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MRJ、納入延期へ。結局どこが問題なの

ニュースイッチ 10/2(日) 10:20配信

機体を検証、コストベースで部品の約7割が海外製

 三菱航空機(愛知県豊山町、森本浩通社長)が開発する国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の納入時期が2018年半ばから19年以降にずれ込む見通しになった。延期が決まれば今回で5度目となる。一部部品の設計変更などが要因とみなれる。キャンセルも懸念される中、MRJとはどんな航空機か、改めて検証する。

 MRJは開発当初から高い燃費性能を売りにしている。その切り札が、航空エンジン世界大手の米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)が供給する最新鋭エンジン「PW1200G」だ。

 同じ軸で回るタービンとファンの間に遊星ギアを入れる「ギアド・ターボファン(GTF)」方式を採用。軸の回転を減速してファン側に伝え、タービンとファンのそれぞれが最も効率的なスピードで回るようにした。これにより騒音、燃費とも大幅に削減する。

 MRJは旅客機としては世界で初めて08年にGTFの採用を決定。その後、カナダ・ボンバルディアや欧エアバスの航空機が採用したほか、MRJと競合するブラジル・エンブラエルも既存機のエンジンをGTFに置き換えることを決めた。

  MRJの初飛行の遅れによって、新エンジンによる燃費性能の優位性は薄れた。それでもMRJの燃費の良さの半分はエンジン、もう半分は機体の形状によってもたらされている。

 GTFは現行のエンジンよりも空気を取り入れるファンの直径が大きい。このため主翼の下に広いスペースが必要だ。MRJは主翼とエンジン、ナセル(エンジンを覆うカバー)の最適な位置関係を探りつつエンジンを主翼の真下ではなく、機体前方寄りに配置した。ほかにも、機体前方下部の貨物室を機体後部に統合し、他の航空機より細く空気抵抗の少ない胴体を実現。シャープで美しい機体だ。

 一方で、装備品は実績のある海外製を多く搭載している。「航空機の頭脳」とも言われる操縦用電子機器(アビオニクス)をはじめ、空調や油圧機器から内装品に至るまで、コストベースで部品の約7割が海外製だ。

 こうした海外メーカーは米ボーイングや欧エアバスをはじめ世界の航空機メーカーにも同様の部品を供給、民間機向け装備品市場は寡占化の傾向すらある。日本にはこれらの装備品産業が十分に育っておらず、今後、日本の航空機産業が参入分野を増やしていく上での壁になっている。

 今後は、拠点を米国に移して試験を行う。順調なら1年間で試験飛行が完了すると見通し。

 トラブル発生について三菱航空機の森本浩通社長は「試験の結果によっては、機体を改修しないといけない場合がある。そうなった場合の影響が読めない。日本に機体を持ち帰って改修するのは時間の損失なので、現地で改修できる体制を整える」と話す。

 また改修については「ハードウエア部分は問題ないだろう。必要なのはソフトウエア部分だ。バグの解消やソフトのバージョンアップが考えられる」としている。

最終更新:10/2(日) 10:20

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