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マンチェスター・シティを掌握 グアルディオラの哲学は予想以上に早く浸透している

AbemaTIMES 10/2(日) 12:45配信

「90分間を通してボールを支配したい。ボールを失えば……すぐに奪い返すために、高い位置からプレスをかける。これがわたしの哲学だ。結果を掴むためなら、その哲学を犠牲にすることもあるかって? それはできない。不可能だ。いったい何のために犠牲にしなければならないのか? 試合に負けたら、もう一度自分たちのサッカーを信じて、前に進んでいくまでだ。もちろん、試合には勝利したい。ただ、自分の信じている道がチームの勝利に結びつかないのなら、そんな哲学にこだわることはない。これまで、このサッカースタイルで勝利を重ねてきた。選手として、そして監督として、ね。わたしのチームはゴールを量産し、失点の数も少ない。だから、これからも自分が信じる道を突き進む」

マンチェスター・Cのジョゼップ・グアルディオラ監督がこう話したのは、プレミアリーグ開幕直後の8月のことだった。

魅力的なサッカーでバルセロナとバイエルン・Mに栄冠をもたらしたグアルディオラ監督だが、プレミアリーグではすぐに結果を出すのは難しいのではないか──。実を言うと、筆者はそう思っていた。

ひとつ目の理由は、スペイン人指揮官が理想に掲げるサッカースタイルを浸透させるには、ある程度の時間を要すると考えたから。グアルディオラと同じ哲学を有するバルセロナ、就任の前年度にチャンピオンズリーグを制したバイエルン・Mに比べると、マンチェスター・Cのチーム力は数段落ちる。豊潤な資金を武器に幾多のスター選手を獲得してきたシティだが、チームとしての総合力は彼らに遠く及ばないのが実情だろう。そこに、グアルディオラが自身の哲学をひっさげてやってきた。彼の信じるサッカーを実践できれば理想的なシナリオになるが、今のシティにはその受け皿が整っていないと思っていたのだ。

もう一つの理由は、プレミアリーグの競争力の高さ。格下クラブでも積極果敢にゴールを狙ってくるのが”母国の流儀”である。だから、バルセロナとレアル・マドリー、アトレティコ・マドリーが頭ひとつ飛び抜けているリーガ・エスパニョーラ、バイエルン・Mの一強時代が続くブンデスリーガと違い、プレミアリーグに気の抜ける試合などひとつもない。グアルディオラの言葉は、少しばかり現実を直視していないように聞こえた。

しかしペップは、こうした懸念を軽く吹き飛ばしてきた。プレミアリーグ開幕6試合で全勝。得点数「18」はリーグトップの数字で、失点数「5」もリーグ3位の少なさだ。CLプレーオフとリーグ杯を合わせると公式戦10連勝を飾り、これ以上の結果は望めないほど最高のスタートを切った。

内容を見ても、試合を重ねるごとにチームは成長している。シーズン序盤はパスが思うように回らず、最終ラインのビルドアップでボールを奪われる危ういシーンが目についた。しかし、こうした拙さも徐々に改善され、ゆっくりと安定感が増し、今では勝負強さも出てきた。グアルディオラの哲学は予想以上に早く浸透している──。それが率直な印象だ。

ピッチ内でも、”グアルディオラ効果”が確認できる。昨季とは別人のように怖さが増しているケビン・デブルイネは、ゴール、アシストと大車輪の活躍。アンカーの位置で中盤を束ねるフェルナンジーニョも存在感が増した。そして、加速度的に成長しているのがラヒーム・スターリングである。プレーにムラがあり昨季はベンチを温めることも多かったが、今季は鋭さが増し、チームにとって不可欠な存在へと進化した。

アレクサンドル・コラロフのコンバートも興味深い。本職の左SBからCBにコンバートされると、持ち味の正確なフィードを駆使して最終ラインから良質のパスを供給し、時折見せるオーバーラップも攻撃のアクセントになっている。選手補強による戦力の上積みも大きいが、それ以上に既存戦力の成長が、今の好調につながっているといっても過言ではないだろう。

その一方で、ピッチ外におけるチーム・マネージメントについても芯が通っている。バルセロナでロナウジーニョやズラタン・イブラヒモビッチ、バイエルン・Mでジェルダン・シャキリを放出したように、自身の哲学に沿わないと判断した者には、たとえスター選手であろうと強硬な姿勢を崩さない。才能だけでは自分のチームに居場所はない──そんなペップの考えは、マンチェスター・Cでもブレなかった。

まず、足元の技術に難のなるGKジョー・ハートをレンタルで放出した。サポーターの人気も高いイングランド代表GKの扱いには「敬意を欠く」と批判的な声もあったが、こうした意見も結果を重ねることで黙らせている。さらに、昨季まで主力だったヤヤ・トゥーレも、CLの登録メンバーから外した。これだけでなく、同選手の代理人が「ヤヤのような偉大な選手には屈辱的行為」と批判すれば、ペップは「代理人が謝罪するまでヤヤ・トゥーレを起用しない」と明言した。スター選手とその取り巻きも多いマンチェスター・Cで、「チームのボスが誰であるか」を明確にする強烈なメッセージだった。

ピッチ内外でチームを掌握し、同時に結果も掴んでいるグアルディオラ。マンチェスター・Cは最高の船出を切ったと、そう断言して良いだろう。

最終更新:10/2(日) 12:45

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