセル「ナノマシン」を開発したセンター長で東大名誉教授の片岡一則さん(65)も世界で注目される人物。ナノマシンに抗がん剤を包み、がん細胞の核の近くで抗がん剤を放出する革新的な技術は国内外の研究機関が臨床試験を進める。標的を絞ることで抗がん剤の副作用を抑え、患者の負担軽減効果が期待されている。

 人々の生活を一変させた技術を生み出した研究者もいる。東芝リサーチ・コンサルティング(同市幸区)のエグゼクティブフェローの水島公一さん(75)は、スマホやノートパソコンなどのバッテリーに使われるリチウムイオン電池の正極材としてコバルト酸リチウムが適していることを40年近く前に発見した。

 その水島さんの成果を引き継ぎ、リチウムイオン2次電池の基本構成を確立したのが旭化成顧問の吉野彰さん(68)。1982年から10年間、川崎技術研究所にいた。

 同市中原区に住み、神奈川科学技術アカデミー(同市高津区)理事長も務めた東京理科大学長の藤嶋昭さん(74)は光触媒の発見で有名。抗菌や汚れ防止コーティング剤として、その効果は広く利用されている。

 同市内は学術・開発研究機関の従業者構成比が1・7%に上り、日本の大都市(平均0・4%)の中で実は最も高い。三浦淳副市長は「川崎は京浜工業地帯を抱えて多数の大手製造業が立地し、近年は研究開発機関が急速に集積している。技術者が研究活動し、人類に貢献する優れた研究実績も多い」と説明。その上で「ノーベル賞の受賞は川崎、日本にさらに世界の目を向けさせ、研究活動を活発化させる効果もある」と朗報を期待している。

■今年のノーベル賞の発表日程■
10月3日 医学生理学賞
  4日 物理学賞
  5日 化学賞
  6日 文学賞
  7日 平和賞
  10日 経済学賞

最終更新:9/30(金) 8:00

カナロコ by 神奈川新聞