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音楽で振り返る30年の歴史! 初代『ゼルダ』の秘蔵資料も公開された“ゼルダの伝説30周年記念コンサート”京都公演リポート

ファミ通.com 10/2(日) 1:17配信

文・取材・撮影:編集部 世界三大三代川

●初代から最新作まで、まさに30年の歴史
 2016年10月1日、京都のロームシアター京都にて、“ゼルダの伝説30周年記念コンサート”が開催された。これは、1986年2月21日に、ファミリーコンピュータのディスクシステムで第1作が発売された、『ゼルダの伝説』シリーズの30周年を記念したもので、今回の京都を皮切りに、東京、名古屋、大阪など、各地で行われるコンサートになっている(追加公演も決定した)。そんな記念すべきコンサートの第1回ということで、会場には『ゼルダの伝説』シリーズの生みの親である宮本茂氏を始め、シリーズの楽曲を手掛けた近藤浩治氏、宮本氏といっしょにシリーズの初期作を手掛けた手塚卓志氏、そして、『時のオカリナ』以降のシリーズを手掛けている青沼英二氏と、任天堂の豪華スタッフが集結。開発秘話や思い出話でコンサートを、さらに盛り上げていた。なお、司会を務めたのは、『ゼルダの伝説』シリーズの大ファンを公言している、声優の青木瑠璃子さん。ちなみに、今後の公演のセットリストがどうなるのかはわからないが、もしネタバレを気にされる方は、以下のリポート部分にはご注意いただきたい。

 『ゼルダの伝説』単独のオーケストラコンサートは、これまでに『時のオカリナ 3D』&『スカイウォードソード』の発売年(2011年)に行われた25周年のコンサート、『ムジュラの仮面 3D』の発売直前に行われたコンサート(リポートは→コチラ)があったが、今回のコンサートはそれらで行われた一部の曲を含めつつ、30周年にふさわしい、いいとこ取りの構成に。また、それぞれに楽曲に合わせた映像が用意され、映像と生演奏が合わさることで、当時のプレイしていた記憶や、感情を呼び起こすようになっていた。

 また楽曲も、たとえば『風のタクトメドレー』なら、オープニングの『勇者伝説』に始まり、『プロロ島』、『海賊』、『大海原』などを挟み、『ゼルダ覚醒』や『スタッフクレジット』につながっていくという、ゲームの旅立ちからエンディングまでを感じさせる展開になっており、音楽に合わせた映像で、当時の記憶を思い出したり、見送るおばあちゃんを見たりする、前回のコンサート同様に、涙なしではいられない内容。演奏された楽曲については、末尾のセットリストをご覧いただくとして、本記事では特徴的だった楽曲や、開発スタッフが登壇されたMC部分をピックアップしてお届けする。

 第1部で『ハイラル城』の後に登壇されたのは、『ゼルダの伝説』シリーズを生んだ、宮本茂氏。宮本氏は、「いつも『スーパーマリオ』の周年があると、弟のように続いて『ゼルダ』が周年を迎えるんですよね。『ゼルダ』は、オカリナを使ったり、タクトを使ったりと、楽器や音楽と縁が深いゲームです。僕らは、自分の力で考えて解くというインタラクティブなものを作っているので、その自力で解いたときの思い出などと音楽は切り離せないと思っています」(宮本氏)と、『ゼルダ』30周年と、3度目となるコンサートについての思いを語っていた。

 『組曲オカリナメロディー』は以前のコンサートでも披露された楽曲で、『時のオカリナ』や『ムジュラの仮面』でリンクが奏でるオカリナのメロディーを、さまざまな楽器をフィーチャーしながら演奏して、楽器の紹介を行うという曲。青木さんのナレーションに合わせて、フルートやピッコロが『太陽の歌』を、トランペットが『ぬけがらのエレジー』を演奏したりと、木管楽器や金管楽器、打楽器、混声合唱など、各音色を意識して聴けるのが特徴の構成になっている。ちなみに、どの曲もニンテンドウ 64のボタン操作に合わせて、レ、ファ、ラ、シ、レの5つの音だけでメロディーが作られているというから驚きだ。

 初披露となる『神々のトライフォース2&3銃士メドレー』は、混声合唱付き。『神々のトライフォース2』からは、『ユガ戦』や『ヒルダ姫の登場』に合わせて、『マザーマイマイのテーマ』が披露され、プレイした人なら頭から離れないであろう“マイマイマイ”の合唱が生で歌われた。また、『トライフォース3銃士』からは、水源エリアの曲やオープニングの曲が演奏された。

 続いて、『ゼルダの伝説』シリーズの総合プロデューサー、青沼英二氏が登壇。青沼氏は、司会を務める青木瑠璃子さんについて、「昨年、『ムジュラの仮面 3D』のニコニコ生放送でいっしょに出ていただいて、『ゼルダ』が大好きということで、今回ぜひにと司会をお願いしたんです」と紹介。すると、青木さんは「じつは、今回のコンサートの名古屋公演は、個人的にチケットを取っていて、事務所にスケジュールを開けてもらおうと思っていたら、“『ゼルダ』のコンサートのお仕事が入っていますよ”と言われたんです」と、『ゼルダ』ファンらしいエピソードを披露。余談だが、ファミ通.comには、青木さんの驚異的な“『ゼルダ』愛”を語っていただいたインタビュー記事があるので、興味がある方はぜひお読みいただきたい(インタビュー記事は→コチラ)。

 そして青沼氏は、「25周年にもコンサートをさせていただいて、あれから5年経ったんですが、あっという間だなと。そのあいだに、『神々のトライフォース2』と『トライフォース3銃士』を出したものの、“『スカイウォードソード』に続く新作はまだか”と言われていますが、5年かかってしまって……」と、『ゼルダ』30周年と、今年のE3で詳細が発表された新作『ブレス オブ ザ ワイルド』について語った。2017年に発売が予定されている『ブレス オブ ザ ワイルド』については、「今日もじつは会社に寄ってからここに来ていまして。スタッフは休日返上でがんばっています。来年発売で制作は佳境でして、“ここに立ってていいのか”とも思うんですが、25周年のお祝いも大事ですから。新作の新しい情報はこれから出していきますが……。新しい『ゼルダ』のリンクは青い服を着ていまして、それがなぜかというのはあまり話をしていないので、そのお話を。あの青い色は、『風のタクト』で、勇者の服を着る前にリンクが着ていた服で、いま僕が着ているTシャツもそれを再現したものですが、それと同じ色を使っています。あの青は、新作の物語の中で非常に重要な意味がありますので、お楽しみに。とても手応えのあるものができあがってきていますので、期待してください!」(青沼氏)。

●アンコールはサプライズだらけ!
 そして、第2部は『ゼルダの伝説30周年シンフォニー』でスタート。これは、歴代『ゼルダ』の中から『リンクの冒険』、『大地の汽笛』、『ムジュラの仮面』、『夢を見る島』、『神々のトライフォース』(裏の地上)と、あまりオーケストラアレンジされていない曲のメドレーになっており、プレイした人にはなじみ深いBGMでありながら、新鮮なアレンジになっている曲だった。続いての『ゼルダの伝説小品組曲』は、フィールドやバトルの曲以外にも、いろいろとある『ゼルダ』の曲をメドレー化したもので、たとえば『ゼルダの伝説』でワープに使う笛(『スーパーマリオブラザーズ3』でもおなじみ)に始まり、『神々のトライフォース』の森、神殿、『時のオカリナ』の家の中、ミニゲーム、『ムジュラの仮面』のミルクバーなどの楽曲が、オーケストラで楽しめた。

 『ゲルドの谷』に続いて登場したのは、『ゼルダの伝説』シリーズで楽曲を担当した近藤浩治氏。「オーケストラがすばらしく、私の曲に魂を入れていただいたようで、非常にうれしいです」とコンサートへの想いを語った近藤氏は、30周年という長い年月が経ったことを「30年も経ったのかと、月日が流れるのは早いなと感じるお話がふたつあって。個人的な話ですが、ひとつが住宅ローンが払い終わったこと(笑)。住宅ローンというと、非常に長いイメージがありますから。そして、もうひとつが、来月に長女が結婚するということ。そういう年になったんだなと」と、独特の感想で語ると、場内から大きな拍手でお祝いされていた。また、30年前の制作秘話については、「いろいろなところでお話をしたように、音楽もいろいろ苦労したんですが、そのころは効果音も自分で作っていて、そも苦労しました。たとえば、謎解きの正解音は非常に短いのですが、あれだけ短い音でそれを表現するのは、ほかのBGM1曲と同じくらいの労力がかかっているんですね。ほかにも、剣で刺した音など、ゲーム内で手応えのある音にするのが苦労するんです」と、曲の長さに関わらず生みの苦しみがあることを語った。

 近藤氏が登壇されたまま演奏されたのは、『「時のオカリナ」ハイラル平原』。『時のオカリナ』のハイラル平原と言うと、雄大な曲のように思えるが、じつは同じメロディーが流れつつも、敵が近づくと曲が早くなったり、立ち止まると静かな曲調になったりと、場面に合わせてインタラクティブに変化する曲になっていたのはご存じだろうか。今回のコンサートでは、そのインタラクティブな曲調を生演奏で再現しようと、お客さんに聞きたい曲調をリアルタイムで選んでもらい、それを近藤氏が受けて、指揮者の竹本泰蔵氏に伝えて、演奏をすぐさま変化させる試みが行われた。なお、曲調は静かな曲、戦闘の激しい曲、通常時の雄大な曲の3種類があり、お客さんが入り口でもらったプログラムの表面(白)=静かな曲、裏面(緑)=戦闘曲、どちらでもない(プログラムを上げない)=通常時の曲の3種類で聞きたい曲調を意思表示し、その数の多さで判断するという。じつは、これは25周年コンサートでも行われた曲で、その際は、近藤氏がお客さんに意思表示してもらう際に、リンクのようにマスターソードを掲げていたのだが、「(マスターソードが)ガノンに取られたのか会社になかった(苦笑)」(近藤氏)とのことで、今回は風のタクトを振ることに。実際の演奏は、非常にスムーズに通常時から戦闘、そして静かなものへと変わっていったが、会場の意見が割れて、近藤氏が若干戸惑うような場面も。

 『トワイライトプリンセスメドレー』の後には、宮本茂氏とともに、『ゼルダの伝説』シリーズの初期作を手掛けた手塚卓志氏が登壇。手塚氏は、30年前の思い出として、「初期のファミコンのゲームって制約が多いんですよ」と言いつつ、初公開となる当時の資料を公開。これは、宮本氏、手塚氏とともに開発をしていた、プログラマーの中郷氏が保管していたものだという(宮本氏、手塚氏、中郷氏による、初代『ゼルダの伝説』のお話は、任天堂公式ホームページの“社長が訊く『ゼルダの伝説 大地の汽笛』に詳細が載っているので、合わせてご覧いただきたい。記事は→コチラ)。

 ちなみに手塚氏は、初代『ゼルダの伝説』でダンジョンマップを担当したのだが、何を勘違いしたのか本来使える容量の半分だけでダンジョンを作ったのだという。しかし、宮本氏は「それでも十分におもしろいから、もう半分を使って別のことをしよう」と話をして、そこから“裏ゼルダ”(ダンジョンの仕掛けが変わった、高難度モード)が生まれたのだという。

 また、手塚氏、宮本氏は、これからの『ゼルダ』に期待することについてトーク。「最初の10年は『ゼルダ』を担当していたんですが、最近は青沼さんにお任せしていて。世界を探検することがすごく楽しくて、『ゼルダ』を作ったので、そういうことが忘れられないような世界をいっぱい作ってほしいし、『マリオ』と違ってお話が重要になりますので、みんなをワクワクさせるお話がどんどん盛り込まれていくのを楽しみにしています」(手塚氏)、「いま、『スカイウォードソード』の後に作っていた『ブレス オブ ザ ワイルド』がほぼできてきています。これが原点に返った、ひとりで試行錯誤しながらずっと遊び続ける、自分で工夫する遊びですので、これからもこういうものを『ゼルダ』の基本として作っていきたいです」(宮本氏)と話した後、宮本氏の話題は先日発表された“ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ”(記事は→コチラ)に。「最近発表した、ニンテンドークラシックミニ ファミコンに『ゼルダの伝説』や『リンクの冒険』が入っていて、途中セーブもできるので、ぜひこれで遊んでみてください。11月10日発売です(笑)」とアピールしていた。

 本編最後は、『ゼルダの伝説メインテーマ』。おなじみの曲を、さらに荘厳なアレンジにした曲が披露された後、アンコールへ。アンコールでは、近藤浩治氏が再び登壇し、ひとりでピアノの前へ歩んでいく。なんと、アンコールの1曲目は、近藤氏のピアノソロによる『カカリコ村』。しかも、『カカリコ村』の温かなメロディーだけに留まらず、そこから『メインテーマ』へと移り変わるメドレー構成になっていた。演奏終了後には、近藤氏から「今日の曲は、私ひとりではなく、『ゼルダ』の音楽スタッフ10人くらいで作っています。30年に渡って、そのスタッフと私で作ってきて、作曲作業はひとりでやりますが、ほかの世界を作るグラフィックや、個性豊かなキャラクターのデザイン、楽しいゲームを作ってくれるプランナーがいたからこそ、こういうジャンルに富んだバラエティーのある曲が作れたと思います。そういうスタッフと、これからもすばらしい『ゼルダ』を作っていきたいと思います」と感謝の言葉が語られると、会場中から大きな大きな拍手が贈られた。

 そして、本公演最後の曲は、これまたサプライズで、新作『ブレス オブ ザ ワイルド』の曲『ブレス オブ ザ ワイルドより「メインテーマ」』。曲名が告げられると、会場中から驚きの歓声が上がり、続けて、E3で公開されたトレーラーの曲を生で披露。『ブレス オブ ザ ワイルド』の広大な世界を感じさせる曲が終わり、本日の登壇者が全員壇上に上がると、再び会場全体からの大きな拍手が贈られ、コンサートは幕を閉じた。

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 冒頭にも書いた通り、今回の『ゼルダ』のコンサートは、これまでに2011年の『ゼルダ』25周年コンサート、2015年の『ムジュラの仮面 3D』に合わせてのコンサートを受けつつ、さらに新しいものを入れた30周年にふさわしい内容になっていた。おなじみの『時のオカリナ』や『風のタクト』に留まらず、『リンクの冒険』や『夢を見る島』、『夢幻の砂時計』、『大地の汽笛』といった、携帯機シリーズの楽曲も散りばめ、そして、2017年に発売予定の新作の曲で締めるという、まさに音楽で語る『ゼルダ』の歴史といった、非常に充実した構成だったように感じる。一部公演はすでにチケットが売り切れているが、先日決定した追加公演のチケットはまだ買える様子。もし、本記事を読んで興味を持った方は、ぜひ生の演奏で聴いていただきたい!

■ ゼルダの伝説30周年記念コンサート 京都公演 セットリスト
●第1部
1.ハイラル城
2.ゼルダ姫のテーマ
3.風のタクトメドレー
4.組曲オカリナメロディー
5.ボス戦闘曲メドレー
6.神々のトライフォース2&3銃士メドレー
7.「スカイウォードソード」スタッフロール

●第2部
8.ゼルダの伝説30周年シンフォニー
9.ゼルダの伝説小品組曲
10.ゲルドの谷
11.「時のオカリナ」ハイラル平原
12.大妖精のテーマ
13.トワイライトプリンセスメドレー
14.ゼルダの伝説メインテーマ

●アンコール
15.カカリコ村
16.ブレス オブ ザ ワイルドより「メインテーマ」

最終更新:10/2(日) 1:17

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