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「スポーツライター平野貴也の『千字一景』」第35回:親子鷹の目(昌平高:藤島親子)

ゲキサカ 10/1(土) 7:00配信

“ホットな”「サッカー人」をクローズアップ。写真1枚と1000字のストーリーで紹介するコラム、「千字一景」

 変わらなければ、古くなる。学ばなければ、軽くなる。移り変わる時代において、過去を学びながら、進化を求めていくバランスの取り方は、難しい。

 今夏、高校総体で初の全国4強入りを果たした昌平高のベンチに、チームを指導する親子の姿があった。陣頭指揮を執った藤島崇之監督は、36歳の青年指揮官だ。現役時代は、元日本代表FW玉田圭司らとともに習志野高で活躍。2007年に昌平高の監督に就任して10年目で自身の選手時代の成績に追いついた。指揮官の父である藤島信雄チームディレクターは、元日本代表のキャリアを持つ66歳。YKK(カターレ富山の前身)やコバルトーレ女川などでの指導実績もあり、09年からアドバイザー的な存在としてチームを支えている。

 藤島監督は「父は、経験値のレベルが違う。今と昔の違いを話してもらうのも大事なこと。食事の重要性にしても、今とは違ってシェフが帯同するわけでもない時代、日本代表で海外遠征をしたとき、何でも食べられる選手しか元気にプレーできなかったという話は、体験者しか言えないこと」と父が持つ貴重な経験をチームに還元したいと考えている。古き時代とは言え、日本のトップレベルを知る先人であり、指導者としての経験値も豊富だ。「社会人チームの指導者をやっていたから、現実的な勝負所を知っているなと思う。自分のやり方に自信がないわけではないけど、迷ったときには意見を聞いて確認する」とアドバイザーとして頼りにしている。

 父である藤島信雄チームディレクターは、トップチームで監督やコーチを補佐するのが主な役目だが、昌平高と同じ指導スタッフがU-15以下を対象にチーム活動やスクール活動を行っている兄弟チームのFCラヴィーダで代表を務めるなど、指導陣の「総監督」のような立場にある。総監督なる立場は、監督の立場を超える存在になってしまい、チームに混乱を来すことがある。しかし「指導方法の最新情報は、若いスタッフの方が詳しいし、目が届いていないところの選手の情報を伝える程度。結構引いている立場? 思いきり引いている立場だよ。極端に考え方が違えば意見を言うと思うけど、現状では特にない。人手が足りない時に引率したり、運転手をやったりするくらい。ボケ予防だよ」と冗談を飛ばす父は、息子の指導を尊重して黒子に徹している。練習後、親子が何気ない会話の中で意見を確認するわずかな時間。昌平高の進化を支える温故知新のバランスがそこにある。

■執筆者紹介:
平野貴也
「1979年生まれ。東京都出身。専修大卒業後、スポーツナビで編集記者。当初は1か月のアルバイト契約だったが、最終的には社員となり計6年半居座った。2008年に独立し、フリーライターとして育成年代のサッカーを中心に取材。ゲキサカでは、2012年から全国自衛隊サッカーのレポートも始めた。「熱い試合」以外は興味なし」

最終更新:10/1(土) 7:00

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