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スーパーGT:「若手に任せるときがきた」土屋武士、17年はGTレギュラー参戦しない意向

オートスポーツweb 10/2(日) 17:27配信

 2015年、GT300マザーシャシーを使ってスーパーGT300クラスに華々しく復活したつちやエンジニアリング。15年第6戦SUGOでは復帰後初優勝、そして今季もランキング5位につける活躍をみせているが、チームを代表として、ドライバーとして、エンジニアとして、メカニックとして牽引する土屋武士が、2017年は第1ドライバーとして登録しない意向であることを教えてくれた。

【GT300クラスに参戦するVivaC 86 MC】

■2017年は若手ドライバーふたりのコンビに!?
「そうそう。来年は(第1ドライバーとして)乗らないつもりだから。でもお世話になった人たちには言ってないから、まだ書かないでね」

 まるで明日の天気の話をするような軽い口調で土屋に教えられたのは、今季のスーパーGT鈴鹿公式テストのときだ。筆者は2013年、土屋がチームを支援するサムライサポーターズが立ち上げられ、15年からのスーパーGT復帰を目指すと語ったときからチームの取材を続けてきただけに、少々衝撃が大きかった。

「でも、ドライバーは引退するわけじゃない。第3ドライバーとして登録はするけど、若いふたりに戦わせたいから」

 土屋が言う“若いふたり”とは、2年間土屋とともにスーパーGTを戦い、今季のSUGOでは予選Q2を担いポールポジションを獲得してみせた松井孝允と、今季全日本F3のチャンピオンを獲得し、鈴鹿1000kmではVivaC 86 MCの第3ドライバーを務めた山下健太のことだ。

 2017年シーズンに向け、まだスーパーGT全体のストーブリーグは本格化してはいないが、山下について「たぶんGT500のシートに空きはないとは思っているので、ウチで乗せたい」と土屋は言う。来季、つちやエンジニアリングの正ドライバーに松井と山下を据え、土屋は第3ドライバーという立場に就きたいということなのだ。

「もし健太にしても孝允にしてもGT500のシートがあれば、それは言ってくれと。もし両方にその話がきちゃったら、そうしたらその後考えればいいかと(笑)」

■SUGOの予選を通じて見えた松井の成長
 15年からのスーパーGT復帰に向け、『技術とスピリットの伝承・継承』をテーマに、土屋は“人を育てるチーム”としてVivaC team TSUCHIYAのメンバーと戦ってきた。それはメカニック、スタッフに土屋春雄氏から続く、日本のものづくりの技術を伝える作業を行いながら、同時に若手ドライバーも育てる目的もあった。

 そのひとりとして選ばれたのが松井だった。メーカーの育成プログラムから外れ、一時はレース活動すら行っていなかった松井が、土屋の薫陶を受けながら2014年はJAF-F4を戦い、プロのレースであるスーパーGTにまでステップアップしてきた。

 成長を続ける松井を見て、土屋のなかに「若手に任せよう」という考えが出てきたのは6月にスポーツランドSUGOで行われた公式テストの帰路だったという。そしてその1ヶ月後、7月に開催されたレースで松井は見事Q2トップタイムをマークし、ポールポジションを獲得。土屋の思いを後押しした。

 そして先述のスーパーGT鈴鹿公式テストの際、土屋は山下に対し、鈴鹿にあるレストラン『ヴァン サンク(25の意)』で食事をしているときに来季起用したい旨を伝えた。

「来年メインで乗ってくれるか?」と。

「健太もビックリしていた。『えっ!? まだ武士さん速いじゃないですか』って。『いや、そういう問題じゃないんだよ』って」

■つちやエンジニアリングのステップアップのために
 チームのスーパーGT復帰以降、先述のとおり土屋はエースドライバーとしてだけでなく、エンジニアとして、メカニックとして、そしてチーム代表として獅子奮迅のはたらきをしてきた(土屋のレースウイークの動きはオートスポーツNo.1440号にて詳しく紹介されている)。

 現実問題として、今の土屋はレースウイーク中のドライバーとしての働きは『10』のうちの『1』しかない状態だった。そこへ若手が力をつけ、トラックエンジニアとして、チーム代表として打ち込める状況が整ったからこその決断なのだ。

「2015年からスーパーGTに復帰すると言い始めたときは、3カ年計画でチャンピオン争いをすると言っていた。1年目は松井を育てる年、2年目はGT300に参戦して、3年目の今年はチャンピオン争いが現実的にできている。こんなにうまくいくのかな? ってくらい理想的な展開できた」と土屋は言う。

「でもこれ以上、チームも自分としてもクオリティを上げられない。GAZOO Racingの活動も入って、チームオーナー、エンジニア、ドライバーとしての活動が本当に限界のところに来ている」

「今年は無理矢理クオリティを落とさずにやっていて、実際に成績を出せているけど、来年同じようにやったら完全にオーバーワークになる。常にステップアップするためにはクオリティを上げなければいけないけど、それは物理的にも、時間的にも、体力的にも厳しい」

「チームとしてさらに向上していくためには、ごくごく自然なチョイス。これが最善なことだと思ってる」

■レーシングドライバー土屋武士は「一生辞めない(笑)」
 2015年のスーパーGT復帰を通じて、土屋の狙いどおりに若手が育ち、『技術とスピリットの伝承・継承』というテーマのとおり活動が続いている。いま、松井は土屋だけが着けていた『侍』のロゴをレーシングスーツにつけ、土屋の望む“職人”のひとりとしてVivaC team TSUCHIYAのエースに育とうとしている。

 では、今後土屋がレーシングカーをドライブするシーンは見られないのか。

「ドライバーは一生辞めない(笑)。GT降りると決めてから、いろんなレーシングカーに乗りたくてしょうがない。特にGAZOO Racingの活動はいろいろな貢献もできるから、レーシングドライバーとして携わっていたいよね」と土屋は、ドライバーとしての引退は否定した。

 もちろん、先述のとおりスーパーGTの第3ドライバーとしての登録はするし、他のエンジニアの誰も真似ができない「走れるエンジニア」としてテストではVivaC 86 MCに乗るという。

「『あのチームはGT500をやっていないとおかしいよね』とか『日本のレーシングガレージと言えばつちやエンジニアリングでしょう』と言われるような“最強プライベーター”を復活させたいという思いについては、ある程度形になってきたと思ってる」と土屋。

「その後の第二章に進み、レーシングチームとして存続させ、環境を存続させるためには、自分が降りることが必要なこと。ドライブするのは楽しいし、いつまでも乗っていたいけど、自分がやるべきことをやらないと」

 かつて自費でフォーミュラ・ニッポンに参戦し、トップカテゴリーへの道を切り拓き、プロとして活躍し、父親から継承するガレージの復活を成し遂げてきたレーシングドライバー・土屋武士の「新たなステージ」が始まろうとしている。

[オートスポーツweb ]

最終更新:10/2(日) 17:46

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