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進次郎改革が再始動、儲かる農業へ

ニュースソクラ 10/3(月) 16:00配信

農協、表で歩調、裏では疑心も

「これがキックオフだ」
7月の参院選で中断していた農業改革。
自民党の若きエース、小泉進次郎議員が率いる農林水産業骨太方針策定プロジェクトチーム、いわゆる小泉PTが今月静かに再始動した。

政府与党は昨年農協改革を掲げて、岩盤規制の象徴とされたJA全中と大バトルを演じた。JA全中はこれまで農村票を武器に政治に対して強い影響力をもってきたが、昨年の大改革で地域農協に対する監査・指導権を失い、2019年3月までに一般社団法人に転換することになった。

さらにJAグループの先頭に立って改革に抵抗してきた萬歳会長(当時)は、その責を取って辞任し、農協改革は政府与党の勝利でいったん幕を閉じている。

そして昨年のTPP大筋合意後、自民党の農林部会長に就いた小泉進次郎氏。小泉氏は就任後農業の現場を精力的に視察、「持続可能な農業」を目指して農業の構造改革に着手した。今年初めには「農林中金はいらない」と語り、JAバトル再燃かと関係者の間に衝撃が走ったが、その後小泉氏からこうした発言は聞こえてこない。

改革の相手を抵抗勢力と位置づけて劇場に持ち込むのは、父である小泉元総理の十八番であったが、日本の農業が直面している危機はそう単純に乗り切れないことを小泉氏は肌で感じているのだろう。

「関係業界やJA全農のあり方を余談なく見直す」と安倍総理は今月、臨時国会に向け農業改革の狼煙を上げたが、小泉氏は再始動に先駆けJAグループ幹部と会談し、「儲かる農業の実現に向けてお互いに取り組もうと共有できた」と語り、JAと協力しながら改革を進めていく姿勢をあらためて示した。

日本の農業は、このままでは壊滅だ。農業従事者の平均年齢は67歳とますます高齢化が進み、農業就業人口は減り続けて、今年とうとう200万人を割り込むことになった。いかに若い世代に農業を引き継ぐか、この難題に農業関係者は頭を悩ませている。

さらにTPP。アメリカ大統領選挙の結果次第では失効する可能性もあるが、農産物自由化の流れはもはや止められない。

小泉PTで配布される資料の中に、一枚のペーパーがある。小泉氏が事務方に自ら作成を指示したこのペーパーは、国内と世界の人口、飲食料市場の規模を、現在と2050年予測で比較している。

国内の人口は、現在の1億2700万人から2050年には9700万人と24%減少。飲食料品の市場規模は、現在の76兆円から2050年は「人口減少、高齢化に伴い縮小の可能性」と書かれている。一方、世界では、人口が現在の73億人から32%増の97億人となり、飲食料品市場は「拡大の可能性」と書かれている。さらにこのペーパーには、「日本の農林水産業GDP世界10位」「日本の農産物輸出額世界60位」と併記されている。

この資料で言いたいことは明らかだ。少子高齢化で市場が縮小する中、日本の農業は拡大する世界の市場に打って出ないと衰退するだけだ、と。そのためには農業が儲かる仕組みを作ることがまずは必要だとして、小泉PTは農業の生産・流通コストの見直しをこの秋の農業改革の本丸と位置付けた。

JA全中は、小泉PTの動きに呼応するように、農業所得向上の実現にむけたJAグループの取り組みと提案を発表した。その中には小泉PTで議論されている、肥料や農薬など生産資材価格の引き下げや農産物の企業への販売強化、輸出体制の強化が取り上げられ、全農をはじめJAグループの自己改革が謳われている。

これだけを見れば、JAグループは小泉改革に全面協力の姿勢だ。しかし、あるJA幹部は「これは農協改革ではない。農業改革だ」と強調する。また別の幹部は、「変えるべきところは変え、機能しているものは変えるべきではない」と述べ、政治がJAの組織に手を入れてくることへの警戒感を滲ませる。

小泉PTとJAグループが、足並みを揃えて日本の農業が直面する難局に立ち向かえるのか。この改革がまさしく試金石となる。

鈴木 款 (フジテレビジョン・シニアコメンテーター)

最終更新:10/3(月) 16:00

ニュースソクラ