ここから本文です

「東京五輪への推薦状」第26回:00ジャパンに挑戦する“武器”、「目」を持つパサー、西武台MF大塚悠平

ゲキサカ 9/30(金) 20:29配信

 2020年東京五輪まであと4年。東京五輪男子サッカー競技への出場資格を持つ1997年生まれ以降の「東京五輪世代」において、代表未招集の注目選手たちをピックアップ

 9月29日、U-16日本代表“00ジャパン”のアジアでの戦いは幕を閉じたが、それは世代としての活動の終幕を意味するわけではない。ここから新たに始まるのは、U-17ワールドカップ、世界大会へ向かう戦いである。

 森山佳郎監督は「まだ出てきていない選手がきっと日本のどこかにいるはず」と以前から語っており、試合後にも「これまで試せなかった新しい選手たちを試していきたい。どんどん出てきてほしい」と積極的に新戦力をテストしていく考えを明らかにした。

 対象となる2000年以降に生まれた選手の多くは現高校1年生に相当する。後に日本代表になるような選手でも、この段階ではまだ埋もれていたという例は特に珍しくもない。たとえば大島僚太は、静岡学園高に在籍した3年間、一度も日の丸を付けることのなかった選手である。

 その大島も出場していた関東・静岡U-16ルーキーリーグへ、AFC U-16選手権出発前に「第2の大島」を探しに行ってきた。そもそも私が大島を初めて観たのもこの大会だったので、そういう縁がまたあるかもしれないという期待はあった。Aチームに絡んでいる選手もいれば、まだ1年生チームでもがいている選手もいる。いろいろな選手が混在する中で、何人かの選手が目に付いた。その中でも、ちょっと違う存在感を持っていたのが、西武台高のボランチ、大塚悠平である

 印象的なのは、その「目」と「パス」だった。「運び方も蹴り方もいい。空間把握、状況把握の能力は図抜けている」と黒岩宏明コーチからも認められる、スペースを見付ける能力は別格。正確なスルーパスやロビングのボールをそこへ通して、攻撃の起点となり続けていた。「ボールの展開とかイメージして蹴っている。パスは感覚。あの辺にスペースあるんだろうな、とか。いつもの感じです」と本人は事も無げに言うが、なかなか出せないパスを2本、3本と立て続けに通して違いを作った。

 恐らく「深視力」と呼ばれる距離感を把握する力があるのだろう。30、40m超のロングパスでもピタリとターゲットに落とす感覚は、キックの精度はもちろんのことながら、目の良さがなければ実現しない。森山監督は「“武器”のない選手はプロの世界で戦えない」と常日ごろから強調しているのだが、その意味で大塚の“武器”は明確だった。

 もちろん、弱点もある。「90分、120分をやり切る姿勢があるかどうか」と黒岩コーチが評したように、Aチームに混ざったときには存在感を出し切れず、課題も出たと言う。180cmの長身ながら、体重が65kgと軽量級であることからも分かるように、フィジカル面でも「まだまだ」(同コーチ)の選手である。本人もそうした課題には自覚的で、「ディフェンス面を鍛えないといけないし、もっと瞬発力もつけないといけない」と言う。

 トレセンなどの選抜歴は「全然ないです」と笑うが、そう言えば大島もそうだった。別にトレセンに入っている選手が偉いわけでも、将来を保証されるわけでもないのだ。大塚のような可能性の卵を持った選手が来年どうなっているかは分からない。「世界大会」という明確な目標も生まれたニューミレニアム世代から、この大塚を含めてさらに大化けする選手が出てくることを強く期待している。

執筆者紹介:川端暁彦
 サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長。2004年の『エル・ゴラッソ』創刊以前から育成年代を中心とした取材活動を行ってきた。現在はフリーランスの編集者兼ライターとして活動し、各種媒体に寄稿。著書『Jの新人』(東邦出版)。

最終更新:9/30(金) 20:29

ゲキサカ