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【ライブレポート】ルネージャ、ブルージーでビターな一夜

BARKS 10/6(木) 22:22配信

「私、ライブの時にほとんど雨が降ったことないんですよ」とルネージャは言う。これまで、どんなに天気が悪くても、自分の出番の時は晴れたんだそうだ。晴れ女というわけだ。しかし、この日はまさかの台風。しかも、いちばん雨足の強い時間にライブは始まった。しかし、それが幸いしたのか、雨から逃げるようにお客さんは比較的早い時間から集まっていたし、それでも人が集まるというのは、期待度の高さを表しているといえる。

◆ルネージャ画像

ルネージャは2003年に活動開始。ギタリストでサウンド・プロデューサーの新井現詞が作り出すAORをベースにした音楽性で、これまでに4枚のフルアルバムをリリース。いまAORがアダルト世代のリスナーを中心に若い層のミュージシャンたちまでを巻き込んで盛り上がっているが、そのブームに呼応しつつも、そのサウンドは独自の進化を続けている。

近年のライヴにおけるルネージャは、ベテランのセッションマンたちがバックをつけてきたが、この夜はこれまでになくメンバーの多くが刷新され、若返ったという点でも見所の多い夜だった。特に注目されたのが新規参入した大神田智彦で、平井堅を筆頭に、ソウルからの影響が強いシンガーたちのバックを支えてきた、ファンキーなグルーヴをポップな歌モノの中に持ち込むのが上手いベーシストだ。また、少し前から参加しているドラマーの高田真も、やはり平井堅のバックを務めていたプレーヤー。相性の良さが期待される。

この夜のテーマは「DIZZY」。目眩がする、当惑させるといった意味だが、これまでの明るいトーンの楽曲に対し、よりブルージーでビターな世界観を示すものとして解釈できる。そこから一歩踏み込んで、それが何を指すかは想像に難くないだろう。オープニングのインスト曲に続き、その名も「DIZZY」という曲を。その後もビターな楽曲が続く。ミディアムテンポの曲でも、高田真のリムショットがピリッと空気を澄み渡らせ、決してまったりすることはない。それを象徴したのが、スティーヴィー・ワンダー「Superstitious」のカヴァーだろう。原曲のファンキーな面影はなく、ヘヴィでブルージー、だがダークではない。いつもよりも派手なピンクのスパンコールのボディコンシャスなドレスを着たルネのヴォーカルは、その装いに反して抑制され、しかし、セクシーなムードが観客を魅了する。ルネージャは英国育ちということもあってか、そういった振る舞いもとても自然に感じる。

そんなムードが一変したのは、1stステージ最後の2曲だった。アルバムでは日本随一のファルセットシンガーであるDaisukeとのデュエットした「Sugar & Spice」は、Daisukeのパートを新井現詞が歌う。マイナー9thのジャジーなコード感が支配する中をベースのリフが引っ張っていくこのファンキーチューンで、リズム隊はこの日最高のグルーヴを生み出した。ベースの大神田は大きく身体を揺らし、この曲以降ドラムスの高田は笑顔が増えていく。2人のコンビネーションがネクストレヴェルに達した瞬間だった。1stステージ最後の曲「Into My Soul」では、おそらくアドリブであろう大神田がJBの「Cold Sweat」のあまりにも有名なリフを挿入する。それに対し、高田はワンコーラス後に同曲のリズムパターンで呼応してみせる。あまりにも有名かつ強烈な印象を持った曲だけに、ドラムとベースが同時にそれをやってしまうと楽曲が乗っ取られ、元の曲に戻ったときに違和感が残るかもしれない。とっさにそう判断したのだろう。彼らのミュージシャンシップの高さを感じ取れた瞬間だった。

2ndステージは、スパニッシュ風味の「Falling Rain」で始まるが、アッパーな曲中心。ピンクのスパンコールから黄緑色のセクシーなドレスに着替えたルネージャは、ステージ上を右に左にと動きつつ、これまたセクシーなポーズを決めていく。スウィートな表現力と繊細ながらも強さを併せ持ったルネージャのヴォーカルは、その最強のビジュアルと共に観客の目と耳を惹きつけて離さない。英語詞曲が多くサウンドやメロディも洋楽風なのに、耳にとてもよく馴染むのが不思議だ。おそらく、英語はネイティヴなのに言葉のタイム感が日本人っぽいのだ。日本で洋楽風の音楽をやるにあたっては、理想的な資質だと言える。

しかし、MCになると雰囲気は一変する。少し英語訛りの日本語に加え、性格も少し天然なのもしれない。普通に喋っているだけなのに、何故か笑えてしまう。例えば、歌詞の意味を説明しようとしてなかなか核心にたどり着けなかったり、そういうときのルネージャは少し小動物っぽい(背はデカいのだが)。見事なステージングとは裏腹のそんな振る舞いに、見ている側もふと気の緩む瞬間ということなのだろう。しかし、当のルネージャはそれを怪訝に思っているようで、笑いが起きると「私ヘンなこと言いましたかね?」と気にしている様子。そのせいか、この日はいつもよりもMCが少な目だったのだが(台風なので進行を急いだたけかもしれないが)、いやいや、あなたの喋りのファンも多いですよ、と言っておこう。

ディスコビートの「Slow Down」はどこかで聴いたことがあると思いきや、なんとザ・ビートルズのカヴァーで有名なカール・パーキンスの曲。「Superstitious」同様、原型を留めていないほどにアレンジされている。そして、定番となったキャッチーな「Mochotto」で本編を締める。アンコールで披露された「Walk Away」は新曲とのことで、これまでとはまた違ったテイストのスケールの大きなバラードに仕上がっていた。このあたりは次作に収録されるのかもしれない。

これまでの売りだったスウィートさやスムースなサウンドから脱皮して、ブルージーでビターな方向性を模索し始めたルネージャ。今回のライヴでもレコーディング前の新曲を惜しげもなく披露してくれていたが、これからレコーディングを予定しているというニューアルバムもこの路線になるようだ。これまでとはまた違った表情を見せてくれるであろうルネージャの新作を楽しみに待っていたい。

<RENAJA live "DIZZY" at Blues Alley Japan>
1st
1.OPENING THEME
2.DIZZY
3.BE WHO YOU WANNA BE
4.FIRST TIME
5.CALL ON ME
6.SUPERSTITION
7.YOUR LADY
8.SUGAR & SPICE
9.INTO MY SOUL
2nd
1.FALLING RAIN
2.INTRUDER
3.IT'S NOT FAIR
4.FRUIT OF LIFE
5.SLOW DOWN
6.BAD BAD LOVE
7.SWEET TASTING LOVER
8.MOCHOTTO
EC
9.WALK AWAY

Personel:Yuki Kishida(Key)、 Koju Yamamoto(Sax & Flt)、 Genji Arai(Vo、G)、Shumi(B、Vo)、Tomohiko Okanda(BS)、 Shin Takada(Dr)

最終更新:10/6(木) 22:22

BARKS

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