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「押し売りが嫌」な人ほど、押し売りしてしまうワケ

ZUU online 10/1(土) 19:50配信

おそらく、押し売りされて嬉しい人などいないだろう。だから営業を「嫌だ」と思う人は数多い。とはいえ、世の中にはたくさんの販売員が存在している。さてその販売員だが、大きくいうと2種類に分かれている。それは、セールスが「得意だから」販売を仕事にしている人と、「仕事だから」やっている人の2パターンである。

ほとんどの販売員が、実際は販売が得意でないことは、世間を見ればわかるだろう。

■販売員が「売れない」原因は、セールス技術の問題ではない

売れない販売員の多くは、顧客の潜在的ニーズを引き出そうと、日夜悪戦苦闘している。しかも、そういう人に限って「自分に足りないのはセールストークだ」とか「クロージングの腕を磨かなきゃ」といった、誤った考え方に陥っていることが多い。

そうしたノウハウに固執している人は、売れないのはノウハウが間違っているからだと思い、「ダメなら他の方法を探す」といった行動を繰り返しがちになる。だが、売れない販売員に足りないのは、セールスの技術ではなく、マーケティングである。もっとわかりやすくいうなら「顧客を知ること」である。

多くの場合、売れない販売員は「顧客その人」のことを見ていない。だいたいは顧客が「自分の店に入ってきた」とか、「商品を手にとった」といった現象に、条件反射をしているに過ぎない。売れない営業マンも同様で、「従来からの取引先だから」「自社商品について問い合わせをしてきたから」といった状況に機械的に対応しているだけである。

■「潜在需要」を掘り起こすことと「押し売り」の違い

そもそも、売るのが下手な販売員は、顧客の潜在需要を掘り起こすことと、押し売りすることの区別がついていない。

たとえば、顧客がお店で商品を買うと、「これはいかがですか?」「あちらもオススメです」と、プラス1品を買ってもらうために、いろいろと勧めてくる販売員がいる。確かにそれなりに効果はあるだろうが、これではマニュアル業務の域を出ない。

大多数の販売員は、とりあえず「今ある商品」を勧めているだけで、その顧客にとって、それが本当に必要なものなのかどうかまでは考えていない。しかし顧客は「これは私のためにいってくれている」とか「これは自分にとって必要だ」と感じない限り、アクションを起こすことはないのである

【改ページ】「売れる人」と「売れない人」の差とは?

■「売れる人」と「売れない人」の差とは?

では売れる人は、売れない人と何が違うのだろうか?もちろん技術や知識、経験なども圧倒的に違うだろうが、一番の違いは、売れる人が「長期的な視野」を持って行動していることだろう。

売れている販売員は、必ずしも今、この場で売ることがすべてだとは考えていない。むしろ、常に次へつなげるための方法を考え、また顧客に提供する情報もコントロールしている。

「次につなげる方法」とは、一例を挙げるなら「情報収集」をすることである。たとえば顧客と交わした会話の中から、次の販売につながるヒントを見つけてメモしておいたり、自分のサービスに対する顧客の反応をカルテに書いておき、次回の接客時に活かすといったことである。

では「顧客に提供する情報をコントロールする」とはどういうことか?それは、顧客の状況に合わせたオススメをするということである。たとえば美容室に髪を切りにきた顧客の髪が傷んでいたら、まずは髪質に合わせたトリートメント剤を勧め、次回、髪質が改善していたら、髪をセットしやすいスタイリング剤を勧めてみるといったようにである。

むやみやたらと誰彼構わず勧めるのではなく、それを必要とする相手に、必要なタイミングで、必要なサービスとともに提供できるのが売れる販売員なのである。

■大切なのは、顧客との「継続的な関係」づくり

一般に、販売員は上から目標金額などを与えられているため「今、売ること」で頭がいっぱいのことが多い。だから売れない販売員は、何とかこの場の売上を上げようとして、押し売りをしてしまうわけである。

それに対して、売れる販売員とは、顧客との継続的な関係づくりに重きを置いている。要は、売上を上げるには「リピーターをいかに多く獲得できるか」が重要なのである。

顧客からいただくお金を「代金」というのは、販売員が何かの代わりをしているからに他ならない。何の代わりをしてもらっていると顧客が感じるかでお得度が変わる。

コピーライターの一行目を書く目的が二行目を読ませるためにあるのと同じように、販売員が行っている今の接客は、次回の来店のためにある。そのためなら、今回は無理に売らないという選択肢を持っていたっていい。

俣野成敏(またの なるとし)http://www.matano.asia/
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。

最終更新:10/1(土) 19:50

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