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【誰かに教えたくなる話】武士が「何よりも嫌ったこと」とは?

TOKYO FM+ 10/1(土) 12:00配信

「人には言えないこと」の基準は、人それぞれ。時代が変われば、秘密の価値観も大きく変化します。人によっては“そんなことが恥ずかしいの!? ”ということも、世の中にはたくさんあります。プライドの高さから、これだけは我慢できなかった……という、江戸時代の武士の話です。

江戸八百八町。同じ長屋に住み、同じ銭湯で汗を流していた江戸の人々。
隣の人を知り尽くした状態でプライベートもなく暮らすには、大事にしなければならないものがありました。
それは「相手を尊重する気持ち」です。

相手を尊重するぶん、自分自身のルールやプライドもまた、しっかりと持っていなければなりません。
そうしたこともあり、江戸っ子はプライドが高くなっていきました。
そしてだんだんと、「これをしたら恥ずかしい」ということが増える、「恥の文化」が作られていったのです。

なかでも恥の文化を最も重要視した職業は、やはり武士。
武士はどんなことを最も恥と感じたのでしょうか。
男なのに泣いているところを見られること?
いいえ、違います。その逆です。
武士は何よりも「笑われること」を嫌いました。

新渡戸稲造の有名な書物「武士道」にこんな武士の一言が書かれています。

「恩借の金子御返済相怠り候節は
衆人の前にてお笑いなされ候とも不苦候」

つまり、「借りたお金を返済できなくなったときには、多くの人の前で笑ってもらって結構です」という意味。
お金を返さない罰が「笑われること」……。
現代であればふざけていると思われても仕方ありませんが、当時の武士は大まじめ。

武士にとって、笑われるのは死を選ぶほうがマシなくらい、恥なこと。
笑われても構わない、というのは「死んでも約束を守る」という意味と同じだったんですね。
徹底した恥の文化。
日本人、なかなか複雑な民族です。


(TOKYO FM「シンクロのシティ」のコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は、「武士の借金を笑うな!?」として、2015年9月14日に放送した内容を再構成したものです)

文/岡本清香

最終更新:10/1(土) 12:00

TOKYO FM+