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社説[全国学力テスト10年]もう見直すべき時期だ

沖縄タイムス 9/30(金) 7:40配信

 文部科学省は、全国の小学6年生と中学3年生を対象に4月に実施した2016年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を発表した。

 科目は国語と算数・数学で、それぞれ基礎的知識を問うA問題と、知識の活用力をみるB問題がある。

 県内公立学校の平均正答率は、小6が国語A、国語B、算数A、算数Bのすべてで全国平均並みかそれ以上となった。中3は、4科目とも全国平均を下回ったが、その差は昨年度より縮まっている。設問に対して解答を記入しない無解答率も、小学校、中学校ともに改善がみられた。

 07年度に学力テストが43年ぶりに復活した際、沖縄は小6と中3のすべての教科で全国最下位となり、教育関係者や保護者らに衝撃を与えた。

 その後、県教育庁は、学力向上対策を強化した。指導主事が学校現場を訪ね、授業改善に向け教師へ具体的に助言する、といった実践などだ。学力の“先進地”とされる秋田県などのノウハウも取り入れている。

 「分かる授業」を掲げた地道な取り組みが、実を結んだことは歓迎したい。

 一方、「学力の底上げが進み、上位層と下位層の差が縮小した」と文科省が指摘するように、都道府県別成績は、あまり意味がなくなっている。

 大事なのは、わずかのポイントの差にすぎない順位に一喜一憂するよりも、結果を分析して子どもたちの苦手な部分を洗い出し、さらにより良い指導につなげることだ。

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 にもかかわらず、順位を絶対視した過剰な学力テスト対策が、学校現場にひずみを生じさせている。

 例えば、通常の授業を行うよりも、過剰な量の過去問題や類似問題を解かせたり、既に習った事項の復習を優先させたりする。家庭訪問を取りやめたり学校行事を縮小してまで補習を行う、といった事例が全国で相次いでいる。

 こうした対策は、子どもたちへの圧力になっていないだろうか。学ぶ喜びにつながるのか疑わしい。

 文科省は今回、過度の競争を防ぐため、都道府県別平均正答率を、これまでの小数点以下第1位から整数での公表に改めた。数字が細かくなるほど序列がつきやすいからだ。しかし、それは根本的な解決にはならない。

 07年度に学力テストが復活してから10年。知識の活用力に課題があることは分かった。全員対象の悉皆(しっかい)調査という在り方を含め、見直すべき時期ではないか。

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 各種調査で、子どもの学力と親の経済力に相関関係があることが分かっている。

 今回、沖縄の中3の成績が低迷していることについて、専門家が経済的な事情を要因の一つに挙げている。最初から大学進学などの目標を諦めざるを得ない家庭環境が、学びに背を向けることにつながっているのではないか、ということだ。

 授業改善などと併せて、全ての子どもたちが目標に向かって学べるような環境づくりも教育行政には求められている。

最終更新:9/30(金) 7:40

沖縄タイムス