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IoTビジネスのアイデアが浮かばない そんな企業への処方箋

ITmedia エンタープライズ 10/3(月) 13:40配信

 NECが先頃、あらゆる産業を対象にしたIoT(Internet of Things)プラットフォーム「NEC the WISE IoT Platform」を発表した。この基本構想については2015年7月に公表していたが、根幹となる人工知能(AI)技術をはじめ、産業別の製品・サービス群を体系的に整備した上で、IoTプラットフォームとして確立した。

【画像】IoTビジネスを考える上で欠かせない5つのポイントとは

 その内容については関連記事をご覧いただくとして、発表会見では、同社の望月康則 執行役員兼IoT戦略室長が今回発表したIoTプラットフォームの確立に至る考え方を説明した。非常に興味深い内容だったので、ここで取り上げておきたい。

 望月氏はまず「時代認識」について、企業・社会における事業環境に「インターネット」が登場し、モノとサイバーが融合する「IoT」時代を迎え、そしてIoT・人と知性が融合する「デジタル産業革命」へと進む3つのステップを提起し、現在はIoT時代の初期段階にあると説明。さらに、IoTからデジタル産業革命へと進展していく中で形成されていくデジタルエコノミーに向けては、「そのビジネスモデル変革の黎明期にある」との見方を示した(図1)。

 また、3つのステップをITシステムの観点から見ると図2のようになるという。望月氏が特に注意すべき点として説明したのは下段の2つ。まず下から2段目の「システムの作り方」が、これまでの「ウォータフォール」形式から現在は「モジュラー/インテグラル」形式に変わりつつあり、今後はさらに「アジャイル/フレキシブル」な作り方に変わっていくとしている。

 また、最下段の「ICT処理形態」も、これまでの「クライアントサーバ/Web」から現在は「クラウドコンピューティング」に変わりつつあり、今後はさらに「IoTアーキテクチャ5層モデル」へと進化していくとしている。ちなみにIoTアーキテクチャ5層モデルというのは、NECが今回発表したIoTプラットフォームに適用している仕組みである。

 望月氏は、このICT処理形態とシステムの作り方の移り変わりが同期していることから、「システム形態の在り方が大きく変わっていくことを私たちはしっかりと認識し、対応していかなければならない」と説明した。

●経営者に期待したい「IoTの特性とビジネスの勘所の“化学反応”」

 NECが体系立てた形でIoTプラットフォームを発表したのは今回が初めてだが、個々の産業に向けたIoTソリューションはかねて必要に応じて展開してきており、既に600件を超えるプロジェクトを手掛けてきたという。そして、それらのプロジェクトから得た経験をもとに、IoTを活用したデジタルビジネスを行う上で重要なポイントを「デジタルビジネスの要諦」としてまとめた。

 同社が今回発表したIoTプラットフォームは、このデジタルビジネスの要諦がオペレーションにおいてのグランドデザインとなっている。その内容は、次の5つのポイントからなる。

 1つ目は「仮説立案」。ビジネスのアウトカムを明確なモデルとしてシステム要件に組み込めることである。2つ目は「仮説検証」。モノやコトをデータとして捉え、知識・知恵のレベルに転換できる技術を使いこなすことである。3つ目は「スモールスタート」。素早く実証システムを立ち上げて、そのまま本番システムへの稼働に持ち込むことである。4つ目は「事業成長」。事業成長や環境変化に合わせて柔軟に拡張ができることである。5つ目は「堅牢化」。何よりもデジタルビジネスを安定して継続させることである。

 図3は、それら5つのデジタルビジネスの要諦に求められるケーパビリティやビジネスインフラの特長を挙げたものである。それぞれの説明はここでは割愛するが、NECのIoTプラットフォームではこれらの要素がほぼ備わっているという。

 NECが説くデジタルビジネスの要諦は、それぞれを見ていくと決して目新しいものではない。だが、こうしたステップごとに必要な要素を整理しながらコトを進めていくのは重要なことである。

 このデジタルビジネスの要諦は、NEC自身がIoTを活用したデジタルビジネスを進めていくために導き出したものだが、これは今後どの企業にも当てはまる内容といえる。なぜならば、産業分野や規模が違っても、これからはどの企業も自分たちなりのデジタルビジネスを手掛けていかなければ生き残れない時代に入っていくからである。

 ただし、1つ指摘しておきたいのは、何事も仮説立案から始まるということである。つまり、「IoTを活用してこんなことをしたい」というアイデアが必要だ。そのためにはまず「IoTを活用するとはどういうことか」を知らなくてはならない。これは必ずしも技術論ではない。筆者は「IoTの特性とビジネスの勘所を“化学反応”させる」ことだと考えている。ビジネスの勘所は、それこそ経営者が一番長けているはずだ。「うちもIoTを活用せよ」とIT部門などに丸投げするのではなく、経営者自らがアイデアをどんどん出してもらいたいものである。

最終更新:10/3(月) 13:40

ITmedia エンタープライズ