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9年ぶりに帰還した理由は? マット・デイモンが語る新作『ジェイソン・ボーン』

ぴあ映画生活 10/3(月) 10:19配信

マット・デイモン主演の人気シリーズが9年ぶりに復活する『ジェイソン・ボーン』が7日(金)から公開になる。ファンと批評家から絶賛を集め、新作を望む声は多かったが、デイモンとポール・グリーングラスは“あえて”9年間のブランクを置いてから新作に着手した。その理由とは? 来日したデイモンに話を聞いた。

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◇◇本シリーズは、圧倒的な格闘・諜報能力を持っているが、すべての記憶を失ってしまった謎の男ジェイソン・ボーンが、迫り来る敵に立ち向かいながら、「自分は何者なのか?」を追い求める様を描いたアクションシリーズで、これまでに3作品が公開されている。

前作『ボーン・アルティメイタム』のラストで、彼は自分はジェイソン・ボーンではなく“デイヴィッド・ウェブ”という男であること、アメリカ政府が行う極秘計画に自ら志願し、ジェイソン・ボーンになったことを知った後、人々の前から姿を消した。「3本の映画を通じて、ボーンは自由を求めて行動し、前作のラストで彼はついに自由を手に入れた」というデイモンは「しかし、映画が終わった5分後にはボーンは罪の意識を感じ、自分が呪縛から逃れられていないことに気づいただろう」と分析する。

デイモンが語る通り、新作の冒頭に登場するボーンは誰からも追われない自由の身でりながら、いつも苦悩に満ちた表情を浮かべている。そんなある日、彼の前に“ある情報”が寄せられ、ボーンは再び、人々の前に姿を現す。公開前なのでストーリーについて多くは語らないが、デイモンは「ジェイソン・ボーンは彼の本名ではなく“アイデンティティ”のひとつ。彼がそれとどう向き合うのかが新作の大きなテーマになった」という。

ちなみに、デイモンを含む製作陣はこのテーマを見つけるために9年もの月日を要したのではない。スタジオは彼らに“ボーンの新作”を何度も催促し、シビれを切らして、ふたり抜きで似たような作品を製作したが高評価を得ることはなかった。「このシリーズはダグ・リーマンとポール・グリーングラスという極めて優秀な監督が手がけていることが重要なんだ。ポールは誰かの“コピー”ではなく、自分だけのスタイルを確立している。もし、失敗した映画があるのだとすれば、それはポールのコピーをしようとしたんじゃないかな? ポールは脚本家としても優れているし、元ジャーナリストで、世界中の様々な場面を見てきた。新作には暴動が起こっている場面が出てくるんだけど、彼は記者だった時代に、あのような暴動をたくさん目にしてきたんだ。彼の『ブラディ・サンデー』(2002年)でも暴動の描写が素晴らしかった。彼は状況をちゃんと理解していて、エンターテインメントでありながら、観客が“その場”にいると感じられるような現実味が出せるんだ」

では、彼らはなぜ9年も“ボーン”を製作しなかったのか? デイモンは「社会状況が変化するのを待っていた」と説明する。本シリーズのキャラクターの基になったロバート・ラドラムの小説が執筆されたのは、カーターからレーガンに大統領が移った1980年代で、前3作の映画は、ジョージ・W・ブッシュが大統領だった時代に製作された。「そこでまず新作に着手する際に、2007年から現在までの間に何が変化したのか、みんなでリストを作ってみたんだ。驚くべき変化だったよ。あの頃はここまで財政は破綻していなかったし、ソーシャルメディアはここまで大きな力を持っていなかった。そして、セキュリティとプライバシーの問題が大きくなり、それに関連する技術も進歩している。もし、現在の社会でボーンが活躍するとしたら?……そう想像すると僕たちはとても興奮したよ」

最新作では、2016年現在のセキュリティやメディア、ネットワーク、デジタル環境の脅威が描かれる。そんな中でボーンはどう振舞うのか? 重要なのは、ボーンはいつも多くを語らず、彼の行動やアクションが彼の“語り”になっていることだ。「そうだね。2作目でボーンの恋人が死んだとき、僕は脚本家のトニー・ギルロイに『僕はこれから一体、誰と会話すればいいんだ!』ってメールしたよ(笑)。その後もボーンのセリフはどんどん減っていって、ポールから『この間、数えたら君は映画の中で25回しか喋ってないよ!』って言われたこともあったな。でも、実はそういう風にセリフを使わずに演じることは本当に楽しいんだ。観ている人に、ボーンの“言っていること”がちゃんと伝わるとうれしいね」

2016年、ボーンはスクリーンで何を語るのだろうか? 息つく間もなく続くアクションの中に、彼の新たな“メッセージ”がつまっている。

『ジェイソン・ボーン』
10月7日(金)よりTOHOシネマズ スカラ座ほか全国公開

最終更新:10/3(月) 10:19

ぴあ映画生活